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282.長い夜、長い物話(1)(比古・夢主)
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「でもただ手伝いをしてたわけでもなく、その間に自分に近づいてくる人がいたら報告しろって言われてました。何事もなく、いよいよ明日が新月・・という日の昼過ぎに鷹が来ました。蕎麦を注文後すぐに山崎さんが小用といって屋台を離れると鷹はすぐに私に話かけてきました。
あ・・鷹は私と兄の世話をしていた人で山崎さんはお蕎麦屋さんのご主人です。
鷹は兄がとても私の事を心配していたこと、そして、私が帰ってきていなかったことが逆に良かったと言いました。私がいない間にもめごとがあって兄と鷹があの屋敷を抜け出したと言ってました。その話をしていたら鷹が何かに気が付き、蕎麦が出来上がる前に私にお代とメモ・・じゃなくて小さく折った紙を二つ私に握らせて『ここで落ち合いましょう』と言って行ってしまいました。その場で紙を開いてみたかったけど後ろからの気配にとっさに一つ袖に隠すと山崎さんが戻ってきてました。
一緒にもう一つの紙を見てみると『逃げろ』って書かれてあって『どうゆう事?』って聞かれたけど私も訳が分からず『さあ・・』って。
その後、山崎さんが小用に行った時に知り合いに会ってこれからその人に会いに行くからお蕎麦の営業は終しまい、ということでお小遣いを頂いて甘味でも食べて帰るように言われたのでその通りにして夕方屯所へ戻りました。でもその間ずっとこれからの事を考えたり、もう一つの紙を見ようと思ってもなんか見られているような感じがして落ち着かなかった。
戻ってから先ず紙を確認しようと厠へ行って中を見ると『新し山 棘付 京狸』と書いてあって何かの暗号だと思ったんだけど厠で長くいても怪しまれると思って・・その後井戸に行ってその紙を水で飲みこんで、帰ってきましたと報告に行こうとすると奥ですごい叫び声がして何事かと急ぎ駆け付けました。」
武尊はまた間を置いた。
未だにまだ鷹の最後が忘れられない。いや、忘れるつもりもないがその時の事を思い出すと胸が張り裂けそうに痛むのだ。
「声は奥の小屋からで、扉を開けると薄暗いそこに鷹が捕まって拷問を受けてました。私は驚いて拷問をしていた副長に食ってかかりました。何故こんなことをするのかと。でも結局私は鷹を助けられず、鷹は私を庇って死にました。小屋には新選組幹部が三人・・でも私はそこから逃げ出した。」
「どうやって逃げ出したんだ。」
気になった比古が口を出した。
「私本当に怒っていたんです。だから逃げるのに本気でした。副長が放った剣・・木刀でしたがかわして小屋の戸から一目散ですよ。」
本気だからといって普通はありえないだろ、と比古は心の中で思った。
だが、
「そうか。よくやったな。」
と自然にもう片方の手で武尊を頭を撫でてやる。
武尊は比古の手に少し身をゆだねたのち、落ち着いたのか続きを話し始めた。
「とにかく遠くへ。今まで走ったことがないくらいに走って、気が付いたらどこかの川に出た。その晩は川辺の草に隠れて過ごしたけど追っては来ていないようだったから鷹が死ぬ前に言ってた言葉を考えていたの。それで《新し山 棘付 京狸》の意味が分かると思ったから。で、答えが分かってその場所へ向かったら」
「話の途中で悪い。その謎が俺も気になるから教えてくれ。」
「あ、ごめん。ええとね、鷹は「ポンポコポン」を繰り返したの。だから謎を解くカギは狸じゃないかって。」
「嗚呼、なるほどな。だから「嵐山渡月橋」か。」
「比古さん、謎解くの早っ!!」
「狸、いわゆる「タ」抜きだろ。」
「そうなんだけど・・。まあ、それで渡月橋に向かったの。私がいたのは丁度桂川だったし。そこで兄が船頭に扮して待っていて船で隠れ家に向かった・・。
流石にこの状況に私に何も話さずってことにはいかないと思ったのか、兄は記憶がない私に今に至る経緯を話してくれました。
兄と私の父は昔は薩摩藩に仕える小姓組の一つの家柄だったこと。私と兄は同じ父を持つ腹違いの兄弟だということ。
