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9.闇の間から覗く視線 (比古・夢主・翁・お近・十六夜丸・操)
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武尊は比古がいない今、他の人間に涙を見せるわけにいかない、しっかりしなくてはと思った。
とりあえず落ち着こう。
ここの人たちは比古さんの知合いみたいだし、、、大丈夫のはず。
研究所みたいに私を捕まえようとする人はいないはず・・。
だから怖くない、怖くない、と自分に言い聞かせる。
武尊が客間で考え事をしていたら、比古を見送った翁が戻ってきた。
「さ、今日は疲れたじゃろう。布団を用意させよう。ゆっくり休みなさい。」
「すみません、何から何まで。有難うございます。」
武尊は正座をしたまま、深く礼をした。
「いやいや、構わんよ。ではまた明日。」
その後布団を用意してもらって一人になった武尊。
空っぽな心。
でも必至に自分がこれから何をなすべきか考えようとする。
それが比古と約束したことでもあり自分がやらなければならない事だから。
そう思う武尊であったが今頭の中を横切るのは何故が遠い昔のこと。
あれは・・・・・
養父に連れられてお寺にいたころよく本堂でそこの和尚に座禅組まされたっけ・・。
なんとなく思い出しついでにやってみる。
『武尊。人は心弱きもの。迷いがあるときは座禅を組んで無を悟れ。』
難しい事を言う。
と子供ながら思ったことを思い出した。
確か、『丹田に気を廻らす様に・・。』 が和尚の口癖だったかな。
目を閉じて意識を本堂にあった大きな曼荼羅に飛ばすつもりで座禅をしていると
(あっ・・・鈴の音が。)
音を聞くのは会津の山の中以来だ。今回は特にはっきり聞こえる。
思わず目を開けて音のする方に向こうとした時、
(え?)
と、思ってしまった。
武尊の両手から青白い光が溢れ出ていたからだ。
ビクっとして我に返ると鈴の音もその光も消えた。
(今のは何・・・・?)
見た者は幻?一体・・・。
「・・・・・・・。」
しかし武尊は逆に急におかしくて笑った。
クローンにタイムスリップに幻聴?幻視?これ以上どうしろっていうのよ。
私の人生、もうこうなったら何でもアリ?みたいな・・・。
そうよ、もともと私は悩むことは得意じゃないだ!
知らん!知らんぞ!
何でも来いや~~!
開き直ってやる、開き直ってやる!
急に腹が立ってきた武尊はふて寝してやる!っと思い布団に入った。
新しくてきれいな布団。
だけどそこに比古はいない。
昨日包まれた暖かさがここにはない。
でもきっと私はあそこに帰る、そのための努力をする。
だから・・・おやすみなさい、比古さん・・・・。
開き直ったら寝れそうです・・・・。
そんな武尊を見ていた一つの視線・・・・それは十六夜丸だった。