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《葵屋恒例豆まき大会》 京都・ちょいパロ
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そして二月三日節分の日。
昼になったら葵屋の者全員中庭に集合せよ。
という翁の掛け声で、わらわらと従業員、他集まって来た。
翁が縁側から
「ひいふうみい・・・・。よいよい、全員おるようじゃの。」
と、集まった人数を数えたあと、
「それでは、これから葵屋恒例の豆まき大会を開催するぞぃ!」
と、声高らかに開会宣言をした。
「進行・審判は儂じゃ。蒼紫は副審判。他の者で鬼を選ぶのじゃ!」
事前に何も知らされていなかった蒼紫は、何のために中庭に集まるのかと思えばこの為だったのか、と軽くため息をつきながら、
「なんだ、まだやっていたのか・・・・。」
と言った。
「そうじゃ、あれからず~っとやっておるぞぃ。結構葵屋の福利厚生事業の一環としても喜ばれとるでのぅ。」
と、翁が顎髭をくるくるといじりながら頷いて答える。
事の始まりはまだ操が5歳の頃。
節分の日の豆まきを操の身体能力の向上を兼ねてということで、考え出したルール、それが10年以上続けられてきたのであった。
まあ、考えたのは蒼紫本人だったが、操はすでに十六。
その間ずっと、子供じみたこの遊びを葵屋総出でやっていたのかと思うと、ちょっとクラっときた蒼紫であった。
そんな蒼紫の考えを読んでか翁がニカっとしながら、
「蒼紫よ。そんな顔をするでない。今は昔以上にパワーアップしておるぞ。ヒョーホホホ!。」
そんな翁を蒼紫が、まったく困ったもんだという顔で見ていた。
「皆はこの豆まき大会をよく知っておると思うが、今年は初参加の武尊もおるし、般若、式尉、火男、癋見も久しぶりの参加じゃ。今一度ルールを説明する。」
そんな翁の話を聞きながら、葵屋新人の武尊は
(豆まきにルールがあるの?)
と首を傾げながら聞いていた。
「まず、鬼を決め、儂の『始めぃ!』の合図で鬼以外の者は台所へ行き、各々豆を選びそれを持って好きな場所で鬼を仕留めよ。鬼になった者は操が今持っている升に入った豆を歳の数+1だけ食べたら追跡を始めよ。鬼が豆に当たることなくタッチしたら鬼の勝ち。鬼に豆を当てることができたらそのものの勝ちじゃ。」
(鬼役は逃げるんじゃなくて、追っかけてくるんだ!へ~~。)
そんなルールなんだ、と、武尊もうなずきながら聞く。
「なお、会場はこの葵屋、それから裏山の『知(ち)』と『仁(に)』の場所一帯じゃ。ただし葵屋の建物に損害を与えた者は・・・・・。」
と翁がそこで息を吸う。
「一年間、ただ働きじゃ-!覚悟せい!よいな!」
と、喝を入れた。
「うは!こりゃ、裏山へ行った方が無難だな。」
「そうね、今年は火男や式尉がいるからここでやると半壊以上の被害がでるかもね・・・。」
とひそひそ話が武尊にも聞こえ、
(え?ええ???豆まきに裏山?ここが半壊??)
と頭が一瞬パニックになりそうになる。
「皆の者、静かにせんか。まだ話は終わっておらんぞ。」
と翁が咳払いをしていった。
「なお、見事鬼をやっつけた者には豪華賞品がまっとるぞ!例えば二泊三日!有馬温泉ペア宿泊券!」
と言うと
「おおっ-!」
と、どよめきが起こった。
「まだまだじゃ!他には祇園の舞子さん五人と一日遊び放題券!牛鍋食べ放題券!京都南座歌舞伎鑑賞券役者と握手付き!などなど・・どうじゃ!」
と、翁が叫ぶと周りから歓声や拍手がおこった。
参加者はもう賞品を取った気になる。
操:(蒼紫様と温泉に行くしかないわね!)
