（やばっ・・倒れる。）



真っ暗になっていく視界に武尊はその場にうずくまった。



「おい、大丈夫か！」



比古は武尊のそばに駆け寄ると武尊の顔色は真っ青だった。



「すみません・・、ちょっと具合が・・。」


手から冷や汗が出て体が震える。



「辛かったら俺につまかれ！」



比古は武尊を抱きしめて髪をやさしく撫で続けた。




比古は武尊の突然の不調はまだ聞いていないが武尊の過去に原因があり心因性のものだと考えた。




武尊は助けを求めるように比古の服を握りしめ、しばらく浅い息を繰りかえしてた｡



その間ずっと比古は武尊を抱きしめて安心感を与えていた。



１０分ほどで武尊の呼吸がもとの速さに戻った。



「落ち着いたか？武尊。」


「すみません、昨日から迷惑かけっぱなしで・・・・。」



武尊は疲労困憊しきったように答える。



「いいさ。気にするな。言いたくなければ言わなくていいぞ。」


「いえ、いいえ。うまく言えないかもしれませんが聞いて下さい・・・・。」


「ああ。話してみろ。」



武尊は意を決して大きく息を吸い込んだ。



「比古さん・・・。」



武尊は比古を見上げて見つめた。



比古は黙って武尊に頷いた。