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2018年最後の短編=夢=
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=このお話は現代兄弟編の一兄さんのお話です=
(・・久しぶりに夢を見たな。)
そう薄目を開いた一は天井に目をじっと見る。
もともと眠りが浅い一が夢を見るのは久しい。
夏のまだ夜明け前の白い光がカーテンの隙間から洩れて薄ぼんやり明るい部屋にカチカチと目覚まし時計の音だけが響く。
一は無意識にゴソゴソと枕元に置いてある煙草の箱に手を伸ばした。
(・・蒼紫が海へ合宿へ行っていたからか?)
自問しながら火を点け煙草の煙をふぅと吐き一は天井を見つめる目を細めた。
リアルだったなと思いつつ自分の手を天井へ伸ばしその手を見る。
そこには夢の中で触れた武尊の感触がまだ生々しく残っていた。
何故か南の海で自分と武尊は海中を潜っていた。
色鮮やかな熱帯魚の群れの中を武尊は追いかけて行く。
やがて珊瑚の隙間の白い砂の海底を見つけた武尊はいるかのように泳ぎそこに座り一の方を振り返った。
その口元から白い綺麗な泡がこぽこぽと海面へと昇っていく。
何かを伝えているような武尊の前に一も泳いでいくと武尊は髪を揺らしながらふわりと立ち上がると一の顔へ自分の顔を近づけた。
そして自分のレギュレーターを一のレギュレーターにコツンと合わせた。
『す』『き』
武尊の唇の形がそう動いた瞬間、その口元からこぽ・こぽと泡の塊が二つこぼれた。
はにかんだ表情が水中メガネ越しに見えたがすぐに武尊は恥ずかしそうに一から顔を背けた。
ゆるりと向きを変え海面へ浮上しようとする武尊の腕を一は捕まえた。
そしてゆっくりと自分へと引き寄せた。
武尊と再び視線を合わせた一は自分のレギュレータを取り、武尊のレギュレーターにも手をかけた。
くいっと引っ張りそれを外すと一は武尊の唇に自分のを重ねた。
ピクリと小さく震えた武尊が小さな泡を漏らすがすぐに海の中は静寂な時間に包まれた。
息の続く限り一は優しく武尊の口内を貪り片手はダイビングスーツの上から武尊の形をゆっくりなぞったのだった。
再び酸素を求めレギュレーターに目をやったところで一は目が覚めた。
思い出した武尊の顔が可愛くて仕方がない。
柔らかな唇や逃げる舌はあまりにもリアルな感触だった。
実際したこともないのに何故そんな感触がしたのかと一はフンと息を吐く。
「俺もかなりの重症だな。」
一は立ち上がりカーテンをシャっと開き、窓を開けた。
少し涼しい空気が煙草の煙をさらっていく。
「さて・・どうするか。」
今日は武尊と蒼紫と三人で天橋立へ行く日。
どうにも予測出来ない今日一日を思い一は煙草を深く吸い込んだのだ。
=END=
2018.12.31
(・・久しぶりに夢を見たな。)
そう薄目を開いた一は天井に目をじっと見る。
もともと眠りが浅い一が夢を見るのは久しい。
夏のまだ夜明け前の白い光がカーテンの隙間から洩れて薄ぼんやり明るい部屋にカチカチと目覚まし時計の音だけが響く。
一は無意識にゴソゴソと枕元に置いてある煙草の箱に手を伸ばした。
(・・蒼紫が海へ合宿へ行っていたからか?)
自問しながら火を点け煙草の煙をふぅと吐き一は天井を見つめる目を細めた。
リアルだったなと思いつつ自分の手を天井へ伸ばしその手を見る。
そこには夢の中で触れた武尊の感触がまだ生々しく残っていた。
何故か南の海で自分と武尊は海中を潜っていた。
色鮮やかな熱帯魚の群れの中を武尊は追いかけて行く。
やがて珊瑚の隙間の白い砂の海底を見つけた武尊はいるかのように泳ぎそこに座り一の方を振り返った。
その口元から白い綺麗な泡がこぽこぽと海面へと昇っていく。
何かを伝えているような武尊の前に一も泳いでいくと武尊は髪を揺らしながらふわりと立ち上がると一の顔へ自分の顔を近づけた。
そして自分のレギュレーターを一のレギュレーターにコツンと合わせた。
『す』『き』
武尊の唇の形がそう動いた瞬間、その口元からこぽ・こぽと泡の塊が二つこぼれた。
はにかんだ表情が水中メガネ越しに見えたがすぐに武尊は恥ずかしそうに一から顔を背けた。
ゆるりと向きを変え海面へ浮上しようとする武尊の腕を一は捕まえた。
そしてゆっくりと自分へと引き寄せた。
武尊と再び視線を合わせた一は自分のレギュレータを取り、武尊のレギュレーターにも手をかけた。
くいっと引っ張りそれを外すと一は武尊の唇に自分のを重ねた。
ピクリと小さく震えた武尊が小さな泡を漏らすがすぐに海の中は静寂な時間に包まれた。
息の続く限り一は優しく武尊の口内を貪り片手はダイビングスーツの上から武尊の形をゆっくりなぞったのだった。
再び酸素を求めレギュレーターに目をやったところで一は目が覚めた。
思い出した武尊の顔が可愛くて仕方がない。
柔らかな唇や逃げる舌はあまりにもリアルな感触だった。
実際したこともないのに何故そんな感触がしたのかと一はフンと息を吐く。
「俺もかなりの重症だな。」
一は立ち上がりカーテンをシャっと開き、窓を開けた。
少し涼しい空気が煙草の煙をさらっていく。
「さて・・どうするか。」
今日は武尊と蒼紫と三人で天橋立へ行く日。
どうにも予測出来ない今日一日を思い一は煙草を深く吸い込んだのだ。
=END=
2018.12.31