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287.長い夜、長い物話(5)(比古・夢主)
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「さすがにあれだけの傷、十六夜丸にも治癒の限度があるようで、死んでいないというだけでかなり危ない状態だったそうです。
目が覚めた時は診療所のベッドでした。
蒼紫が私を診療所に運んで、恵さん・・。診療所の美人で腕のいい女医さんです。二人で手当てをしてくれました。
蒼紫はずっと私についていてくれました。
意識が戻った時、このまま死んだら何度も私を助けてくれた蒼紫に恩返しもできないと、私は蒼紫にこんな私でもできることがないかききました。
蒼紫の気持ちも聞いていたので、夫婦になってくれみたいなお願いは却下するとはちゃんと言いました。
そうしたら、自分を名前で呼んでくれと言われて・・
それまでは蒼紫の事を『四乃森さん』って言ってましたが、この時から『蒼紫』と呼ぶようになりました。
斎藤さんもお見舞いに来てくれて、
蒼紫も同じ部屋にいたから、神社でどうして刀を抜いていたのかと問い詰めると、私の今後をどうするってことを言い争ううちに成り行きでそうなったってお互いが言うから、
・・はぁ(ため息)
まじ切れして怒りました!
そんなくだらないことで刀を抜くなんてしないでって。
二人とも珍しく反省したみたいですが・・。
十六夜丸の治癒の力は普通の回復と経過が違って早く傷が塞がっていく気がしましたが、それでも傷口が閉じるには少し日にちがかかりました。
それでも数日後には退院出来て、緋村さんにようやく会える日がきました。
その時の私は、緋村さんはどんな人だろう、どういう話をしよう。という期待感より、幕末人斬り同士、敵味方で殺りあったことがあるということを知ってしまって、とても憂鬱でした。
それでも会って話を聞かないと、と思い、時尾さんが作ってくれたとても美味しい炊き込みごはんのおにぎりを詰めたお重を手土産に神谷道場へ向かいました。
途中から道案内で出迎えてくれた蒼紫が重たい重箱が入った風呂敷を持ってくれました。
神谷道場の土塀の壁には大きな穴が開いていて、そこから敷地内に入りました。
雪代縁達の襲撃で破壊された跡に驚いてきょろきょろしてると蒼紫がいつの間にかいなくなっていました。手土産を持ってもらっていたので焦って蒼紫を探していたら裏庭の方で声がしました。
手ぶらでこんにちは、というのは恰好がつかないと思ったので木の陰から声の主を探しました。
私に背を向け、大きなたらいで洗濯をしている小柄な赤い髪を束ねた人、それからその向こうに若い女性。
洗濯をしている人が緋村さんなのでは、と思っていたところ、緋村さんの向こうから白い服を着たハチマキをした若い男が現れて私達が到着したことを告げました。その時私の後ろで蒼紫が、『ここにいたのか』って声をかけてきたので隠れているわけにいかず、挨拶をするため姿を現しました。
緋村さんは私の顔を見た瞬間に、十六夜丸と分かったようです。
洗濯ものを放り投げ、薫さんの前に立ち刀に手を掛けました。
蒼紫の時と違い、事前に十六夜丸と接触があったかどうか知っていたので緋村さんの反応も考えていたことだったので驚きはしませんでした。
けど、どうやって話をしようか、と考えようとした時、何故かハチマキ男がすごい剣幕で私に殴りかかってきました。
それは予想外で、びっくりして両腕で防御するのが精一杯で、受けたはいいものの吹っ飛んで背中を道場の壁にたたきつけられました。
その後もすぐ殴りかかってきましたが、何とかすべて避けました。
お互い息を切らしていると緋村さんが、その男を止めに入り、私を殴る理由を聞きました。
『赤報隊を知っているだろう、俺はその時準隊士だった。』と言われましたが、私は赤報隊を知らず、黙っているとハチマキ男は怒りをぶつけるところを探すように道場を出ていきました。
その後、緋村さんから『右頬に三本傷・・十六夜丸か。』って聞かれて、
自分だって昔は抜刀歳だって言われ続けたくせに今は緋村剣心だ、人斬りはしないって言うのに私のことは”十六夜丸”って聞くのが納得いかなかったというか、腹がたった・・のだと思います。私は二回も自分のことを『土岐武尊』だって自己紹介したのに。
だから私は『貴方は私から抜刀斎と言われたいですか、それとも緋村さんと呼ばれたいですか』って聞いてやりました。
私も冷静になれなかったし、緋村さんもそんな感じだと思ったので、『師匠から言われてあなたに会いに来ましたがとりあえず今日は挨拶だけにしておいた方が良さそうですね。十日後また来ます。手土産は良かったら皆さんで召し上がってください。』って言ってその日は帰りました。
折角私の為に手土産を作ってくれたのを無駄にしたくなくて置いてきましたが、やっぱり持って帰ればよかった。」
今思い返してもその手土産の件はモヤモヤすると武尊は思い、その心の声がしっかり漏れていた。
「あ、十日後というのは、私の警官としての期限が切れる日です。だから十日後っていいました。」
そこまで言うと、武尊はお重から栗きんとんをお皿に取り分け、ドクダミ茶を追加で入れて無言で一口食べてはお茶を飲んだ。
そんな武尊の様子を見ながら比古は、武尊と剣心が向き合った様子がまるで目に見えるようだと一瞬静かに目を閉じ、また開いて酒をあおった。
武尊は栗きんとんをとお茶を交互に五回ほど繰り返して口に運んだ後、また話を続けた。