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281.裏切りの告白(比古・夢主)
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小屋の中は暗かったが灯りが少しあった。
比古が珍しく熱燗を飲もうと思って鉄鍋に水を入れていた為、ほったらかしにされた囲炉裏の薪の火が小さく残っていたのだ。
比古も武尊の返り血で赤く染まったマントと手甲を脱ぎ、そして武尊の為に小さなタライにお湯を分け、浸した手ぬぐいを絞っていた。
武尊が小屋に飛び込むとすぐに比古に、
「下もだ!」
と言われ、
「え!?」
と、武尊がズボンを見れば確かに赤黒いシミが付いていた。
(ズボンも血がついていた~~。)
がっかりしながら武尊はズボンも脱いでたらいに入れるとヒモパン一枚で手ぬぐいを絞って待っててくれている比古のもとへ走った。(寒いので)
比古は比古で、
(確か武尊に渡したのは俺の褌(ふんどし)だったよな。何だこれは>>>ヒモパン。)
などと回想しながら絞った手ぬぐいの一つを武尊に渡す。
「これで顔を拭け。」
「うん、ありがと。」
武尊がまだ熱い手ぬぐいを広げると湯気が一瞬立ち、急速に冷えていく。
熱を逃さないように武尊が急いで顔を拭く。
と、同時に熱っ・・すぐに温かい手ぬぐいの感触が武尊の胸を、お腹をこする。
「ひぇっ!」
武尊は思わず情けない声をあげる。
と、同時に胸を見られて恥ずかしいという気持ちでいっぱいになった。
そんな武尊の気持ちを見透かし比古は、
「武尊の裸はしばらくぶりだが初めてってわけじゃぁねぇんだし。速さが大事なんだよ。風邪ひく前にさっさと終わらせないとな。」
と言い、手ぬぐいを変えて素早く武尊を拭き上げていく。
比古の言うことはごもっとも。
でも恥ずかしすぎる、と思いながらも血が拭かれた肌は爽快感満点だ。
武尊は比古にされるがままに拭いてもらっていた。
武尊が顔を拭きふきしている間、体を拭いている比古だがその目線は武尊に声かけしているほど穏やかではない。
まず正面。
比古は自分が武尊を刺し貫いた場所を凝視するが驚きを隠せない。
貫いた心の臓の真上は新しい皮膚で盛り上がってはいるものの完全に傷が塞がっていたからだ。
薄暗いとはいえ、比古の目は野生の動物のように良く見える。
ましてこんなに至近距離なら血の色も分かるし傷痕も分かる。
そして自分がつけた真新しい刀傷の下の腹部には同じような、けれどもそれは今日より時間が経った傷、ただし横向き。
形状から自分と同じような刀傷、刺突にであることは間違いなかった。
山を下りる前の武尊の身体には肩の傷一つだけだった、はず。
そして背中。
自分の貫いた所は正面側と同じように新しい皮膚が盛り上がっているが、その他に背中側にも横一文字の刀傷と、背中一面に大きなクロスの刀傷があることに気が付いた。
(何が起こったんだ!?)
比古がそう思った時、武尊も一と蒼紫の刀傷をハッと思い出し、目を見開いて比古に振り返った。
(今はそれを追及はしない。)
そう比古は瞬時に判断した。
比古と武尊は刹那沈黙状態となったが、比古はすぐに手ぬぐいを持ってない方の手でワシワシと武尊の髪を撫で、電光石火のごとく武尊の持っている手ぬぐいを回収し、自分の手ぬぐいと一緒にたらいに入れると武尊を抱え上げ、有無を言わさず布団に放り込んだ。
「ぶわっ!」
自分の傷を見られてヤバいと思った瞬間、頭ワシワシで体が宙に浮いた!と思ったら・・冷たい布団に突っ込まれ、とどめのごとく掛け布団を上からバフバフと叩かれた。
変な声が出てしまったと思うも冷たい布団にぎゅっと身を縮める武尊だった。
「比古さん!」
この傷をどう説明しよう・・何も言わない比古に困惑しながらも呼びかけると、
「ちょっと冷たいと思うが大人しくそこで布団を温めて待ってろ。俺はちょっと片付けしてこないとな。」
比古はそう言うと手ぬぐいの入ったたらいと自分の脱いだマントを持ち外へ出て行った。
(比古さん、私も一緒に・・)
そう言いたくて口を開くが喉の奥から声が出ない。
比古がどういう思いで自分を布団の中に入れたかが分かるからだ。
今自分にできることは、身体を氷のように冷たくして帰って来る比古のために布団を温かくしておくことだけ・・。
そう思った武尊は布団の中で一生懸命手足をこするのだった。