※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
282.長い夜、長い物話(1)(比古・夢主)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うーん、屯所からは解放されたんだけど・・。その人、私のお腹の虫の音にあきれて『飯を食わせてやる』って言ってきて・・私は持ち合わせがないからって最初は断ったんだけど迷惑をかけたお詫びって言われて断り切れなくて・・ついていきました・・その日の夜のごはんを食いっぱぐれたくなくて・・揚げ出し豆腐と大根の煮つけは・・おいしかった。」
武尊の声がだんだんぼそぼそと小さくなっていく。
この後は斎藤との話だ。
比古を傷つける話だ。
武尊は右手で比古の右手首をつかんだ。
ん?と思っていると武尊が気を入れなおし、また話始めた。
「私は他にお茶漬けも頼んだんだけど料理はまだ来てなくて、相手は料理を何品かとお酒を頼んでいてたんだけどお酒が先に来たから飲んでいたの。私もお酒を勧められて・・。」
「そういえば武尊はお酒に弱いと言っていたな。」
「うん、、、未来では自分はお酒に弱いってわかってたんだけどこの時記憶がなかったから勧められるままに最初におちょこ一杯頂いて・・思いの他美味しかったから思わずおちょこをもう一度出したら注いでもらえたのでたて続けにぐいっと飲み干したら・・あ~~~~~。」
武尊が失望の声をあげた。
「やってしまった訳か。」
「はい、、私のお酒の許容範囲はおちょこ1杯なので2杯目飲んだら酔っぱらって調子に乗っていろいろ喋りました・・。」
だがその武尊の声の調子は失敗したという音調から真面目な調子に変わっていった。
「浮かれてたから思いつくままにいろいろ聞いてみたんです。次に十六夜丸に会ったらどうするんですかとか。そうしたら『殺る』って即答したんです。新選組は京都の治安も守っているから反幕府勢力は見逃せないって。反幕府勢力は暗殺とかいろいろやってたからその気持ち分かります。」
武尊の言葉に比古は人斬り抜刀斎だった剣心の姿が脳裏に過った。
「兄は長州藩の人と交流があったようでしたから十六夜丸は新選組からすれば敵側だったんです。私はその時に聞かれました。『俺が怖いか。』と。瞳の奥を鋭い目で覗き込まれて、その問いに心臓がドクっと鳴って、何故か相手に血の高ぶりを覚えたのを覚えてる。そしてその問に私は『羨ましい』と答えた・・それは自分の信念のために生きている生き様が本当に羨ましかったから。私は自分が誰だかも分からず、何のために生きているのか分からなくなっていたからそのことを相手に伝えた。
酔っていたからなのか、自分が満月の後に調子が悪くなっているから薬を飲まされているとかも話していたら・・大粒の雨が降って来たの。」
その雨音に思い出したかのように一息間を置き武尊は続けた。
「すぐにすごい雨になったから何か気分もお開きかなっていう感じになって、お礼を言って立ち上がったら足がへろへろで超千鳥足になってたからそれじゃぁ帰れまい、寝ていけって。小料理屋の奥の部屋を取ってくれたのは良かったんだけど、私が帰るとごねていたら腕を引っ張られて、よたつきながら連れていかれた。で、その部屋に入る時に躓いて相手に倒れこんで・・女だとばれた。」
武尊は一呼吸置いて一気に、
「その後抱かれた・・。」
と一気に言い切った。
比古は寸ででそういう展開になるだろうと思ったが何も言わなかった。
あくまでそれは武尊の中では自分と出会う前の話だからだ。
武尊はそのまま話を続けた。
「彼は私を抱く前に私の事を十六夜丸だと言いました。だが違うとも言いました。私が何だか分からないでいるとそれは表と裏で同一人物だと言いました。そしてまだ確証がないものの原因はあの薬だとも。私はそこで最初に薬を飲まされた時の事を話しました。その時だけは何故か御前様とやらの護衛の為に兄と一緒に外出していて、出先で薬を飲んだんです。新選組が関係していたので記憶が無くなる前の事を伝えると彼の記憶と繋がって、ますます私が十六夜丸だという可能性が強くなったんです。
そこで彼から提案を受けたんです、次の下弦の期間が終わるまで新選組下で保護すると。十六夜丸が出ると新選組に犠牲者が出るので出ない方が彼らにとってもいい話だし、私も自分が十六夜丸かどうかが分かると思ってその話を受けました。
その後、彼が私を抱くと言いました。無理やりじゃないですよ・・私はその短い間で彼に恋をしたんです・・。」
武尊はまた少し間を置いたが比古は武尊が話し出すのを待っていた。
と同時に、その新選組の男はなかなか頭が切れる奴だとも思った。
どんな奴だか見たいと思ったぐらいに。
「翌日、私はまだそのお店に居たままで彼は昨晩の提案を副長に話し、許可を取って戻ってきました。次の新月前まで新選組屯所内で監視付きで過ごすということになりました。でも軟禁されっぱなしとかじゃなくって、翌日から新選組御用達の蕎麦屋台のお手伝いをすることになったんです。」