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288.長い夜、長い物話(6)(比古・夢主)
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武尊は無意識のうちに斎藤を名前で呼んでいたことに気が付いていない。
そしてそのまま話を続けた。
「兄の最後の消息は比古さんの所だった。
って今ごろ気が付くかって落ち込みましたが落ち込むだけ落ち込んだら少し気持ちが上を向きそうになったので『落ち込むのはもうおわり!』、と自分に言い聞かせて、前向きに予定をこなすことに集中しました。
先ずはミサで歌う約束。
歌う代わりにマフラーを譲って頂けたようなものなので約束は守りました。
そこで私の恰好が着流しでは合わないということでバザー用に出ていた衣服の中からおばさん達のチョイス・・選んでくれて洋服を着させられました。
バザーの後、そのまま着てていいって言われたので洋服代も含めて寄付をしてきました。
やっぱり動きやすいズボンやシャツ、靴はとてもありがたかった。」
「それがあれか?」
と比古が外の方へ眼を向けた。
「うん、サイズピッタリ!・・寸法が丁度良くて。ごめん、なんか変な言葉使うよね。」
「気にするな。俺も気にしちゃいないさ。聞きなれない言葉も面白い。」
ふっと笑う比古に武尊は困ったように微笑んだ。
(比古さんは優しいな。)
思わす、はい、と声をかけながら比古に酒を注ぐ。
「うむ。」
比古はそう言って美味そうに酒を仰いだ。
そんな比古を見ながら武尊はまた話を続ける。
「あ、でもこのコートは違うの。コートはその後、またマーティン・・カフェおじさんの名前なんだけどね、マーティンから頂いたの。
バザーが終わって横浜からマーティンと一緒に東京に帰って・・またコーヒーとワッフル頂いて・・ワッフルは西洋のお菓子です・・。
お邪魔した後に途中まで一緒に行っていたら途中、あのハチマキ男と偶然会ってちょっとひと悶着、って時にマーティンの仲裁で夜ご飯をマーティンとハチマキ男と私で外国人居留地の料理屋で食べることになってしまった。
食事の後、またマーティンの家に行って・・ハチマキ男はお酒の飲みすぎで寝ちゃったんだけど・・私は何故マーティンがそこまでして私を引き留めるのか聞きました。
以前コーヒーを御馳走になった時、マーティンは日本に来た理由を私に話てくれました。
彼が若かった頃、長崎日本人女性と恋に落ちたものの帰国し、その後帰国した同僚からその女性に娘が出来たことを知って会えるものならと再び日本に来たということだった。
マーティンは向こうで結婚して娘さんがいたんだけど亡くなってました。
彼の家にはその娘さんの写真が飾ってあって、私に似ていると言って見せてくれました。
三年間、日本のどこかでいるであろう娘を探したけど見つからないので帰国って事だったんだけど、写真の娘さんに似ているからなのか、本当は私を連れて帰りたいとまで言った。
私はそれ以上お邪魔しては危ない雰囲気になったので『帰ります』って言ったら、このコートを持って来て私にくれたの。
バザーの時に頂いた洋服に合う冬物の上着が欲しかったけど、東京で見つけるのは難しそうと思っていたから受け取りました。
その翌日、私は恵さんに預けていた薬について何か分かったことはないかと伺いに診療所へ行きました。
でも、恵さんは故郷会津に帰ったって・・・・・・・・・・。
驚きすぎて・・とにかく薬はどうなったかと心配で、結局会津に行く理由ができてしまいました。
それからは会津に行くために数日支度をしました。
時尾さんが残してくれた米、味噌などを大八車に積んで神谷道場へ行きました。
あの家に誰もいないのが寂しくて、もう戻らないつもりだったからです。