火男:(牛鍋食べ放題!)
お近・お増:(歌舞伎座よ!歌舞伎座!団十郎様と握手できるなんて・・・。うっとり。)
他の男:(祇園だ-!)
「運悪く鬼になった者も悲観することはない。ちとハードルは高いが全員をタッチできれば鬼の勝ちじゃ。説明は以上。何か質問はある者はおるか。」
と、翁が皆を見回す。
皆が自分の勝利を確信し、頂き顔をする中、たった一人浮かない顔をする武尊。
(賞品はすごいけど・・・・、私には無理・・・。ま、もともと葵屋さんの人の為のものだし、私は参加させていただけるだけで十分。うん、やるだけがんばろう。)
と、思っていると、
「それでは鬼を決めたいのじゃが・・・、我はと言う者はおらんか。」
と、翁が聞くと癋見が
「今年は式尉がやりたいそうですよ。」
と、ニヤっとしながら言った。
「え!?」
《葵屋恒例豆まき大会》(落書き置き場の挿絵)
いきなり自分の名前が出て、その瞬間周りからは即、拍手が起こる。
「お、俺ですか!?」
と、一瞬目が点になる式尉。
だが次の瞬間、だれもやりたくない鬼に自分の名前が使われたことに気が付き、
「癋見!お前!よくもこの俺をはめやがったな!」
と、癋見を捕まえようとするが、
「式尉、おとなしく観念しろよ。皆も賛成だとよ-!」
と癋見はちょこまかとお増やお近の間をすり抜ける。
式尉が辺りを再度見回すと、オオーっという声と共に拍手が鳴る。
この雰囲気ではもう式尉に決まったも同然である。
「ちっくしょう~!癋見、覚えてろよ。お前から血祭だ!」
と式尉が座布団のような掌をぐぐっと握って癋見を睨んだ。
式尉が鬼役という事で他の者は、自分の勝利を夢見てわいわい騒ぐなか、
(このひとが鬼役・・・・。)
と武尊だけが本気で青くなる。
しかも癋見を睨んだその形相がまさしく鬼のごとく・・・・。
(今日が私の命日になるかも・・・・。)
と、武尊が思っていると、
「・・・翁、審判は翁がいれば十分だろう。」
と、蒼紫が口を開いた。
「ん?そりゃそうじゃが、何か不都合でもあるのか蒼紫?」
と翁が蒼紫に聞いた。
「・・・久々の余興だ。今年は鬼役は俺がやろう。」
と蒼紫が言った。
(お、御頭が-----ぁ?!)
と、誰もが心の中で叫んだ。
そして一同、水を打ったように静まり返る・・・。
蒼紫はすくっと立ち上がると
「まさか、俺がいない間にすっかりふぬけてしまったわけではあるまいな。」
と、眼力をきかせて皆を見る。
「賞品が欲しければ本気でかかって来い。」
と言うと再びその場に胡坐をかいた。
し~~~~ん。
誰も何も言う事が出来ないばかりか動くことも
できない雰囲気に翁が
「やれやれじゃ。このくらいの事で肝を縮めていては御庭番衆の名が泣くぞぃ。皆の者、用意はよいな?操、豆を蒼紫に。」
操は翁に頷くと蒼紫に豆を渡す。
「それでは皆の者、用意はええの。それ、『始めぃ!』」
翁の合図とともに、今まで武尊の周りにいたはずの人間が瞬時に視界から消える。
「えっ?ええ?」
と、きょろきょろする武尊に翁が、
「武尊、台所じゃ台所~。豆をとってくるんじゃ-。」
と教えてくれる。
「あ、はい!ありがとうございます、大旦那様。」
そう言うと武尊はパタパタと台所へ駆け出した。
「ふぅ、武尊には大変かもしれんのう・・特にお前が鬼とあってはのぅ。」
と、武尊の後ろ姿を見送る翁に蒼紫が、
「翁、あの者はなんだ。御庭番衆ではなかろう。なぜ葵屋にいる。」
