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火花
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「何殺気だってるのさ。」
ようやく気持ちを立て直した蒼紫が腰にタオルを巻いてシャワーから帰って来た。
「あ?」
一はじろりと蒼紫を見るがどうも蒼紫の汚く焼けた肌を見ると気が抜ける。
「お前、一体どうやったらそんなに汚く焼けるんだ。」
と思わず蒼紫に向かってため息を吐いた。
「仕方ないだろ・・こっちは真面目に苦行並みの合宿だったんだから。」
苦行ということに間違いはなかったと蒼紫はもともとの動機を隠して一に言い切った。
「それは大変だったな・・新入部員がな。お前のしごきは半端なさそうだからな。」
「それは兄さんに言われたくないよ。で、武尊は大丈夫なの?」
「心配ない、少しパニッくってただけだ。お前の尻を見てしまったってな。今自室でネットを見ているよ。」
先程の武尊の姿を思い出し楽しそうにクククと思わず笑う一に蒼紫はため息を吐いた。
「笑い事じゃないよ兄さん。」
ふてくされたように言う蒼紫に
「何故だ。」
と一が一際低い声で尋ねた。
今の今まで笑っていた一の目が急に真面目に蒼紫を射貫く。
「・・言わせる気?」
蒼紫も一の視線を真っ向目を見開いて受け止める。
先程の続きではないかと思う緊迫した空気が張り詰めた。
「なぁ蒼紫。」
そう言って緊張を破ったのはやはり一だった。
一は缶ビールの上部を掴み、ゆっくり二回軽く振って蒼紫にもう一度視線を向けた、今度はいつもの顔で。
「何、兄さん。」
「俺にもお前にも武尊は大切で可愛い『妹』のはずだったのにいつの間にお互いに武尊をこんなに大切になってしまっていたんだろうな。」
「・・・。」
先程脱衣所で一の気持ちを確信した蒼紫だったがやはりそうだったのかとグッと握りこぶしに力が入る。
「俺には武尊しか考えられない・・武尊しか欲しくない。兄さんが武尊を奪うのをただ指を咥えて見ているわけにはいかないよ。」
「俺はあいつが笑って暮らせる人生を与えてやれるのなら誰でもいい、そう思っていたがどうやらそれは無理だという事に気が付いた。他の男なんぞに簡単にくれてやるものか、例えそれがお前であってもな。」
「それは宣戦布告ととってもいいんだね。」
「言ったからにはもう遠慮はしないからな。」
「俺だって。」
「「とはいえ・・はぁ~。」」
と、一も蒼紫も揃ってため息をついた。
武尊は一と蒼紫の母が死んだ後に父が再婚した時の連れ子だ。
本当の兄弟ではないとはいえ、その父母も武尊が子供の時に事故で亡くなったというのもあり武尊が自分達を恐らく普通の家族以上に信頼しているのを二人は知っている。
その絆を壊して一人の男として対面した時に果たしてそれを受け入れてくれるだろうかという大きな不安は否めないし拒絶されたら立ち直れるかも分からない。
二人のため息はそんなため息なのだ。
そしてもう一つ。
二人とも公には出来ない裏の顔をそれぞれ持っている。
普通の女なんかでは決して癒すことの出来ない闇を癒せるのは武尊の胸の中しかないと一も蒼紫も思うのだった。
ようやく気持ちを立て直した蒼紫が腰にタオルを巻いてシャワーから帰って来た。
「あ?」
一はじろりと蒼紫を見るがどうも蒼紫の汚く焼けた肌を見ると気が抜ける。
「お前、一体どうやったらそんなに汚く焼けるんだ。」
と思わず蒼紫に向かってため息を吐いた。
「仕方ないだろ・・こっちは真面目に苦行並みの合宿だったんだから。」
苦行ということに間違いはなかったと蒼紫はもともとの動機を隠して一に言い切った。
「それは大変だったな・・新入部員がな。お前のしごきは半端なさそうだからな。」
「それは兄さんに言われたくないよ。で、武尊は大丈夫なの?」
「心配ない、少しパニッくってただけだ。お前の尻を見てしまったってな。今自室でネットを見ているよ。」
先程の武尊の姿を思い出し楽しそうにクククと思わず笑う一に蒼紫はため息を吐いた。
「笑い事じゃないよ兄さん。」
ふてくされたように言う蒼紫に
「何故だ。」
と一が一際低い声で尋ねた。
今の今まで笑っていた一の目が急に真面目に蒼紫を射貫く。
「・・言わせる気?」
蒼紫も一の視線を真っ向目を見開いて受け止める。
先程の続きではないかと思う緊迫した空気が張り詰めた。
「なぁ蒼紫。」
そう言って緊張を破ったのはやはり一だった。
一は缶ビールの上部を掴み、ゆっくり二回軽く振って蒼紫にもう一度視線を向けた、今度はいつもの顔で。
「何、兄さん。」
「俺にもお前にも武尊は大切で可愛い『妹』のはずだったのにいつの間にお互いに武尊をこんなに大切になってしまっていたんだろうな。」
「・・・。」
先程脱衣所で一の気持ちを確信した蒼紫だったがやはりそうだったのかとグッと握りこぶしに力が入る。
「俺には武尊しか考えられない・・武尊しか欲しくない。兄さんが武尊を奪うのをただ指を咥えて見ているわけにはいかないよ。」
「俺はあいつが笑って暮らせる人生を与えてやれるのなら誰でもいい、そう思っていたがどうやらそれは無理だという事に気が付いた。他の男なんぞに簡単にくれてやるものか、例えそれがお前であってもな。」
「それは宣戦布告ととってもいいんだね。」
「言ったからにはもう遠慮はしないからな。」
「俺だって。」
「「とはいえ・・はぁ~。」」
と、一も蒼紫も揃ってため息をついた。
武尊は一と蒼紫の母が死んだ後に父が再婚した時の連れ子だ。
本当の兄弟ではないとはいえ、その父母も武尊が子供の時に事故で亡くなったというのもあり武尊が自分達を恐らく普通の家族以上に信頼しているのを二人は知っている。
その絆を壊して一人の男として対面した時に果たしてそれを受け入れてくれるだろうかという大きな不安は否めないし拒絶されたら立ち直れるかも分からない。
二人のため息はそんなため息なのだ。
そしてもう一つ。
二人とも公には出来ない裏の顔をそれぞれ持っている。
普通の女なんかでは決して癒すことの出来ない闇を癒せるのは武尊の胸の中しかないと一も蒼紫も思うのだった。