で、神谷道場へ行って緋村さんに再び会いましたけど、やっぱり十六夜丸の心象が悪くて話になりませんでした。
前回私が神谷道場へ行った後、私の・・十六夜丸の事をみんなに話したみたいだったんですけど、それを私にも聞かせて欲しいと言ったら『殺めた者の命などお主の記憶にとどめる価値もないという事か』と言われて。
私が十六夜丸になった時はその時の記憶がないというのを知らないからだとは思ったんですが、言い方に腹が立って、『価値がないなど一言も言ってないのに勝手に決めつけないでください。』と言い返しました。
自論ですけど、人斬り抜刀歳と十六夜丸、人斬りという存在ということに置いて違いが分かりません。
だから、『昔の自分を棚に上げて私を批判するのはおかしいんじゃないですか?話は結構です、ただし師匠には今日のことは報告させてもらいます。』って言いました。」
そこで武尊は大きなため息をついた。
「と、いう経緯 です。」
「そうか。まあ、どんなに綺麗事を言っても”剣は凶器、剣術は殺人術”それが真実だからな。いくら不殺 を貫くと言っても昔の剣心は確かに人斬り。武尊の言う通りだな。」
比古の言葉を聞き、”でしょーでしょー!”と同意を求める武尊の訴え力に思わず比古も手を伸ばして武尊の頭をいい子いい子する。
「まあ俺は山を下りる前の武尊に、人斬りの罪に苦しむなら、と、同じく人斬りの罪に苦しんで贖罪の旅を十年続け、ようやく自分に対して前を向けるようになった馬鹿弟子の話が武尊の役に立つんじゃないかと安易に考えてしまった。
その答えなど当たり前だが人それぞれだ。
武尊が自分自身で出した答えが武尊自身の真実だからな。」
よしよしと武尊の頭を撫で続ける比古。
そんな比古の気持ちに申し訳なくなって、
「いえ・・比古さんがそうやって私を東京に行かせてくれたから今の私があります。ありがとうございます。でも十年・・長かったですね。緋村さんが人斬りをやめたのは維新が成ってからからですか?」
「いや、恐らく鳥羽伏見の戦いが始まってからじゃないのか?もう其の頃には狭い街中での斬りあいではなく大がかりな戦 になって戦い方も変わったからな。」
「なるほどですね。」
「この間な、武尊が二度目に現れる少し前に志々雄という男が京都で明治政府を転覆させるために京都の隠れ家に居たんだが・・。」
「はい、志々雄のことなら多少知ってます。・・一応斎藤さん付きの警官だったので・・。」
比古は一瞬だけじっと武尊を見たが、話しを続けた。
「剣心が志々雄の部下に逆刃刀を折られてな、こんなことでは志々雄に勝てないと十五年ぶりに奥義を俺に乞いに戻って来たことがあった。その後すぐに剣心を追って東京から薫という女と弥彦という小僧と葵屋の小娘が来てな、そいつらから剣心が何をしてきたか聞いたんだ。
本当に奥義を伝授していい人間かどうかを見極めるためにな。
剣心 は・・。」
真剣な目で比古の話を聞いている武尊の目を見て比古は言葉を止めた。
「いや、今は武尊の話を聞いてる時だったな。武尊の続きを聞かせてくれ。」
「いえ、大丈夫です。どうぞ続きを話してください。」
「剣心のことが気になるなら暇なときにでも話してやる。」
「・・わかりました。では私の話の続きを。」
そう言って武尊は続きを話し始めた。
「結局二回目も緋村さんと話をまともに出来なくて。でも持って来た米・味噌はもらってくれるというので大八車から下して帰ろうかと思った時に突然海軍少尉が神谷道場へ現れました。
誰に用事かと思えば『私』でした。
帰る途中に私に用事がある理由を聞きました。
彼は海軍一の射撃の腕前で、例の夜会事件の時の私の話を聞いて射撃の勝負をして欲しいというものでした。
私はそんな勝負を受ける理由もないし、もし受けたとしてもわざと負けるから意味がないと伝えました。