と聞いた。
昼になったら葵屋の者全員中庭に集合せよ。
という翁の掛け声で、わらわらと従業員、他集まって来た。
翁が縁側から
「ひいふうみい・・・・。よいよい、全員おるようじゃの。」
と、集まった人数を数えたあと、
「それでは、これから葵屋恒例の豆まき大会を開催するぞぃ!」
と、声高らかに開会宣言をした。
「進行・審判は儂じゃ。蒼紫は副審判。他の者で鬼を選ぶのじゃ!」
事前に何も知らされていなかった蒼紫は、何のために中庭に集まるのかと思えばこの為だったのか、と軽くため息をつきながら、
「なんだ、まだやっていたのか・・・・。」
と言った。
「そうじゃ、あれからず~っとやっておるぞぃ。結構葵屋の福利厚生事業の一環としても喜ばれとるでのぅ。」
と、翁が顎髭をくるくるといじりながら頷いて答える。
事の始まりはまだ操が5歳の頃。
節分の日の豆まきを操の身体能力の向上を兼ねてということで、考え出したルール、それが10年以上続けられてきたのであった。
まあ、考えたのは蒼紫本人だったが、操はすでに十六。
その間ずっと、子供じみたこの遊びを葵屋総出でやっていたのかと思うと、ちょっとクラっときた蒼紫であった。
そんな蒼紫の考えを読んでか翁がニカっとしながら、
「蒼紫よ。そんな顔をするでない。今は昔以上にパワーアップしておるぞ。ヒョーホホホ!。」
そんな翁を蒼紫が、まったく困ったもんだという顔で見ていた。
「皆はこの豆まき大会をよく知っておると思うが、今年は初参加の武尊もおるし、般若、式尉、火男、癋見も久しぶりの参加じゃ。今一度ルールを説明する。」
そんな翁の話を聞きながら、葵屋新人の武尊は
(豆まきにルールがあるの?)
と首を傾げながら聞いていた。
「まず、鬼を決め、儂の『始めぃ!』の合図で鬼以外の者は台所へ行き、各々豆を選びそれを持って好きな場所で鬼を仕留めよ。鬼になった者は操が今持っている升に入った豆を歳の数+1だけ食べたら追跡を始めよ。鬼が豆に当たることなくタッチしたら鬼の勝ち。鬼に豆を当てることができたらそのものの勝ちじゃ。」
(鬼役は逃げるんじゃなくて、追っかけてくるんだ!へ~~。)
そんなルールなんだ、と、武尊もうなずきながら聞く。
「なお、会場はこの葵屋、それから裏山の『知(ち)』と『仁(に)』の場所一帯じゃ。ただし葵屋の建物に損害を与えた者は・・・・・。」
と翁がそこで息を吸う。
「一年間、ただ働きじゃ-!覚悟せい!よいな!」
と、喝を入れた。
「うは!こりゃ、裏山へ行った方が無難だな。」
「そうね、今年は火男や式尉がいるからここでやると半壊以上の被害がでるかもね・・・。」
とひそひそ話が武尊にも聞こえ、
(え?ええ???豆まきに裏山?ここが半壊??)
と頭が一瞬パニックになりそうになる。
「皆の者、静かにせんか。まだ話は終わっておらんぞ。」
と翁が咳払いをしていった。
「なお、見事鬼をやっつけた者には豪華賞品がまっとるぞ!例えば二泊三日!有馬温泉ペア宿泊券!」
と言うと
「おおっ-!」
と、どよめきが起こった。
「まだまだじゃ!他には祇園の舞子さん五人と一日遊び放題券!牛鍋食べ放題券!京都南座歌舞伎鑑賞券役者と握手付き!などなど・・どうじゃ!」
と、翁が叫ぶと周りから歓声や拍手がおこった。
参加者はもう賞品を取った気になる。
操:(蒼紫様と温泉に行くしかないわね!)
火男:(牛鍋食べ放題!)
