（この人・・さっき私を始末するって言った・・よね？始末ってまさか・・・殺すとか？）



武尊は男の胸にぴったり頭をくっつけるように押さえられているため後ろが向けない。



（私・・・知らない人に殺されちゃうの？！嫌だ・・！助けて一にい！！蒼紫にい！！）



叫ぼうとした武尊の口を押えるために当てられた手の指の一本が半開きの武尊の口に挟まっていた。



武尊は無我夢中でその指に噛み付いた。



「！」



男が一瞬手を緩めた瞬間武尊は思いっきり叫んだ。



「Kamatariさん！助・・・ぐぅっ・・」



確か去年もらった名刺の名前が大化の改新の藤原鎌足と同じ名前で珍しいと思って覚えていたその名前。



先程この男が呼んだ名前も鎌足。



だとすると奥にいるのはあの店長に間違いない・・と、咄嗟に叫んだ武尊だったが、声を出せたのはたったの数秒。



今度はその男に噛んでない方の腕で首を締め付けられた。



「ほぉ・・・元気の良いねずみだ。」



噛み付かれたからか、武尊に対して怒りの情が感じられる声。



武尊は締め付ける腕を何とか引きはがそうと両手を掛けながら斜め後ろを見上げた。



苦しくてそんなに首は動かせないが、目に入ったのは【心眼】の文字。



（亀・・・男・・・・？



片腕とはいえすごい力で首を締め付けられ武尊は意識が遠くなってきた。





（死・・・・ぬ・・・・・

　　　一にい・・・・蒼紫・・に・・い・・・