でも空の大八車を大家さんに返した後、銃を突き付けられて勝負を受けるように言われました。逃げたり相手をやり込めたりも出来たのですが、後々の事を考えて勝負を受けてもいいけど、この提案をした相手の上司に合わせるように言いました。
海軍少尉は私の条件を飲んでくれてその上司に合わせてくれて、射撃の勝負をする理由を話してくれました。
・・まあ、要するに短銃は今は海外製で、その大本が射撃の上手い方に納品するなんて言ったそうで、海軍としては何事においてもその取引先として選ばれたいから。という事でした。
真面目に海軍少尉と射撃の腕を競ったら勝ってしまったので、外国船が横浜に来る翌月の十日にまた横浜に戻るとして、二十日以上あったし、それまでに恵さんに預けた薬を取り戻しに会津に行きました。
でも恵さん、私が預けた薬の事はすっかり忘れていて、彼女が使っていた薬箱に入れっぱなしにしてたそうなのですが、その薬箱を緋村さんの為にその彼女の薫さんにあげたとのことでした。
会津まで来たのにまた東京に・・神谷道場に逆戻り・・と思ったらガックリでした。
折角会津まで来たので、私の記憶の最後の地、母成峠に行きました。
兄や十六夜丸の手掛かりがあるのではないかと思ったからです。
でも何も手掛かりなく、冷たい雨も降ったし寒いし足元が悪いなと思っていたら滑って足をぐねって頭も打って気を失いました。
気が付けば、蒼紫の背中に負ぶられていました。
京都に帰ったはずの蒼紫がどうしてここに?と思いましたが、京都に戻るお金も渡してなかったから戻って来たと言っていました。
にしても会津まで自分を追って来たことには驚きましたが、お陰で凍えるような山で放置されていたら危なかったので助かりました。
蒼紫のツテで会津の温泉に泊まって数日ゆっくり出来ました。
でもその時、偶然にも九条に会ってしまいました。
九条というのは兄が『気をつけろ』と言っていた安西です。
政府の役人だったので、すれ違った時は安西だとしばらく後まで分かりませんでしたが嫌な感じを纏わせた男でした。
温泉宿を離れる時に男につけられたので九条の差し金だったと思いました。
・・もちろんその男は蒼紫と私で捕まえて山に置き去りにしてきましたよ。」
そしてそのまま話を続けた。
「兄の最後の消息は比古さんの所だった。
って今ごろ気が付くかって落ち込みましたが落ち込むだけ落ち込んだら少し気持ちが上を向きそうになったので『落ち込むのはもうおわり!』、と自分に言い聞かせて、前向きに予定をこなすことに集中しました。
先ずはミサで歌う約束。
歌う代わりにマフラーを譲って頂けたようなものなので約束は守りました。
そこで私の恰好が着流しでは合わないということでバザー用に出ていた衣服の中からおばさん達のチョイス・・選んでくれて洋服を着させられました。
バザーの後、そのまま着てていいって言われたので洋服代も含めて寄付をしてきました。
やっぱり動きやすいズボンやシャツ、靴はとてもありがたかった。」
「それがあれか?」
と比古が外の方へ眼を向けた。
「うん、サイズピッタリ!・・寸法が丁度良くて。ごめん、なんか変な言葉使うよね。」
「気にするな。俺も気にしちゃいないさ。聞きなれない言葉も面白い。」
ふっと笑う比古に武尊は困ったように微笑んだ。
(比古さんは優しいな。)
思わす、はい、と声をかけながら比古に酒を注ぐ。
「うむ。」
比古はそう言って美味そうに酒を仰いだ。
そんな比古を見ながら武尊はまた話を続ける。
「あ、でもこのコートは違うの。コートはその後、またマーティン・・カフェおじさんの名前なんだけどね、マーティンから頂いたの。
バザーが終わって横浜からマーティンと一緒に東京に帰って・・またコーヒーとワッフル頂いて・・ワッフルは西洋のお菓子です・・。
