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9.闇の間から覗く視線 (比古・夢主・翁・お近・十六夜丸・操)

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葵屋は人が住めるようにはなったが、まだ改修中で宿泊客はいない。



当然御庭番衆である住人は勝手口の扉の音で目を覚ましている。(操以外は・・。)


翁が二人を連れて客間に案内した際、姿は見えないが翁が


「お近、客人に茶の用意を。お増はさらしと、蔵から、そうじゃのぅ・・・蒼紫が江戸に行く前に使っていた着物が蔵に残っていた気がするのぅ。少し見てまいれ。」


と指示をした。らお近が早々に茶を持ってきた。



お増も意外に早く、


「このような物でよろしいでしょうか。」


と持ってきた。





比古は


「ちょっと皆、席を外してもらっていいか。」


と席を外させ武尊と二人きりになった。




武尊、着れるか。」



「うん、大丈夫。」


そう言って武尊は比古の上着を脱ぎ、さらしを巻き、用意された着物を着て帯を締める。



比古はその流れをじっと見ていた。




着替えが終わり、武尊が脱いだ自分の着物を片手に立ち上がると





「年が明ける前には帰ってこい。」



武尊を見つめ、そう短く告げ、武尊の・・・両目に口付けし、こぼれそうな涙を吸った。



「笑ってくれ、武尊。」



比古が武尊を見つめると武尊は無言で何度もうなずき精一杯の微笑みを作った。



「よし。じゃあ、行くからな。」



と言ってその大きな手で武尊の頭をなで



「じゃあ、俺はおいとまするとするか。」



と言ってマントをひるがえし障子を開けた。





「翁、御馳走になったな。武尊を頼む。」



「もうお帰りか比古殿。」



「ああ、俺のやることはもうない。じゃあ。」





母屋を出る前、比古が外縁の角を曲がった所でお近が立っていた。


「比古様・・。」


「お近か。夜更けに悪かったな。お茶うまかったぞ。」




自信家の比古は人間嫌いと言いつつも言い寄ってくる女の扱いは無意識にうまい。


お近の名前も以前に一度聞いただけだったがお近は名前を呼ばれただけで舞い上がってしまう。


「またいらしてください。」


「機会があればな。」



そう言って比古は小屋に戻っていった。
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