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熱中症
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蕎麦屋は開店と同時にあっという間にお客でいっぱいになった。
一も流石に暑かったのか、大抵どの蕎麦屋でも頼むかけそばではなく、ざるを頼んでそれを美味そうに食べた。
武尊も同じくざるを頼んだのだが味ははっきり言ってよくわからなかった。
一には連れてきてもらった手前、美味しいと言ったものの自分でもなんで美味しいと感じないのか少し不思議に思った武尊だった。
だがその理由は帰ってから分かった。
「だるい・・少し気持ち悪い・・。」
武尊は家に着いてバイクを降りるなりそう呟いてふらついた。
どうやらこの暑さの中、昨日の精神的ショックを受けた事と生理でかなり出血がある事が影響したのだろう。
先週と同じような暑さだとはいえ、それらが原因で体調が悪いことが熱中症の引き金になってしまったようだ。
一がバイクを止めて振り返った時、玄関に向かおうとした武尊が壁に手をつきながら崩れていくのが見えた。
「武尊!」
一はすぐに武尊の元へ駆けつけヘルメットを着けたままの武尊からメットを取った。
武尊は汗で髪が濡れ、顔色が悪かった。
「武尊!」
武尊は一の呼びかけに気が遠くなりかけていた自分を奮い立たせた。
「あ・・一にい・・大丈夫だよ、ちょっと具合悪いだけ・・。」
「何時からだ!」
「うーん・・気持ち悪くなったのはさっき・・。」
一は雄著に話を聞いている暇はないと武尊を片腕で抱きかかえながら取り合えず玄関を開け、武尊をソファーに寝かすと大急ぎでエアコンのスイッチを入れ、冷蔵庫からスポーツ飲料のペットボトルを渡し、
「早く飲め。」
と言ってまた台所へ急いだ。
タオルを濡らし、保冷剤を数個冷凍庫から取り出し足早やに戻る。
「まだ飲んでないのか。」
目を閉じて眠ったようになっている武尊に一は言った。
「うん・・欲しくない・・。」
「だめだ、熱中症になってるのが分からないか。」
だだっこを諭すように一は言うと素早く凍った保冷剤を武尊の首に当てた。
「ひゃ!冷たい!」
ぐでぐでになっている武尊だったが保冷剤の冷たさに目がパッと見開いた。
「ほら、今の内に飲め。」
一は武尊に渡したペットボトルをもう一度取り、わざわざ蓋まで緩めて武尊の目の前に差し出したが武尊はまた目を閉じていた。
「自分で飲めないのなら口移しで飲ませるぞ、それでもいいのか。」
「え・・。」
一瞬、一が何を言ったのか分からない武尊だったが、事の意味を理解した武尊は目どころか口まで開けて一を見た。
「何も驚くことはないだろう。飲めなければ救急車を呼ばなければならないくらいお前は危険な状態にあるということが分からんのか。」
一はそう言って、軽いデコピンを武尊に与えた。
「痛てっ!」
っと小さく叫ぶと武尊は慌ててペットボトルを一から奪うように取りゴッ、ゴッ、と喉を鳴らしてスポーツ飲料を流し込む。
「阿呆、こういうときは出来るだけゆっくり飲むんだ!」
今度は一の方が慌てて武尊のペットボトルを抑えた。
ペットボトルは揺れて、中身が武尊の口からこぼれ落ち、武尊はむせた。
「ゴホッゴホッツ!・・ちょっ・・一にいっ!」
一は片手でむせている武尊の背中をトントンたたき、こぼれたスポーツ飲料を濡れタオルで拭いてやった。
「ったく、、いつまでたっても子供だな。」
と軽く呆れるようにたしなめた。
この言葉に悪意はない。
いつまでも子供の時と変わらなく手間がかかることにどちらかというと愛らしさを感じるくらいで一は目を細めた。
武尊は逆に普段から気にしている【いつまでも子供扱いされる】ということにムッときて、
「私、もう子供じゃないんだからか!」
とむせながら答えた。
少し頬を膨らませて不満げに自分を見る武尊の頭を一はご機嫌を取るように、
「嗚呼、悪かった。」
と武尊の髪をくしゃくしゃしながら頭を撫でた。
「もう、、。」
武尊は昔からこれをやられると怒っている気持ちがスーッと小さくなって何も言えなくなってしまうのだった。
そういうところが昔から変わらないんだよ、と一は思いながら最後によしよし、として手を放した。
そして、
「まだだ。ゆっくりでいい。もう少し飲め。」
と言って武尊をじっと見た。
「うん。」
武尊は一の言ったとおり、さっきよりゆっくりと喉の奥に水分を流し込む。
だがずっと自分の一点を見ている一が気になった。
「一にい・・何みてるの?」
どうやら一は武尊の口をじっと見ているようだった。
武尊にそう言われて一は武尊の目に視線を移した。
「フッ・・。ちゃんと飲めているか確認していた所だ。」
と言った。
「ちゃんと飲めてるって!(もう、一にいったら!)」
やっぱり子ども扱いだ、とまたプチ憤慨しそうになった武尊だったが今度は自分の目をじっと見ている一を見て一瞬胸がドクンとなった。
「!」
その大きな拍動に驚いて武尊は慌てて胸を抑えた。
(な・・何?なんでドキドキしてるの?・・恥ずかしいから?