お近・お増:(歌舞伎座よ!歌舞伎座!団十郎様と握手できるなんて・・・。うっとり。)
他の男:(祇園だ-!)
「運悪く鬼になった者も悲観することはない。ちとハードルは高いが全員をタッチできれば鬼の勝ちじゃ。説明は以上。何か質問はある者はおるか。」
と、翁が皆を見回す。
皆が自分の勝利を確信し、頂き顔をする中、たった一人浮かない顔をする武尊。
(賞品はすごいけど・・・・、私には無理・・・。ま、もともと葵屋さんの人の為のものだし、私は参加させていただけるだけで十分。うん、やるだけがんばろう。)
と、思っていると、
「それでは鬼を決めたいのじゃが・・・、我はと言う者はおらんか。」
と、翁が聞くと癋見が
「今年は式尉がやりたいそうですよ。」
と、ニヤっとしながら言った。
「え!?」
《葵屋恒例豆まき大会》(落書き置き場の挿絵)
いきなり自分の名前が出て、その瞬間周りからは即、拍手が起こる。
「お、俺ですか!?」
と、一瞬目が点になる式尉。
だが次の瞬間、だれもやりたくない鬼に自分の名前が使われたことに気が付き、
「癋見!お前!よくもこの俺をはめやがったな!」
と、癋見を捕まえようとするが、
「式尉、おとなしく観念しろよ。皆も賛成だとよ-!」
と癋見はちょこまかとお増やお近の間をすり抜ける。
式尉が辺りを再度見回すと、オオーっという声と共に拍手が鳴る。
この雰囲気ではもう式尉に決まったも同然である。
「ちっくしょう~!癋見、覚えてろよ。お前から血祭だ!」
と式尉が座布団のような掌をぐぐっと握って癋見を睨んだ。
式尉が鬼役という事で他の者は、自分の勝利を夢見てわいわい騒ぐなか、
(このひとが鬼役・・・・。)
と武尊だけが本気で青くなる。
しかも癋見を睨んだその形相がまさしく鬼のごとく・・・・。
(今日が私の命日になるかも・・・・。)
と、武尊が思っていると、
「・・・翁、審判は翁がいれば十分だろう。」
と、蒼紫が口を開いた。
「ん?そりゃそうじゃが、何か不都合でもあるのか蒼紫?」
と翁が蒼紫に聞いた。
「・・・久々の余興だ。今年は鬼役は俺がやろう。」
と蒼紫が言った。
(お、御頭が-----ぁ?!)
と、誰もが心の中で叫んだ。
そして一同、水を打ったように静まり返る・・・。
蒼紫はすくっと立ち上がると
「まさか、俺がいない間にすっかりふぬけてしまったわけではあるまいな。」
と、眼力をきかせて皆を見る。
「賞品が欲しければ本気でかかって来い。」
と言うと再びその場に胡坐をかいた。
し~~~~ん。
誰も何も言う事が出来ないばかりか動くことも
できない雰囲気に翁が
「やれやれじゃ。このくらいの事で肝を縮めていては御庭番衆の名が泣くぞぃ。皆の者、用意はよいな?操、豆を蒼紫に。」
操は翁に頷くと蒼紫に豆を渡す。
「それでは皆の者、用意はええの。それ、『始めぃ!』」
翁の合図とともに、今まで武尊の周りにいたはずの人間が瞬時に視界から消える。
「えっ?ええ?」
と、きょろきょろする武尊に翁が、
「武尊、台所じゃ台所~。豆をとってくるんじゃ-。」
と教えてくれる。
「あ、はい!ありがとうございます、大旦那様。」
そう言うと武尊はパタパタと台所へ駆け出した。
「ふぅ、武尊には大変かもしれんのう・・特にお前が鬼とあってはのぅ。」
と、武尊の後ろ姿を見送る翁に蒼紫が、
「翁、あの者はなんだ。御庭番衆ではなかろう。なぜ葵屋にいる。」
と聞いた。