お邪魔した後に途中まで一緒に行っていたら途中、あのハチマキ男と偶然会ってちょっとひと悶着、って時にマーティンの仲裁で夜ご飯をマーティンとハチマキ男と私で外国人居留地の料理屋で食べることになってしまった。
食事の後、またマーティンの家に行って・・ハチマキ男はお酒の飲みすぎで寝ちゃったんだけど・・私は何故マーティンがそこまでして私を引き留めるのか聞きました。
以前コーヒーを御馳走になった時、マーティンは日本に来た理由を私に話てくれました。
彼が若かった頃、長崎日本人女性と恋に落ちたものの帰国し、その後帰国した同僚からその女性に娘が出来たことを知って会えるものならと再び日本に来たということだった。
マーティンは向こうで結婚して娘さんがいたんだけど亡くなってました。
彼の家にはその娘さんの写真が飾ってあって、私に似ていると言って見せてくれました。
三年間、日本のどこかでいるであろう娘を探したけど見つからないので帰国って事だったんだけど、写真の娘さんに似ているからなのか、本当は私を連れて帰りたいとまで言った。
私はそれ以上お邪魔しては危ない雰囲気になったので『帰ります』って言ったら、このコートを持って来て私にくれたの。
バザーの時に頂いた洋服に合う冬物の上着が欲しかったけど、東京で見つけるのは難しそうと思っていたから受け取りました。
その翌日、私は恵さんに預けていた薬について何か分かったことはないかと伺いに診療所へ行きました。
でも、恵さんは故郷会津に帰ったって・・・・・・・・・・。
驚きすぎて・・とにかく薬はどうなったかと心配で、結局会津に行く理由ができてしまいました。
それからは会津に行くために数日支度をしました。
時尾さんが残してくれた米、味噌などを大八車に積んで神谷道場へ行きました。
あの家に誰もいないのが寂しくて、もう戻らないつもりだったからです。
で、神谷道場へ行って緋村さんに再び会いましたけど、やっぱり十六夜丸の心象が悪くて話になりませんでした。
前回私が神谷道場へ行った後、私の・・十六夜丸の事をみんなに話したみたいだったんですけど、それを私にも聞かせて欲しいと言ったら『殺めた者の命などお主の記憶にとどめる価値もないという事か』と言われて。
私が十六夜丸になった時はその時の記憶がないというのを知らないからだとは思ったんですが、言い方に腹が立って、『価値がないなど一言も言ってないのに勝手に決めつけないでください。』と言い返しました。
自論ですけど、人斬り抜刀歳と十六夜丸、人斬りという存在ということに置いて違いが分かりません。
だから、『昔の自分を棚に上げて私を批判するのはおかしいんじゃないですか?話は結構です、ただし師匠には今日のことは報告させてもらいます。』って言いました。」
そこで武尊は大きなため息をついた。
「と、いう
「そうか。まあ、どんなに綺麗事を言っても”剣は凶器、剣術は殺人術”それが真実だからな。いくら
比古の言葉を聞き、”でしょーでしょー!”と同意を求める武尊の訴え力に思わず比古も手を伸ばして武尊の頭をいい子いい子する。
「まあ俺は山を下りる前の武尊に、人斬りの罪に苦しむなら、と、同じく人斬りの罪に苦しんで贖罪の旅を十年続け、ようやく自分に対して前を向けるようになった馬鹿弟子の話が武尊の役に立つんじゃないかと安易に考えてしまった。
その答えなど当たり前だが人それぞれだ。
武尊が自分自身で出した答えが武尊自身の真実だからな。」
よしよしと武尊の頭を撫で続ける比古。
そんな比古の気持ちに申し訳なくなって、
「いえ・・比古さんがそうやって私を東京に行かせてくれたから今の私があります。ありがとうございます。でも十年・・長かったですね。緋村さんが人斬りをやめたのは維新が成ってからからですか?」
「いや、恐らく鳥羽伏見の戦いが始まってからじゃないのか?もう其の頃には狭い街中での斬りあいではなく大がかりな
「なるほどですね。」