ううん、、違う、、。
確かに今朝は一にいのシーツを汚して超恥ずかしいと思ったけどこれはそんなんじゃない・・。)
ただ自分の兄が自分を見ていただけなのに。
今までもこんなことはあっただろうに。
なぜ・・。
「どうした?」
武尊が急に自分から視線を外し胸を押さえたので一は武尊が熱中症の影響でどこか具合が悪くなったのかと心配した。
「な・・なんでもない。」
「そんなわけないだろう。無理はするな。どこが具合悪いんだ、ちゃんと俺に言え。」
覗き込まれたその顔を、その目を武尊は見て固まってしまった。
耳が熱いような気がした・・。
「ん?顔が赤いな、熱でも出たか?」
一は武尊の顔色の変化に気が付き武尊のおでこに手を当てた。
「・・冷たいな。」
合点がいかぬと首をかしげる一に武尊は慌てて、
「な、なんでもないよ!・・これもういい?」
とペットボトルを一に突き返した。
「これはここに置いておく。」
一は受け取ったペットボトルをソファー下に置くと、
「吐き気はないか。」
と聞き、うなずいた武尊に、
「どうやら大事はないようなだ。このまま少し休んでおけ、後で様子を見に来る。」
と武尊の頭をよしよしとし、立ち上がろうとした。
いつもはリビングで吸うのも構わないと思うのだが今は体調の悪い武尊の為に自室で煙草を吸おうと思ったのだ。
だが、
「一にい。」
と武尊は一を呼び止めたのだった。
一も流石に暑かったのか、大抵どの蕎麦屋でも頼むかけそばではなく、ざるを頼んでそれを美味そうに食べた。
武尊も同じくざるを頼んだのだが味ははっきり言ってよくわからなかった。
一には連れてきてもらった手前、美味しいと言ったものの自分でもなんで美味しいと感じないのか少し不思議に思った武尊だった。
だがその理由は帰ってから分かった。
「だるい・・少し気持ち悪い・・。」
武尊は家に着いてバイクを降りるなりそう呟いてふらついた。
どうやらこの暑さの中、昨日の精神的ショックを受けた事と生理でかなり出血がある事が影響したのだろう。
先週と同じような暑さだとはいえ、それらが原因で体調が悪いことが熱中症の引き金になってしまったようだ。
一がバイクを止めて振り返った時、玄関に向かおうとした武尊が壁に手をつきながら崩れていくのが見えた。
「武尊!」
一はすぐに武尊の元へ駆けつけヘルメットを着けたままの武尊からメットを取った。
武尊は汗で髪が濡れ、顔色が悪かった。
「武尊!」
武尊は一の呼びかけに気が遠くなりかけていた自分を奮い立たせた。
「あ・・一にい・・大丈夫だよ、ちょっと具合悪いだけ・・。」
「何時からだ!」
「うーん・・気持ち悪くなったのはさっき・・。」
一は雄著に話を聞いている暇はないと武尊を片腕で抱きかかえながら取り合えず玄関を開け、武尊をソファーに寝かすと大急ぎでエアコンのスイッチを入れ、冷蔵庫からスポーツ飲料のペットボトルを渡し、
「早く飲め。」
と言ってまた台所へ急いだ。
タオルを濡らし、保冷剤を数個冷凍庫から取り出し足早やに戻る。
「まだ飲んでないのか。」
目を閉じて眠ったようになっている武尊に一は言った。
「うん・・欲しくない・・。」
「だめだ、熱中症になってるのが分からないか。」
だだっこを諭すように一は言うと素早く凍った保冷剤を武尊の首に当てた。
「ひゃ!冷たい!」
ぐでぐでになっている武尊だったが保冷剤の冷たさに目がパッと見開いた。
「ほら、今の内に飲め。」
一は武尊に渡したペットボトルをもう一度取り、わざわざ蓋まで緩めて武尊の目の前に差し出したが武尊はまた目を閉じていた。
「自分で飲めないのなら口移しで飲ませるぞ、それでもいいのか。」
「え・・。」
一瞬、一が何を言ったのか分からない武尊だったが、事の意味を理解した武尊は目どころか口まで開けて一を見た。
