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疲労回復《前編》(明治・東京)
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武尊は午前中、傷の消毒をしてもらうために高荷恵のいる診療所へ行っていた。
「傷、大分よくなったわね。全く少しは自分の体を大事にしなさいよ!」
恵がため息まじりに武尊に言った。
「あ、うん・・・。気を付ける・・・。」
武尊と恵は歳も近いこともあり、結構気さくに話をするようになっていた。
傷の手当も終わったところで他に患者もなく、武尊は恵からお茶をもらって一息ついていると恵が、
「ところで武尊、斎藤って武尊のこと好きでしょ。」
と、唐突に切り出した。
突然の爆弾発言に、思わず飲んでいたお茶を気管に入れ、ゲホッゲホッと武尊はむせた。
「なっ・・・、何を・・。」
「いいのよ、隠さなくても見てればわかるんだから。」
ホホホホホっと、恵が片手を口に当て、もう片手をクイクイ曲げて笑う。
なんでわかるの?!・・・、と武尊は思う。
自分と斎藤の両方を恵が同時に見たのは自分が入院している時に斎藤が何度か様子を見に来たときだけのはずだ。
「武尊、私も伊達に人を診る仕事してるわけじゃないんだから。」
と言う恵を見て武尊はまるでキツネの耳がついているんじゃないかと錯覚を起こした。
(今やっとわかった・・・・、恵さんがどうして女狐と呼ばれるのか・・・。)
「けれど、まだ信じられないわ。あの斎藤が誰かをあんな風に心配そうに見る顔をするなんて。」
「いや、恵さん、そんなに『あの』を強調しないでくださいよ、斎藤さんはいたって普通の人ですよ・・・。」
心の中では、いや、十分普通じゃない、と思いつつ、一応上司のフォローをしなければと思う武尊である。
「いいえ、あんな無愛想で高慢な警官なんて『あの』で十分よ。・・・だからこそ面白いんだど。」
と、恵は武尊を見てまたまたフフッと笑う。
「そして武尊、あなたも斎藤が好きでしょ。」
(!)
また、何をいきなり言い出すかと思って、武尊は思わず飲んでいたお茶を今度はブッ-と吹き出した。
「め、恵さん!」
武尊は顔を真っ赤にして恵に抗議する。
恵はそんな武尊を見て増々キツネ眼になって、
「いいのよ、武尊。大丈夫、誰にも言わないから。」
ホホホ・・・と恵は楽しそうに笑った。
武尊は恥ずかしいのとどうしていいのやらでプルプルと震えていた。
「本当にそんなに心配そうな顔をしないでいいのよ、武尊。別にどうこうしようっていう訳じゃないんだから。」
「恵さん~。」
「こんな事を言ったのも、実は武尊にいいものあげようと思ったから。」
と恵は部屋の隅の棚に向かって歩き出した。
「ほら、武尊、斎藤のこと『いつも働き過ぎで心配』って言ってたじゃない。」
と言って、恵はガラス戸の中から茶色の小瓶を持ってきた。
「これ、私が調合したんだけど疲労によく効くのよ。働き過ぎの人にピッタリの水薬。でも、あの斎藤だったら疲労の薬って言うときっと『疲れてない。』って言って飲んでくれなさそうだからお茶とかに入れるといいわよ。大丈夫、無味無臭だからわからないわよ。」
と、恵は説明する。
武尊は『俺が疲れているだと?武尊の目は何処についているんだ、阿呆。』とでも言いそうな上司の姿を思わず想像した。
「ただ、飲んだら少し眠気がするって言うのが難点だけど、疲れてるんだったらついでにそのまま寝るというのもいいと思うわ。なんといっても疲労の回復は寝るのが一番なんだから。」
「そうだよねぇ-。」
と相槌を打つ武尊。
「あと、この水薬には変わった効能があって、寝ている間に気持ちのいいことされると更に神経が休まって短時間の睡眠でも疲労回復に絶大な効果をもたらすの。」
「え?」
「ほら、気持ちのいいこと。人によってそれは多少違うと思うけど・・・・言わなくてもわかるわよね、武尊。」
恵が意味ありげに武尊を見る。
「え?」
「『え?』じゃなくて、ほら、わからなかったら自分がされた時の事思い出して。」
恵は顔を真っ赤にして一生懸命考える武尊を見て
(あら、武尊ってまさかのウブ?フフ・・・。)
と恵は、ちょっと驚きながらも面白がっていた。
「それって、頭を撫でられたりしたときとか・・・?」
と、武尊がようやく小さな声で答えた。
あまりにもかわいい答えに恵はぷっ、っと吹き出しそうになるのを我慢して、
「とりあえず試してみて。詳しい説明は紙に書いてあるから。」
と言って、その小瓶と処方箋らしき紙を小袋に入れて武尊に渡した。
「武尊もあんまり無理しないのよ、まだ傷が治ったわけじゃないんだから。また三日後、傷を見せにいらっしゃい。」
と言って恵は武尊を見送った。
