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般若、本名、般若達也。
彼は平凡なサラリーマン家庭に生まれた。
だが彼が高校生の時に父が会社をリストラされてから両親の中が悪くなっていった。
大学に合格し入学式から帰って来た日、彼の両親はいなくなっていた。
何か一言でも書置きがあればよかったのだろうか、それさえもなく忽然と彼は両親を失ったのである。
入試では優秀な成績であったため大学へは奨学金で通っている。
式尉、本名、式尉大地。
観斎大学付属高校へ重量挙げの特待生として入学。
大学に入って時期オリンピックの有力候補と騒がれたころ突然身に覚えのないドーピング疑惑をかけられそれが原因で暴力沙汰を起しスポーツ界を去った。
火男、本名、野火飛男
”とびお”という名前なの火に当ったように紅い顔をしているので子供のころから火男(ひょっとこ)と般若にあだ名を付けられ現在に至る。
般若と幼馴染。
実家は30年続く裏通りのパン屋さんで祖母、両親、と5人の弟がいる。
日中はキャンパスに数多くする売店の一つに商品を運搬するのが彼の仕事で夜間学部ということになっている。
癋見、本名、氏原癋見
火男と同じ夜間部の学生。
教室でたそがれているときに火男と出会った。
火男とは口げんかをすることも多いが何となく気が合う。
火男を通して【御庭番衆】の一員となった。
何故だか特技は似顔絵かき。
「・・・・ううっ。」
「般若、気が付いたみたいだぜ。」
「嗚呼、分かっている。」
武尊がうっすら目を開けるとそこは知らない場所だった。
汚い倉庫のような所で武尊は手と足を縛られていた。
すでに夜になっているようで時々ちらつく蛍光灯の下に武尊が気絶させられる前に見た四人の顔があった。
「ちょっと、いきなり薬で眠らせるなんて卑怯じゃない!」
起きて早々勢いのいい武尊に式尉が武尊のもたれている壁を叩いた。
部屋が振動する音と式尉が叩いた壁が割れてパラパラとかけらが落ちた。
「静かにしな、俺はうるさい女は嫌いなんだ。」
「・・・。」
なんて人に捕まったんだろうと、背筋を震わせた武尊は急いで自分を点検した。
若しかして寝ている間にいたずらをされたのかもしれないと焦ったからだ。
そんな武尊に般若は
「あんたは斎ノ森蒼紫のこれか。」
と、小指を立てた。
その意味が分からず首を傾げる武尊に癋見が横から、
「斎ノ森の女かって聞いてんだよ!」
と高い声で叫んだ。
一方的に怒鳴られた事よりも兄の女と言われて目をぱちくりさせた武尊だった。
「彼女なんかじゃないよ、私は妹。全然似てないけどね。」
「い、妹~!?」
火男と癋見は思わず声をあげ、般若と式尉は無言で唸った。
「蒼紫にいに用事があるなら直接言えばいいじゃない。何で他の人を巻き込むのかなぁ。」
「だってよ尾行してもいつもいつの間にか撒かれ・・。」
情けないこちらの事情を暴露するなと、般若は癋見の頭をぐーで殴った。
「痛てぇ!」
「俺達はあんたの兄に用事があるんだ。今から電話でここに来いと言え。」
「話があるなら明日直接話に行けば?学部と教室教えるから。」
「分かってないな、俺達はあの有名な不良グループ泣く子も黙る【御庭番衆】だ。金を巻き上げるのにのこのここっちから出かけて行くわけがないだろう。」
「【御庭番衆】?聞いたことないけど・・。どっちにしても蒼紫にいに用事があるならガムテープ取ってよ。私帰るから。」
「帰すわけねーだろ。妹を返して欲しかったら五万円持ってここに来いって連絡しろと般若は言ってるんだよ。」
「それって犯罪だよ。もしそんな事したら一にいに電話してやる。」
「ぐだぐたうるせぇな、言われた通りにしないとてめぇがどうなってもいいんだな。」
バキバキと指をならす式尉に
「やめろ。斎ノ森が来なかった時は好きにすればいい。それまではこいつは大事な人質だからな。」
と般若は言った。そして、
「言っている意味がわかるよな。だったらさっさと電話しろ。たった五万で手をうってやると言っているうちにな。」
と、いつの間にか武尊のポケットから取ったスマホを突き出した。
武尊はくやしそうに唇を噛みながら般若を見上げた。
「今何時・・?蒼紫にいバイトだから終わるまで電話するの待って・・。」
「バイトした金で彼女にプレゼントでも買ってやるのか?」
「違うよ、うちは両親がいないからすでに働いている一番上の兄が私達を養ってくれてるんだけど大学の費用が足らないから蒼紫にいがそれをバイトで助けてるんだ。」
「・・・・。」
金持ちのボンボンに見えた野郎が実は苦労人と分かって四人は気まずくなった。
自分達はワルだと言っていても今のところ金を巻き上げていたのはブランド物を持ったり金のネクレッスをしているすかした野郎ばかりだったからだ。
「待ってくれるなら電話するけど、うちの兄貴は強いからね。怪我をしたくなかったら今のうちに私を解放した方がいいよ。今だったら今日の事は黙っててあげるから。」
「いくら強くても俺達四人相手にかなうわけないだろ。大事な兄さんを怪我させたくなかったらお前からもおとなしく金を出すように言った方がいいぜ。」