「何も驚くことはないだろう。飲めなければ救急車を呼ばなければならないくらいお前は危険な状態にあるということが分からんのか。」
一はそう言って、軽いデコピンを武尊に与えた。
「痛てっ!」
っと小さく叫ぶと武尊は慌ててペットボトルを一から奪うように取りゴッ、ゴッ、と喉を鳴らしてスポーツ飲料を流し込む。
「阿呆、こういうときは出来るだけゆっくり飲むんだ!」
今度は一の方が慌てて武尊のペットボトルを抑えた。
ペットボトルは揺れて、中身が武尊の口からこぼれ落ち、武尊はむせた。
「ゴホッゴホッツ!・・ちょっ・・一にいっ!」
一は片手でむせている武尊の背中をトントンたたき、こぼれたスポーツ飲料を濡れタオルで拭いてやった。
「ったく、、いつまでたっても子供だな。」
と軽く呆れるようにたしなめた。
この言葉に悪意はない。
いつまでも子供の時と変わらなく手間がかかることにどちらかというと愛らしさを感じるくらいで一は目を細めた。
武尊は逆に普段から気にしている【いつまでも子供扱いされる】ということにムッときて、
「私、もう子供じゃないんだからか!」
とむせながら答えた。
少し頬を膨らませて不満げに自分を見る武尊の頭を一はご機嫌を取るように、
「嗚呼、悪かった。」
と武尊の髪をくしゃくしゃしながら頭を撫でた。
「もう、、。」
武尊は昔からこれをやられると怒っている気持ちがスーッと小さくなって何も言えなくなってしまうのだった。
そういうところが昔から変わらないんだよ、と一は思いながら最後によしよし、として手を放した。
そして、
「まだだ。ゆっくりでいい。もう少し飲め。」
と言って武尊をじっと見た。
「うん。」
武尊は一の言ったとおり、さっきよりゆっくりと喉の奥に水分を流し込む。
だがずっと自分の一点を見ている一が気になった。
「一にい・・何みてるの?」
どうやら一は武尊の口をじっと見ているようだった。
武尊にそう言われて一は武尊の目に視線を移した。
「フッ・・。ちゃんと飲めているか確認していた所だ。」
と言った。
「ちゃんと飲めてるって!(もう、一にいったら!)」
やっぱり子ども扱いだ、とまたプチ憤慨しそうになった武尊だったが今度は自分の目をじっと見ている一を見て一瞬胸がドクンとなった。
「!」
その大きな拍動に驚いて武尊は慌てて胸を抑えた。
(な・・何?なんでドキドキしてるの?・・恥ずかしいから?
ううん、、違う、、。
確かに今朝は一にいのシーツを汚して超恥ずかしいと思ったけどこれはそんなんじゃない・・。)
ただ自分の兄が自分を見ていただけなのに。
今までもこんなことはあっただろうに。
なぜ・・。
「どうした?」
武尊が急に自分から視線を外し胸を押さえたので一は武尊が熱中症の影響でどこか具合が悪くなったのかと心配した。
「な・・なんでもない。」
「そんなわけないだろう。無理はするな。どこが具合悪いんだ、ちゃんと俺に言え。」
覗き込まれたその顔を、その目を武尊は見て固まってしまった。
耳が熱いような気がした・・。
「ん?顔が赤いな、熱でも出たか?」
一は武尊の顔色の変化に気が付き武尊のおでこに手を当てた。
「・・冷たいな。」
合点がいかぬと首をかしげる一に武尊は慌てて、
「な、なんでもないよ!・・これもういい?」
とペットボトルを一に突き返した。
「これはここに置いておく。」
一は受け取ったペットボトルをソファー下に置くと、
「吐き気はないか。」
と聞き、うなずいた武尊に、
「どうやら大事はないようなだ。このまま少し休んでおけ、後で様子を見に来る。」
と武尊の頭をよしよしとし、立ち上がろうとした。
いつもはリビングで吸うのも構わないと思うのだが今は体調の悪い武尊の為に自室で煙草を吸おうと思ったのだ。
だが、
「一にい。」
と武尊は一を呼び止めたのだった。