ある事情で二人とも寺に預けられていた時、薩摩藩が父を計略にかけて死罪にしたということ。成人前の子供二人は死罪を免れたものの罪人の子供ということでその寺を追い出され露頭に迷っていたところ、某寺で鷹を含め三人が世話になっていた。寺の後見人は某公家だとのこと・・。
その公家が長州藩と繋がっていて兄はいつの間にか薩摩藩を含む旧体制を倒し誰もが幸せに暮らせる時代をつくるのだっという理想の為に動いていたということでした。
しかし長州が薩摩と手を組んだことがどうしても許せなくて揉めてお屋敷を抜け出したという事でした。でも体も大きくて身分は低くても武士の兄ならともかく、女の私なんか役に立たないですよね。だから聞いてみたんです、たかが三人抜けたからって勢力が変わるわけでもない、もしかして十六夜丸の力を利用してますか、って。
兄は焦ってました。どうしてその名前を知っているのかと。私も新選組に出会わなければ分からなかった名前でした。名前どころか十六夜丸が人を斬ったことも告げて私の知らないところで私の身体で人を殺しているなんて、と怒りをぶつけました。
人に人殺しをさせるのではなく、自分がその薬を飲めばいい、そうすればとてつもなく強くなれるんでしょ。・・そう言うと兄は『あの薬は私にしか効かないんだ』と寂しそうに言いました。
兄の言葉に十六夜丸はやっぱり私だったんだとショック・・ええと、ひどく動揺して何も言えませんでした。
話はそこで終わって、しばらく十六夜丸のことはお互い話さず日々を送っていました。
町に出るのは兄で私は家の周りで柴刈り、薪割り、水汲み・・と、文字の勉強を少し・・(あんまり習得できなくて後で大変だったことをちらっと思い出す)。でもしばらくして体調を崩して寝てることも多くなった。本当に病気になったんだと思っていた時、兄から信じられないお願いをされました。
それは兄の本当の目的。新時代が来ようが来まいが父を陥れた相手を兄はずっと恨んで探してた。その憎い相手の名前が分かったから敵を討つために十六夜丸の力を貸してほしいというものでした。兄の傍にいてどれだけ相手を恨んでいるかということは言わずとも感じるところがあって、十六夜丸で殺しをしないなら。という約束で私は薬を飲むことに同意しました。
そんな感じで日々過ごしていたけれど、ある日、兄から江戸へ行こうと言われました。」
あ・・鷹は私と兄の世話をしていた人で山崎さんはお蕎麦屋さんのご主人です。
鷹は兄がとても私の事を心配していたこと、そして、私が帰ってきていなかったことが逆に良かったと言いました。私がいない間にもめごとがあって兄と鷹があの屋敷を抜け出したと言ってました。その話をしていたら鷹が何かに気が付き、蕎麦が出来上がる前に私にお代とメモ・・じゃなくて小さく折った紙を二つ私に握らせて『ここで落ち合いましょう』と言って行ってしまいました。その場で紙を開いてみたかったけど後ろからの気配にとっさに一つ袖に隠すと山崎さんが戻ってきてました。
一緒にもう一つの紙を見てみると『逃げろ』って書かれてあって『どうゆう事?』って聞かれたけど私も訳が分からず『さあ・・』って。
その後、山崎さんが小用に行った時に知り合いに会ってこれからその人に会いに行くからお蕎麦の営業は終しまい、ということでお小遣いを頂いて甘味でも食べて帰るように言われたのでその通りにして夕方屯所へ戻りました。でもその間ずっとこれからの事を考えたり、もう一つの紙を見ようと思ってもなんか見られているような感じがして落ち着かなかった。
戻ってから先ず紙を確認しようと厠へ行って中を見ると『新し山 棘付 京狸』と書いてあって何かの暗号だと思ったんだけど厠で長くいても怪しまれると思って・・その後井戸に行ってその紙を水で飲みこんで、帰ってきましたと報告に行こうとすると奥ですごい叫び声がして何事かと急ぎ駆け付けました。」
武尊はまた間を置いた。
未だにまだ鷹の最後が忘れられない。いや、忘れるつもりもないがその時の事を思い出すと胸が張り裂けそうに痛むのだ。
