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8.下山~葵屋へ (比古・夢主・翁)
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比古は、昨日の武尊の話を思い出し
「おい、武尊。昨日、お前の兄はお前に薬を飲ませたと言ったな。これなのか。」
「毎回飲まされたのは御猪口一杯ぐらいの赤いどろっとした液体。でもこの粉薬と同じ匂いがします。」
「じゃ、これをその赤いものと混ぜた・・・と考えるのが筋だな。」
「比古さん・・・この時代には骨を粉にして飲んだら強くなるとかっていう迷信でも流行っているんですか?」
「聞いたことないな、そういうことは。しかし赤いものってなんだ。」
「兄は蛇の血って言ってました。入ってるのは漢方薬だと・・。」
「で、どうする。この薬包。」
「もうそれを飲むなんてありえません。」
「分かった。」
二度と十六夜丸になるなんて冗談じゃないと武尊は思った。
「兄がいない今誰も使い方が分からないので問題ないとおもうのですが、何から作られているか気になるので成分分析できるところがあれば(ないと思うけど・・・でも一応、)調べてもらおうと思うのでこれ持っていきます。」
「好きにすればいいさ。」
武尊は比古の手の中の薬包を受け取った。
「で、比古さん、金子(きんす)の方は?」
「お、目聡いじゃねぇか、武尊。実はそんな金ここにおいても肥やしにしかならねぇから葵屋に使ってくれと置いてきた。」
「まあ、私のお金じゃないからいいですけど。」
「東京の馬鹿弟子の所為で派手に壊しちまったからな、修復するには渡した千両でも足らないと思うぜ。」
「せ、千両!!?」
千両といえば約一億三千万ほどだとテレビで言っていた、、と武尊は金額の大きさに気が遠くなった。
「そんな大金はたいても足らないって葵屋って何者ですか!(いや、それ以前に千両なんて大金、どうしたの!と兄に聞きたい!」
「あ-、言っておくが葵屋って言うのは京都でも老舗の料亭らしいぜ。」
「それは・・お金かかりそうですね。」
武尊は妙に納得した。
「で、だ。今日行くところはそこだ。」
「は?着物買うのに何故料亭ですか?」
「武尊。お前が前に現れた十三年前で多少こちらの生活を知ったとて明治に入り時代は随分変わった。いくら武尊が未来人だとしても約百四十年前の生活に不慣れなのは明白。」
「はい・・・おっしゃる通りで。」
「ちょいとばかし、そこで世間の様子にも慣れてから東京に行った方がいいんじゃないかと思ってな。」
「世間の様子とやらを比古さんが教えてくださいよ・・。」
「俺も里にはほとんど行ってないし、何よりお前と同じ人嫌いときている。」
「では東京のお弟子さんの所で世間の様子とやらを教えてもらってもいいのでは。」
「あの馬鹿弟子も俺の口から言うのもなんだがちょっとずれてるからなぁ。」
「一体どんなお弟子さんなんですか~!」
武尊はガクッと首を垂れる。
「ま、頑張れや。葵屋は馬鹿弟子とも縁がある。悪い奴等じゃないから安心しろ。」
比古さん、軽すぎです!
(うわああああ!←武尊の心の声)
口に出して言えない分だけ心の叫びが大きい武尊であった。