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287.長い夜、長い物話(5)(比古・夢主)
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「翌日、机でできる仕事をして定時に私だけ帰りました。斎藤さんは残業です。
昨晩の事で私の股関節は痛くて普通に歩けなくて、でも頭の中は時尾さんにバレないように態度をいつも通りにしなくっちゃ、という事で頭がいっぱいで歩いてました。
帰路の途中、誰かが私を追い抜き様に声をかけていきました。
蒼紫でした。
私が誰かにつけられているから振り向かずに次の十字路を曲がれって言ったんです。身体が思うように動かない時に限ってなんて運がないと思いましたが蒼紫のお陰で切り抜けました。そして念のため、と言って家まで送ってくれました。
家に着いて、いつも通り時尾さんが出迎えてくれたのですが、振り返ったら蒼紫が家の中までついてきててびっくりしました。
蒼紫は私の身体の不調の原因を見抜いて腰が痛くなくなるツボ押し?みたいなのをするためについてきたということで、やってもらったらかなり楽になりお陰で変な恰好で歩いていたのが普通に歩けるようになって、時尾さんに怪しまれずに済みました。
蒼紫は帰る時に『私をつけていたのが十六夜丸じゃなくて私自身だ』って言ったのが気になりましたがそれ以上の事は分からなくて、その時は心にとめておくだけでした。
それから緋村さんの近況も蒼紫から聞きました。『神谷薫と京都に行っているから戻ってくる六日後に私を迎えに来ることを斎藤さんに伝えている。』という事も聞きました。
斎藤さんは全然緋村さんの情報を教えてくれなかったので・・忙しすぎてそれどころではなかったのはありますが、とにかくこれで、雪代縁のことはひと段落終わったと思いました。
斎藤さんと蒼紫はあまり仲が良くないみたいで・・
まぁ、お互い誰とでも友達になれるという性格ではない、というのは何となく分かるのですが・・
蒼紫が家についてきた翌日、斎藤さんは残務整理で警察署に行き、私は張の所へ行きました。
張は密輸の武器に動きがあったといいました。急いで斎藤さんを呼んで来る必要がありました。
私は走って・・急いで斎藤さんを探しましたがなかなか会えなくて、見当をつけた神社があったので必死で神社の階段を上りました。
空が真っ黒になったと思ったら、少し前から降ってきた雨が突然雷を伴ってひどくなって、階段を登り切った時は桶をひっくり返したような土砂降りで・・
でも私がそこで見たのは、刀を抜いた斎藤さんと同じく小太刀を両手に持った蒼紫でした。
頭が真っ白になって、
でも止めなくちゃと思って駆け出して、
その時雷が近くに落ちて、視界が一瞬、真っ白になって、
周りが見えたと思った時は斎藤さんと蒼紫に斬られてました。
・・当たり前ですよね、二人の間に割り込んだんだから・・
本当に、私、死ぬんだ・・って思いました。
斎藤さんに何とか張の事を伝え、気が遠くなっていく中、突然、口の中にあの薬の味がして、驚きで一瞬気を取り直したんだけどそのまま意識を失った・・。
私が最初に藤田家に来た時、裁縫道具を借りて比古さんからもらった薬を入れた袋を制服の裏に縫い付けていたことを斎藤さんはいつの間にか気づいていた。
私から聞いたことを集めて私が十六夜丸になる方法に仮説を立てていた。
それがこれで証明されてしまった。
兄がいなくても、薬さえあれば十六夜丸は甦る・・。
兄と斎藤さんと蒼紫の三人だけがこの秘密を知っている・・。
斎藤さんは十六夜丸に『私の傷を治せ』と命令しました。
お陰で私は何とか死なずにすみました・・。
比古さんがさっき見た傷はこの時の傷です。痕は残ってますが、今は全然痛くないから大丈夫ですよ。」
武尊は少し冷めたドクダミ茶を一口、二口、と飲んでため息をついた。