「この間な、武尊が二度目に現れる少し前に志々雄という男が京都で明治政府を転覆させるために京都の隠れ家に居たんだが・・。」
「はい、志々雄のことなら多少知ってます。・・一応斎藤さん付きの警官だったので・・。」
比古は一瞬だけじっと武尊を見たが、話しを続けた。
「剣心が志々雄の部下に逆刃刀を折られてな、こんなことでは志々雄に勝てないと十五年ぶりに奥義を俺に乞いに戻って来たことがあった。その後すぐに剣心を追って東京から薫という女と弥彦という小僧と葵屋の小娘が来てな、そいつらから剣心が何をしてきたか聞いたんだ。
本当に奥義を伝授していい人間かどうかを見極めるためにな。
真剣な目で比古の話を聞いている武尊の目を見て比古は言葉を止めた。
「いや、今は武尊の話を聞いてる時だったな。武尊の続きを聞かせてくれ。」
「いえ、大丈夫です。どうぞ続きを話してください。」
「剣心のことが気になるなら暇なときにでも話してやる。」
「・・わかりました。では私の話の続きを。」
そう言って武尊は続きを話し始めた。
「結局二回目も緋村さんと話をまともに出来なくて。でも持って来た米・味噌はもらってくれるというので大八車から下して帰ろうかと思った時に突然海軍少尉が神谷道場へ現れました。
誰に用事かと思えば『私』でした。
帰る途中に私に用事がある理由を聞きました。
彼は海軍一の射撃の腕前で、例の夜会事件の時の私の話を聞いて射撃の勝負をして欲しいというものでした。
私はそんな勝負を受ける理由もないし、もし受けたとしてもわざと負けるから意味がないと伝えました。
でも空の大八車を大家さんに返した後、銃を突き付けられて勝負を受けるように言われました。逃げたり相手をやり込めたりも出来たのですが、後々の事を考えて勝負を受けてもいいけど、この提案をした相手の上司に合わせるように言いました。
海軍少尉は私の条件を飲んでくれてその上司に合わせてくれて、射撃の勝負をする理由を話してくれました。
・・まあ、要するに短銃は今は海外製で、その大本が射撃の上手い方に納品するなんて言ったそうで、海軍としては何事においてもその取引先として選ばれたいから。という事でした。
真面目に海軍少尉と射撃の腕を競ったら勝ってしまったので、外国船が横浜に来る翌月の十日にまた横浜に戻るとして、二十日以上あったし、それまでに恵さんに預けた薬を取り戻しに会津に行きました。
でも恵さん、私が預けた薬の事はすっかり忘れていて、彼女が使っていた薬箱に入れっぱなしにしてたそうなのですが、その薬箱を緋村さんの為にその彼女の薫さんにあげたとのことでした。
会津まで来たのにまた東京に・・神谷道場に逆戻り・・と思ったらガックリでした。
折角会津まで来たので、私の記憶の最後の地、母成峠に行きました。
兄や十六夜丸の手掛かりがあるのではないかと思ったからです。
でも何も手掛かりなく、冷たい雨も降ったし寒いし足元が悪いなと思っていたら滑って足をぐねって頭も打って気を失いました。
気が付けば、蒼紫の背中に負ぶられていました。
京都に帰ったはずの蒼紫がどうしてここに?と思いましたが、京都に戻るお金も渡してなかったから戻って来たと言っていました。
にしても会津まで自分を追って来たことには驚きましたが、お陰で凍えるような山で放置されていたら危なかったので助かりました。
蒼紫のツテで会津の温泉に泊まって数日ゆっくり出来ました。
でもその時、偶然にも九条に会ってしまいました。
九条というのは兄が『気をつけろ』と言っていた安西です。
政府の役人だったので、すれ違った時は安西だとしばらく後まで分かりませんでしたが嫌な感じを纏わせた男でした。
温泉宿を離れる時に男につけられたので九条の差し金だったと思いました。
・・もちろんその男は蒼紫と私で捕まえて山に置き去りにしてきましたよ。」