「声は奥の小屋からで、扉を開けると薄暗いそこに鷹が捕まって拷問を受けてました。私は驚いて拷問をしていた副長に食ってかかりました。何故こんなことをするのかと。でも結局私は鷹を助けられず、鷹は私を庇って死にました。小屋には新選組幹部が三人・・でも私はそこから逃げ出した。」
「どうやって逃げ出したんだ。」
気になった比古が口を出した。
「私本当に怒っていたんです。だから逃げるのに本気でした。副長が放った剣・・木刀でしたがかわして小屋の戸から一目散ですよ。」
本気だからといって普通はありえないだろ、と比古は心の中で思った。
だが、
「そうか。よくやったな。」
と自然にもう片方の手で武尊を頭を撫でてやる。
武尊は比古の手に少し身をゆだねたのち、落ち着いたのか続きを話し始めた。
「とにかく遠くへ。今まで走ったことがないくらいに走って、気が付いたらどこかの川に出た。その晩は川辺の草に隠れて過ごしたけど追っては来ていないようだったから鷹が死ぬ前に言ってた言葉を考えていたの。それで《新し山 棘付 京狸》の意味が分かると思ったから。で、答えが分かってその場所へ向かったら」
「話の途中で悪い。その謎が俺も気になるから教えてくれ。」
「あ、ごめん。ええとね、鷹は「ポンポコポン」を繰り返したの。だから謎を解くカギは狸じゃないかって。」
「嗚呼、なるほどな。だから「嵐山渡月橋」か。」
「比古さん、謎解くの早っ!!」
「狸、いわゆる「タ」抜きだろ。」
「そうなんだけど・・。まあ、それで渡月橋に向かったの。私がいたのは丁度桂川だったし。そこで兄が船頭に扮して待っていて船で隠れ家に向かった・・。
流石にこの状況に私に何も話さずってことにはいかないと思ったのか、兄は記憶がない私に今に至る経緯を話してくれました。
兄と私の父は昔は薩摩藩に仕える小姓組の一つの家柄だったこと。私と兄は同じ父を持つ腹違いの兄弟だということ。
ある事情で二人とも寺に預けられていた時、薩摩藩が父を計略にかけて死罪にしたということ。成人前の子供二人は死罪を免れたものの罪人の子供ということでその寺を追い出され露頭に迷っていたところ、某寺で鷹を含め三人が世話になっていた。寺の後見人は某公家だとのこと・・。
その公家が長州藩と繋がっていて兄はいつの間にか薩摩藩を含む旧体制を倒し誰もが幸せに暮らせる時代をつくるのだっという理想の為に動いていたということでした。
しかし長州が薩摩と手を組んだことがどうしても許せなくて揉めてお屋敷を抜け出したという事でした。でも体も大きくて身分は低くても武士の兄ならともかく、女の私なんか役に立たないですよね。だから聞いてみたんです、たかが三人抜けたからって勢力が変わるわけでもない、もしかして十六夜丸の力を利用してますか、って。
兄は焦ってました。どうしてその名前を知っているのかと。私も新選組に出会わなければ分からなかった名前でした。名前どころか十六夜丸が人を斬ったことも告げて私の知らないところで私の身体で人を殺しているなんて、と怒りをぶつけました。
人に人殺しをさせるのではなく、自分がその薬を飲めばいい、そうすればとてつもなく強くなれるんでしょ。・・そう言うと兄は『あの薬は私にしか効かないんだ』と寂しそうに言いました。
兄の言葉に十六夜丸はやっぱり私だったんだとショック・・ええと、ひどく動揺して何も言えませんでした。
話はそこで終わって、しばらく十六夜丸のことはお互い話さず日々を送っていました。
町に出るのは兄で私は家の周りで柴刈り、薪割り、水汲み・・と、文字の勉強を少し・・(あんまり習得できなくて後で大変だったことをちらっと思い出す)。でもしばらくして体調を崩して寝てることも多くなった。本当に病気になったんだと思っていた時、兄から信じられないお願いをされました。
それは兄の本当の目的。新時代が来ようが来まいが父を陥れた相手を兄はずっと恨んで探してた。その憎い相手の名前が分かったから敵を討つために十六夜丸の力を貸してほしいというものでした。兄の傍にいてどれだけ相手を恨んでいるかということは言わずとも感じるところがあって、十六夜丸で殺しをしないなら。という約束で私は薬を飲むことに同意しました。
そんな感じで日々過ごしていたけれど、ある日、兄から江戸へ行こうと言われました。」