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夏の夜の千一夜物語(明治・京都)
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翌日、日も落ちて夕餉を終えた比古が腰をあげた。
「そろそろ行くか。」
そう言って小屋を出ると外は曇り。
轟音轟く滝壺に降りると、そこは普段より不気味な静けさと暗さが漂っていた。
まさに未確認生物が出るにはふさわしい雰囲気・・・と、武尊は身震いした。
そこは狭いながらも河原があって比古はそこからよく水浴びに滝壺に潜ったりする。
「俺が見たというのはあそこら辺だ。ここから見るのがいいだろう。」
と、比古は目の前の岩を指さした。
日中比古がよく脱いだマントをかけるその岩は自分達の身を隠すのに丁度いいぐらいの大きさである。
「ここの岩陰から見ていろ。俺はちょっと用便を足してくる。」
「え!」
「大きな声を出すな。すぐ帰って来るさ。それとも一人じゃ怖いのか。」
と比古がにやりと武尊を見下ろした。
「なわけないじゃん!子供じゃあるまいし!」
「しっ!大きな声を出すなって言ったろ、じゃ、しっかり見てろよ。」
とポンポンといつものように比古は武尊の頭を軽く叩くとマントを翻し木陰に消えて行った。
「もう・・・。」
仕方ないな、と武尊は思いつつ岩陰から比古が示した場所をじっと見ていた。
しばらくの間は集中して見ていたものの、気がつけば随分時間が経っていた。
(おかしいな・・・、比古さんお腹でも壊したのかな?何か今日変な物食べたっけ?)
そうやってふと我に返ると今まで視覚に集中していたため聞こえなかった滝壺の轟音が急に響いてきた。
そして辺りの静かすぎる静けさ。
そびえる滝壁、覆いかぶさるような森の木々、何もかも飲み込んでしまいそうな滝壺の黒い水の色。
武尊は急にここが現実ではない感じに襲われた。
ここは人が足を踏み入れてはいけない聖域・・・・そんな感じがして急に恐ろしくなった。
(比古さん・・・早く帰って来て・・・。)
と心細くなった武尊は祈りに近い思いで比古が戻るのを待っていた。
その時だった、比古が示した辺りに黒い影みたいなものが顔を出した。
だが空が曇っているため水面も暗く、いまいち輪郭がはっきりしない。
武尊はただ、
(出た!比古さん早く帰って来て!)
と思うばかり。
武尊は、早く帰って来ないと何処かへ行っちゃう!と焦ると同時にあれはいったい何だろうと一生懸命考えた。
(ここからあの滝壺の向こう側の深い所まで約50m、あの黒い影の大きさはだいたい長さ20cmぐらい?カワウソの頭にしては小さいし、しっぽにしては太すぎる。鳥は夜だからいるわけない・・・とすると、亀?いや、あんなに亀の首って伸びないしそれにしてはもっと太い・・・。)
長年鎖国をしていたから外来種だとは考えにくい。
(古来より日本固有の生物であんなのっていたっけ?う・・・・ん何だろう?)
と真面目に考えているとふっと頭に思い浮かんだものがあった・・・・。
(まさか・・・・河童?!それとも小豆洗い?でもそれらは想像上の妖怪はず・・・・現実にいるわけが・・・・。)
と、思った時あの黒い影がス-っとこちらに向かって動いてきた。
(うわっ!!なんかこっちに近づいて来た!比古さん-っ!早く帰って来て-!)
武尊は緊張で手が冷たくなってきた。
(若し河童だったらどうしよう!)
そう思うと目が離せない。
ぱっと見20cmぐらいの正体不明の黒い影、あの下にはいったい何が隠れているのだろうか・・・。
謎の物体はある程度武尊の方に近づくとすっと水面に消えた。
武尊がほっとした瞬間、水面が盛り上がってザバッ!と大きな何かが現れた、と、同時に滝壺に武尊の悲鳴が響き渡った。
「そろそろ行くか。」
そう言って小屋を出ると外は曇り。
轟音轟く滝壺に降りると、そこは普段より不気味な静けさと暗さが漂っていた。
まさに未確認生物が出るにはふさわしい雰囲気・・・と、武尊は身震いした。
そこは狭いながらも河原があって比古はそこからよく水浴びに滝壺に潜ったりする。
「俺が見たというのはあそこら辺だ。ここから見るのがいいだろう。」
と、比古は目の前の岩を指さした。
日中比古がよく脱いだマントをかけるその岩は自分達の身を隠すのに丁度いいぐらいの大きさである。
「ここの岩陰から見ていろ。俺はちょっと用便を足してくる。」
「え!」
「大きな声を出すな。すぐ帰って来るさ。それとも一人じゃ怖いのか。」
と比古がにやりと武尊を見下ろした。
「なわけないじゃん!子供じゃあるまいし!」
「しっ!大きな声を出すなって言ったろ、じゃ、しっかり見てろよ。」
とポンポンといつものように比古は武尊の頭を軽く叩くとマントを翻し木陰に消えて行った。
「もう・・・。」
仕方ないな、と武尊は思いつつ岩陰から比古が示した場所をじっと見ていた。
しばらくの間は集中して見ていたものの、気がつけば随分時間が経っていた。
(おかしいな・・・、比古さんお腹でも壊したのかな?何か今日変な物食べたっけ?)
そうやってふと我に返ると今まで視覚に集中していたため聞こえなかった滝壺の轟音が急に響いてきた。
そして辺りの静かすぎる静けさ。
そびえる滝壁、覆いかぶさるような森の木々、何もかも飲み込んでしまいそうな滝壺の黒い水の色。
武尊は急にここが現実ではない感じに襲われた。
ここは人が足を踏み入れてはいけない聖域・・・・そんな感じがして急に恐ろしくなった。
(比古さん・・・早く帰って来て・・・。)
と心細くなった武尊は祈りに近い思いで比古が戻るのを待っていた。
その時だった、比古が示した辺りに黒い影みたいなものが顔を出した。
だが空が曇っているため水面も暗く、いまいち輪郭がはっきりしない。
武尊はただ、
(出た!比古さん早く帰って来て!)
と思うばかり。
武尊は、早く帰って来ないと何処かへ行っちゃう!と焦ると同時にあれはいったい何だろうと一生懸命考えた。
(ここからあの滝壺の向こう側の深い所まで約50m、あの黒い影の大きさはだいたい長さ20cmぐらい?カワウソの頭にしては小さいし、しっぽにしては太すぎる。鳥は夜だからいるわけない・・・とすると、亀?いや、あんなに亀の首って伸びないしそれにしてはもっと太い・・・。)
長年鎖国をしていたから外来種だとは考えにくい。
(古来より日本固有の生物であんなのっていたっけ?う・・・・ん何だろう?)
と真面目に考えているとふっと頭に思い浮かんだものがあった・・・・。
(まさか・・・・河童?!それとも小豆洗い?でもそれらは想像上の妖怪はず・・・・現実にいるわけが・・・・。)
と、思った時あの黒い影がス-っとこちらに向かって動いてきた。
(うわっ!!なんかこっちに近づいて来た!比古さん-っ!早く帰って来て-!)
武尊は緊張で手が冷たくなってきた。
(若し河童だったらどうしよう!)
そう思うと目が離せない。
ぱっと見20cmぐらいの正体不明の黒い影、あの下にはいったい何が隠れているのだろうか・・・。
謎の物体はある程度武尊の方に近づくとすっと水面に消えた。
武尊がほっとした瞬間、水面が盛り上がってザバッ!と大きな何かが現れた、と、同時に滝壺に武尊の悲鳴が響き渡った。