「武尊。」

「はいぃ！」


突然呼ばれて声が裏返った。
こんなときに話しかけられるのは決まって都合のよくない話・・・と相場が決まっている。



「お前は今度の週末は仕事だ。」


（え－－－－－－－－－－－－－－－！！！）


だが仕事に関してこの男は容赦はない。下手すりゃ３６５日仕事入れかねない。


いくら抗議しようが無駄だとわかっている。


くそぉ・・・。休みが～～～。




ちょっと涙目になって目で訴える。

そんな私にまったくかまわず、



「張、お前は神戸に例の密輸に絡む組織について探ってこい。・・・・その報告書を今日中に仕上げてからな。」

と指示。


「え－、わい、昨日帰ってきたばっかりやん～。ホンマ人使い荒い上司やな。わい働きすぎで死んでしまうがな～。」


「働きすぎで未来で死ぬのと今死ぬの、どっちがいいんだ。」


書類を見たままで斎藤は普通にしゃべる。
冗談を言っているつもりはないらしい。



「あ、わい仕事きらいではあらへんで。神戸へはありがたくいかせていただきます～。」


手のひらを反すように了解する張。
ありがとうと言うわりにはありがたみが一つも入っていない返事。



（張もかわいそうな奴・・・）


しみじみと張に同情する武尊であった。