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蕎麦の思い出・二十六夜待ち(明治・東京)
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それっきりだった。
武尊はその後、新撰組から離れそのまま斎藤とも別れてしまっていた。
(そうだった・・思い出した。)
武尊はいままでそのことを忘れていたが
覚えていてくれた斎藤のことがとても嬉しかった。
「斎藤さん・・・・。ありがとう。」
そういって岩の上の斎藤の手の甲を武尊が上から手を重ねる。
「今頃思い出したのか阿呆。」
「うん・・。」
しばらくして遅い月が登った。
約束後初めて見る月。
「三日月と反対なんだね、形が。」
新月直前だから当たり前なんだけど感想がそのまま口に出た。
「どうだ、仏の姿は見えるか。」
と、斎藤がきいた。
「う~ん。」
正直、どこをどう見たら仏の姿に見えるのか真剣に悩んでいると
「阿呆。」
と言われた。
「仏様は見えないけれど、こうやって連れてきてくれて、斎藤さんと一緒にいられることが嬉しい。」
本当に嬉しい。
あの日の約束を果たしてくれた愛しい人の心遣いが。
「俺が仏様にみえるか?」
その後毒づく冗談も私が大好きな彼。
「ぜ-んぜん。」
と言って、自分の言葉にプッと吹く。
斎藤も笑ってる。
「仏様より・・・・斎藤さんの方が大事・・・。」
想いが武尊の本音を漏らす。
「阿呆、そんなことを言うとばちが当たるぞ。そういうことを言う口は・・・。」
斎藤は煙草を揉み消し、武尊を抱き寄せると口を吸った。
「ん・・ふっ・・。」
苦い。斎藤の煙草の味がする。
けれどその苦さが武尊の神経を麻痺させる。
甘い痺れが吐息となって時折武尊の口から洩れる。
こうなったら武尊は全身の力が抜けるので斎藤身体をあずける。
そして斎藤も武尊が達するまで口吸いをやめない。
人が集まる高台から離れているとはいえ甲高い声は夜の空気に響くので武尊も声はなるべく抑えようとするがすればするほど熱があがる。
「ふ、ぅ・・んん-ぁ--!」
身体を仰け反らせて小刻みに震える武尊を確認してようやく斎藤は武尊から顔を離す。
「相変わらずいい反応だな、武尊。」
「さ、斎藤さん・・・こんな所で・・・。」
荒く息をしながら武尊が涙目で訴える。
「こんな所で、何だ。興奮したか?」
斎藤がクククっと笑う。
図星なので反論できない。
悔し紛れに、
「斎藤さんの、いぢわるうぅ~。」
と言ってみるが武尊が怒ってないのは斎藤にはバレバレ。
「さて、月も見たし帰るか。」
と満足気に言うと斎藤は立ち上がって、ふにゃふにゃの武尊の手を引っ張り立たせた。
「歩けるか。」
「歩くしかないでしょう。」
いささか力の入らない足を踏み出しながら武尊は答えた。
おぼつかない武尊を来た時と同じように手を引く斎藤。
「今夜は署に泊りだな。」
「う~。」
ちょっと不満な返事をするのは、睡眠時間のことを考えるとその方がいいんだけど・・・門限を破って時尾さんが心配してると思うと黙って外泊してごめんなさいという気持ち。
でも。
斎藤に焚き付けられたこの身体、熱くてしょうがない。
武尊の気持ちなどすべて見通しだとばかりに斎藤が、
「案ずるな。署でちゃんと抱いてやる。」
と言った瞬間引く手がぐっと強く握られる。
「!!!」
見透かされた恥ずかしさで言葉がでない。
「馬鹿・・・・・。」
武尊は小さく呟くのが精一杯の抗議だった。
再会して、斎藤に妻がいることを知って、なんとその家に居候させてもらって。
でも妻の時尾さんはとてもいい人で自分も時尾さんが好きになって。
だから前みたいに自分には斎藤に触れる権利なんかないと思っているのに。
一緒に仕事させてもらってるだけで十二分。
そう思い込もうとしていた。
その中で時々うずく身体を斎藤は見抜いていたというのか。
「阿呆はお前だ。今日は何も考えるな。」
そう、署に着いて言われた。
でも・・・・時尾さん・・・。ごめんなさい。
今日は何も考えません・・・・。
* * * * *
翌日、張が出勤してきた。
「旦那、今日は武尊は?」
「ああ、あいつなら今日は熱出して倒れた。」
「はぁ?まったく今日も書類整理の山やねん。わいはまた武尊の分までやらんとあかんねんか--。」
っと文句を言われる。
斎藤と武尊が寝ている元資料室は木造の扉でつながっているが張の大きな声は丸聞こえだ。
「武尊の書類は俺がやる。お前は昼から外回り行って来い。」
「は?」
(は?)
