「嗚呼・・分かった。」


自己都合で早めに休暇の取得を押し切った警視庁の裏部隊に所属する一は自室のベッドに腰掛けながらスマホで何やら話している。

まだマスコミには公表されていないが原発により発生するプルトニウムが幾分盗まれた可能性があるという話だ。

プルトニウムは核兵器の原料となりうるが故に厳重な管理が必要なのであるが核のゴミとして処分場もないまま増え続けるこの物質は日本にとって厄介者でしかない。

厄介者と言えどもそれがほんの一部であれ行方不明になったとあればその管理責任を国会で与党が糾弾されるのは明らかで内閣から既に警視庁に報道規制の圧力がかかっている。


一が話を聞きながら煙草の灰を何度目か灰皿に落とした時、『キャーーーー！』という武尊の叫び声が階下から聞こえた。


何事！と思い瞬時に煙草を灰皿に押し付け火を消した一は廊下へ飛び出し階段を駆け下りた。





＊＊＊　時は数分前に戻る　＊＊＊





武尊は蒼紫の酷い日焼けを見て、


（そうそう、たしか一昨年買った日焼け後の化粧水みたいなのがまだ大分残ってたよね。消費期限過ぎてるかもしれないけど使えるかな？）


と思い、今の引き出しや棚を見ては見たものの目的の物はなかった。


（おっかしいなぁ・・・あっ、そうだ！もしかしたら洗面所の棚に入れてたかも！）


そんな気がすると武尊は洗面所の戸を開けた。


洗面所は数年前に家をリフォームした時に洗濯機置き場兼、脱衣所と同じ所にある。


そして武尊がその戸を開けた時に目に飛び込んだのは白い物体。


真ん中には縦線が入っている。


武尊がそれが何なのかを認識した時、思わず叫んでいたのだ。