こうして蒼紫はバイトから帰る途中で電話を受け血相を変えて大学へ戻って来た。
彼は平凡なサラリーマン家庭に生まれた。
だが彼が高校生の時に父が会社をリストラされてから両親の中が悪くなっていった。
大学に合格し入学式から帰って来た日、彼の両親はいなくなっていた。
何か一言でも書置きがあればよかったのだろうか、それさえもなく忽然と彼は両親を失ったのである。
入試では優秀な成績であったため大学へは奨学金で通っている。
式尉、本名、式尉大地。
観斎大学付属高校へ重量挙げの特待生として入学。
大学に入って時期オリンピックの有力候補と騒がれたころ突然身に覚えのないドーピング疑惑をかけられそれが原因で暴力沙汰を起しスポーツ界を去った。
火男、本名、野火飛男
”とびお”という名前なの火に当ったように紅い顔をしているので子供のころから火男(ひょっとこ)と般若にあだ名を付けられ現在に至る。
般若と幼馴染。
実家は30年続く裏通りのパン屋さんで祖母、両親、と5人の弟がいる。
日中はキャンパスに数多くする売店の一つに商品を運搬するのが彼の仕事で夜間学部ということになっている。
癋見、本名、氏原癋見
火男と同じ夜間部の学生。
教室でたそがれているときに火男と出会った。
火男とは口げんかをすることも多いが何となく気が合う。
火男を通して【御庭番衆】の一員となった。
何故だか特技は似顔絵かき。
「・・・・ううっ。」
「般若、気が付いたみたいだぜ。」
「嗚呼、分かっている。」
武尊がうっすら目を開けるとそこは知らない場所だった。
汚い倉庫のような所で武尊は手と足を縛られていた。
すでに夜になっているようで時々ちらつく蛍光灯の下に武尊が気絶させられる前に見た四人の顔があった。
「ちょっと、いきなり薬で眠らせるなんて卑怯じゃない!」
起きて早々勢いのいい武尊に式尉が武尊のもたれている壁を叩いた。
部屋が振動する音と式尉が叩いた壁が割れてパラパラとかけらが落ちた。
「静かにしな、俺はうるさい女は嫌いなんだ。」
「・・・。」
なんて人に捕まったんだろうと、背筋を震わせた武尊は急いで自分を点検した。
若しかして寝ている間にいたずらをされたのかもしれないと焦ったからだ。
そんな武尊に般若は
「あんたは斎ノ森蒼紫のこれか。」
と、小指を立てた。
その意味が分からず首を傾げる武尊に癋見が横から、
「斎ノ森の女かって聞いてんだよ!」
と高い声で叫んだ。
一方的に怒鳴られた事よりも兄の女と言われて目をぱちくりさせた武尊だった。
「彼女なんかじゃないよ、私は妹。全然似てないけどね。」
「い、妹~!?」
火男と癋見は思わず声をあげ、般若と式尉は無言で唸った。
「蒼紫にいに用事があるなら直接言えばいいじゃない。何で他の人を巻き込むのかなぁ。」
「だってよ尾行してもいつもいつの間にか撒かれ・・。」
情けないこちらの事情を暴露するなと、般若は癋見の頭をぐーで殴った。
「痛てぇ!」
「俺達はあんたの兄に用事があるんだ。今から電話でここに来いと言え。」
「話があるなら明日直接話に行けば?学部と教室教えるから。」
「分かってないな、俺達はあの有名な不良グループ泣く子も黙る【御庭番衆】だ。金を巻き上げるのにのこのここっちから出かけて行くわけがないだろう。」
「【御庭番衆】?聞いたことないけど・・。どっちにしても蒼紫にいに用事があるならガムテープ取ってよ。私帰るから。」
「帰すわけねーだろ。妹を返して欲しかったら五万円持ってここに来いって連絡しろと般若は言ってるんだよ。」
「それって犯罪だよ。もしそんな事したら一にいに電話してやる。」
「ぐだぐたうるせぇな、言われた通りにしないとてめぇがどうなってもいいんだな。」
バキバキと指をならす式尉に
「やめろ。斎ノ森が来なかった時は好きにすればいい。それまではこいつは大事な人質だからな。」
と般若は言った。そして、
「言っている意味がわかるよな。だったらさっさと電話しろ。たった五万で手をうってやると言っているうちにな。」
と、いつの間にか武尊のポケットから取ったスマホを突き出した。
武尊はくやしそうに唇を噛みながら般若を見上げた。
「今何時・・?蒼紫にいバイトだから終わるまで電話するの待って・・。」
「バイトした金で彼女にプレゼントでも買ってやるのか?」
「違うよ、うちは両親がいないからすでに働いている一番上の兄が私達を養ってくれてるんだけど大学の費用が足らないから蒼紫にいがそれをバイトで助けてるんだ。」
「・・・・。」
金持ちのボンボンに見えた野郎が実は苦労人と分かって四人は気まずくなった。
自分達はワルだと言っていても今のところ金を巻き上げていたのはブランド物を持ったり金のネクレッスをしているすかした野郎ばかりだったからだ。
「待ってくれるなら電話するけど、うちの兄貴は強いからね。怪我をしたくなかったら今のうちに私を解放した方がいいよ。今だったら今日の事は黙っててあげるから。」
「いくら強くても俺達四人相手にかなうわけないだろ。大事な兄さんを怪我させたくなかったらお前からもおとなしく金を出すように言った方がいいぜ。」
こうして蒼紫はバイトから帰る途中で電話を受け血相を変えて大学へ戻って来た。