張と武尊は同時に同じことを考えた。
これは何かやばいと・・・・。
「阿呆。」
それはどちらに向かって言ったのか。
今日も平穏な一日でありますように。本当。
武尊はその後、新撰組から離れそのまま斎藤とも別れてしまっていた。
(そうだった・・思い出した。)
武尊はいままでそのことを忘れていたが
覚えていてくれた斎藤のことがとても嬉しかった。
「斎藤さん・・・・。ありがとう。」
そういって岩の上の斎藤の手の甲を武尊が上から手を重ねる。
「今頃思い出したのか阿呆。」
「うん・・。」
しばらくして遅い月が登った。
約束後初めて見る月。
「三日月と反対なんだね、形が。」
新月直前だから当たり前なんだけど感想がそのまま口に出た。
「どうだ、仏の姿は見えるか。」
と、斎藤がきいた。
「う~ん。」
正直、どこをどう見たら仏の姿に見えるのか真剣に悩んでいると
「阿呆。」
と言われた。
「仏様は見えないけれど、こうやって連れてきてくれて、斎藤さんと一緒にいられることが嬉しい。」
本当に嬉しい。
あの日の約束を果たしてくれた愛しい人の心遣いが。
「俺が仏様にみえるか?」
その後毒づく冗談も私が大好きな彼。
「ぜ-んぜん。」
と言って、自分の言葉にプッと吹く。
斎藤も笑ってる。
「仏様より・・・・斎藤さんの方が大事・・・。」
想いが武尊の本音を漏らす。
「阿呆、そんなことを言うとばちが当たるぞ。そういうことを言う口は・・・。」
斎藤は煙草を揉み消し、武尊を抱き寄せると口を吸った。
「ん・・ふっ・・。」
苦い。斎藤の煙草の味がする。
けれどその苦さが武尊の神経を麻痺させる。
甘い痺れが吐息となって時折武尊の口から洩れる。
こうなったら武尊は全身の力が抜けるので斎藤身体をあずける。
そして斎藤も武尊が達するまで口吸いをやめない。
人が集まる高台から離れているとはいえ甲高い声は夜の空気に響くので武尊も声はなるべく抑えようとするがすればするほど熱があがる。
「ふ、ぅ・・んん-ぁ--!」
身体を仰け反らせて小刻みに震える武尊を確認してようやく斎藤は武尊から顔を離す。
「相変わらずいい反応だな、武尊。」
「さ、斎藤さん・・・こんな所で・・・。」
荒く息をしながら武尊が涙目で訴える。
「こんな所で、何だ。興奮したか?」
斎藤がクククっと笑う。
図星なので反論できない。
悔し紛れに、
「斎藤さんの、いぢわるうぅ~。」
と言ってみるが武尊が怒ってないのは斎藤にはバレバレ。
「さて、月も見たし帰るか。」
と満足気に言うと斎藤は立ち上がって、ふにゃふにゃの武尊の手を引っ張り立たせた。
「歩けるか。」
「歩くしかないでしょう。」
いささか力の入らない足を踏み出しながら武尊は答えた。
おぼつかない武尊を来た時と同じように手を引く斎藤。
「今夜は署に泊りだな。」
「う~。」
ちょっと不満な返事をするのは、睡眠時間のことを考えるとその方がいいんだけど・・・門限を破って時尾さんが心配してると思うと黙って外泊してごめんなさいという気持ち。
でも。
斎藤に焚き付けられたこの身体、熱くてしょうがない。
武尊の気持ちなどすべて見通しだとばかりに斎藤が、
「案ずるな。署でちゃんと抱いてやる。」
と言った瞬間引く手がぐっと強く握られる。
「!!!」
見透かされた恥ずかしさで言葉がでない。
「馬鹿・・・・・。」
武尊は小さく呟くのが精一杯の抗議だった。
再会して、斎藤に妻がいることを知って、なんとその家に居候させてもらって。
でも妻の時尾さんはとてもいい人で自分も時尾さんが好きになって。
だから前みたいに自分には斎藤に触れる権利なんかないと思っているのに。
一緒に仕事させてもらってるだけで十二分。
そう思い込もうとしていた。
その中で時々うずく身体を斎藤は見抜いていたというのか。
「阿呆はお前だ。今日は何も考えるな。」
そう、署に着いて言われた。
でも・・・・時尾さん・・・。ごめんなさい。
今日は何も考えません・・・・。
* * * * *
翌日、張が出勤してきた。
「旦那、今日は武尊は?」
「ああ、あいつなら今日は熱出して倒れた。」
「はぁ?まったく今日も書類整理の山やねん。わいはまた武尊の分までやらんとあかんねんか--。」
っと文句を言われる。
斎藤と武尊が寝ている元資料室は木造の扉でつながっているが張の大きな声は丸聞こえだ。
「武尊の書類は俺がやる。お前は昼から外回り行って来い。」
「は?」
(は?)
張と武尊は同時に同じことを考えた。
これは何かやばいと・・・・。
「阿呆。」
それはどちらに向かって言ったのか。
今日も平穏な一日でありますように。本当。