(なかなか二人の仲が伸展しない薫さんにもあげたけど、案外武尊の方が面白い結果になりそうね。)
そういう恵はキツネの耳どころかしっぽまで楽しそうに振っていた。
「傷、大分よくなったわね。全く少しは自分の体を大事にしなさいよ!」
恵がため息まじりに武尊に言った。
「あ、うん・・・。気を付ける・・・。」
武尊と恵は歳も近いこともあり、結構気さくに話をするようになっていた。
傷の手当も終わったところで他に患者もなく、武尊は恵からお茶をもらって一息ついていると恵が、
「ところで武尊、斎藤って武尊のこと好きでしょ。」
と、唐突に切り出した。
突然の爆弾発言に、思わず飲んでいたお茶を気管に入れ、ゲホッゲホッと武尊はむせた。
「なっ・・・、何を・・。」
「いいのよ、隠さなくても見てればわかるんだから。」
ホホホホホっと、恵が片手を口に当て、もう片手をクイクイ曲げて笑う。
なんでわかるの?!・・・、と武尊は思う。
自分と斎藤の両方を恵が同時に見たのは自分が入院している時に斎藤が何度か様子を見に来たときだけのはずだ。
「武尊、私も伊達に人を診る仕事してるわけじゃないんだから。」
と言う恵を見て武尊はまるでキツネの耳がついているんじゃないかと錯覚を起こした。
(今やっとわかった・・・・、恵さんがどうして女狐と呼ばれるのか・・・。)
「けれど、まだ信じられないわ。あの斎藤が誰かをあんな風に心配そうに見る顔をするなんて。」
「いや、恵さん、そんなに『あの』を強調しないでくださいよ、斎藤さんはいたって普通の人ですよ・・・。」
心の中では、いや、十分普通じゃない、と思いつつ、一応上司のフォローをしなければと思う武尊である。
「いいえ、あんな無愛想で高慢な警官なんて『あの』で十分よ。・・・だからこそ面白いんだど。」
と、恵は武尊を見てまたまたフフッと笑う。
「そして武尊、あなたも斎藤が好きでしょ。」
(!)
また、何をいきなり言い出すかと思って、武尊は思わず飲んでいたお茶を今度はブッ-と吹き出した。
「め、恵さん!」
武尊は顔を真っ赤にして恵に抗議する。
恵はそんな武尊を見て増々キツネ眼になって、
「いいのよ、武尊。大丈夫、誰にも言わないから。」
ホホホ・・・と恵は楽しそうに笑った。
武尊は恥ずかしいのとどうしていいのやらでプルプルと震えていた。
「本当にそんなに心配そうな顔をしないでいいのよ、武尊。別にどうこうしようっていう訳じゃないんだから。」
「恵さん~。」
「こんな事を言ったのも、実は武尊にいいものあげようと思ったから。」
と恵は部屋の隅の棚に向かって歩き出した。
「ほら、武尊、斎藤のこと『いつも働き過ぎで心配』って言ってたじゃない。」
と言って、恵はガラス戸の中から茶色の小瓶を持ってきた。
「これ、私が調合したんだけど疲労によく効くのよ。働き過ぎの人にピッタリの水薬。でも、あの斎藤だったら疲労の薬って言うときっと『疲れてない。』って言って飲んでくれなさそうだからお茶とかに入れるといいわよ。大丈夫、無味無臭だからわからないわよ。」
と、恵は説明する。
武尊は『俺が疲れているだと?武尊の目は何処についているんだ、阿呆。』とでも言いそうな上司の姿を思わず想像した。
「ただ、飲んだら少し眠気がするって言うのが難点だけど、疲れてるんだったらついでにそのまま寝るというのもいいと思うわ。なんといっても疲労の回復は寝るのが一番なんだから。」
「そうだよねぇ-。」
と相槌を打つ武尊。
「あと、この水薬には変わった効能があって、寝ている間に気持ちのいいことされると更に神経が休まって短時間の睡眠でも疲労回復に絶大な効果をもたらすの。」
「え?」
「ほら、気持ちのいいこと。人によってそれは多少違うと思うけど・・・・言わなくてもわかるわよね、武尊。」
恵が意味ありげに武尊を見る。
「え?」
「『え?』じゃなくて、ほら、わからなかったら自分がされた時の事思い出して。」
恵は顔を真っ赤にして一生懸命考える武尊を見て
(あら、武尊ってまさかのウブ?フフ・・・。)
と恵は、ちょっと驚きながらも面白がっていた。
「それって、頭を撫でられたりしたときとか・・・?」
と、武尊がようやく小さな声で答えた。
あまりにもかわいい答えに恵はぷっ、っと吹き出しそうになるのを我慢して、
「とりあえず試してみて。詳しい説明は紙に書いてあるから。」
と言って、その小瓶と処方箋らしき紙を小袋に入れて武尊に渡した。
「武尊もあんまり無理しないのよ、まだ傷が治ったわけじゃないんだから。また三日後、傷を見せにいらっしゃい。」
と言って恵は武尊を見送った。
(なかなか二人の仲が伸展しない薫さんにもあげたけど、案外武尊の方が面白い結果になりそうね。)
そういう恵はキツネの耳どころかしっぽまで楽しそうに振っていた。