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288.長い夜、長い物話(6)(比古・夢主)
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==比古サイド==
武尊が持って帰ってきた荷物に刀があったことは多少の驚きだったが、そういう曰 くの刀だったことに比古は納得をした。
雪に刺さった刀を抜いて小屋に持ち帰り、鞘に納めた時に見えた家紋。
斎藤という男がどれほど武尊を愛していたのか、刀を持つだけで理解できる。
嫉妬がないと言えば嘘になる。
だが怒りも腹立たしさもない。
実際そのひと月、武尊は藤田夫婦、・・斎藤一に守られて大きく育み育てられたのだろう。
ふっ、と静かな笑みとともに盃をあおる。
武尊を見ると、残った酒を(と言っても盃に半分も残ってなかったが)、一気にあおっていた。
『斎藤が恋しいか?』
そう口から言葉が出そうな自分がいたが喉奥で飲みこんだ。
そう聞けばどうこたえるだろう。知りたい。
「斎藤が恋しいか?」
飲み込んだはずの言葉が何故かスルリと出た。
武尊は一瞬目を大きくして自分を見たあと、
「うん、恋しいよ。」
と言った。
それを聞いて自分の心臓がドクッと大きく鳴った。
だが武尊はその後すぐに、
「でも別れは済ませた。」
と、はっきり言った。
「私が・・十六夜丸が狙われている。そう分かったら私がいることで迷惑がかかる。迷惑程度で済まない可能性の方が高かったから離れた方がいいとも思ったし・・二人には私と出会う事のない史実通り、幸せでいて欲しかったから。
私はそのひと月、本当に”人”として生きたと思った。
だから港で一人になった時、心に穴が開いたようだった。しばらく立ち尽くしていたんだけど我に返って、自分のやるべきことをやらなきゃって思って、重たい足を引きずるように帰りました。」
==再び武尊の振り返り話に戻る==
武尊が持って帰ってきた荷物に刀があったことは多少の驚きだったが、そういう
雪に刺さった刀を抜いて小屋に持ち帰り、鞘に納めた時に見えた家紋。
斎藤という男がどれほど武尊を愛していたのか、刀を持つだけで理解できる。
嫉妬がないと言えば嘘になる。
だが怒りも腹立たしさもない。
実際そのひと月、武尊は藤田夫婦、・・斎藤一に守られて大きく育み育てられたのだろう。
ふっ、と静かな笑みとともに盃をあおる。
武尊を見ると、残った酒を(と言っても盃に半分も残ってなかったが)、一気にあおっていた。
『斎藤が恋しいか?』
そう口から言葉が出そうな自分がいたが喉奥で飲みこんだ。
そう聞けばどうこたえるだろう。知りたい。
「斎藤が恋しいか?」
飲み込んだはずの言葉が何故かスルリと出た。
武尊は一瞬目を大きくして自分を見たあと、
「うん、恋しいよ。」
と言った。
それを聞いて自分の心臓がドクッと大きく鳴った。
だが武尊はその後すぐに、
「でも別れは済ませた。」
と、はっきり言った。
「私が・・十六夜丸が狙われている。そう分かったら私がいることで迷惑がかかる。迷惑程度で済まない可能性の方が高かったから離れた方がいいとも思ったし・・二人には私と出会う事のない史実通り、幸せでいて欲しかったから。
私はそのひと月、本当に”人”として生きたと思った。
だから港で一人になった時、心に穴が開いたようだった。しばらく立ち尽くしていたんだけど我に返って、自分のやるべきことをやらなきゃって思って、重たい足を引きずるように帰りました。」
==再び武尊の振り返り話に戻る==