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Web拍手、蒼紫編
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「俺の傷を数えていいのはお前だけだ・・。」
蒼紫は甘い声でそう言って私の頭を何度も優しく撫でた。
**********
料亭兼旅館の葵屋の若旦那となったのを機に、蒼紫は自室に西洋のデスクと立派な四つ足椅子なるものを置いた。
私はというと・・まあ色々あった後、蒼紫の恋人となり現在蒼紫個人や葵屋の手伝人の身。
蒼紫は最近めっきり忙しく東京と京都を行ったり来たり。
仕事熱心なのは良い事なんだろうけれどもちょっと身体が心配な今日この頃なのである。
そう思いつつ廊下を水ぶきしていると、早速東京から戻って来たばかりの蒼紫の『ただいま』という声がした。
ひとまず雑巾はその場に置き、私は蒼紫にお茶を持っていく。
するとスーツを脱ぎ、部屋着に着替えた蒼紫はデスクで大福帳とにらめっこしていた。
「お帰りなさい。翁さんのところに行かなくていいんですか?」
「嗚呼・・これが終わったら・・。」
と、生返事と共に湯呑を取ろうと伸びて来た手に湯呑差し出すと蒼紫の手は湯呑ではなく私の腕を掴んで引っ張った。
「わっ!」
このままお茶がひっくり返り大惨事な場面を想像すると同時に廊下に置きっぱなしのタライと雑巾の画像が脳裏に浮かぶ・・
(ひっくり返ってもすぐそこに雑巾が・・)
と思いつつも渾身の集中力で「えいっ!」っと湯呑を反対の手で持ち替えそのまま蒼紫の机に置いた。
ドン!どさっ。
湯呑と机がぶつかる音と自分が畳にひざまずく音がほぼ当時に聞こえ、私は湯呑が無事である事にホッとした。
「ん、もう!危ない!」
ちゃんと見て・・と言おうとした私の会話を蒼紫は遮り私を見た。
「この五日間寝てない。」
「また!?」
『寝ていない』と言われるのはもう何度目だろうか。
私は呆れつついつもの言葉を口にする。
「どうして出張に行くと寝ないの!寝る時間もないほど根を詰めなくても蒼紫ならちゃんと出来るでしょ!」
膝をついたまま椅子に座っている蒼紫を見上げ、説教じみた言葉だなぁと自分でも思いつつ言わずにいられない。
蒼紫はじっと私を見つめた後、おもむろに湯呑を取りお茶をすすった。
私は今日こそはちゃんとしたその答えを聞こうと正座をして蒼紫をじっと見ていた。
すると数口お茶を口にしてもまだなお、じっとりと視線を向ける私に蒼紫はコトリと湯呑を置いてスッと手を伸ばした。
その手は私の頬に優しく触れた。
「!」
蒼紫の手の感触にドキッと心の臓が音をたてる。
と、同時に予想だにしなかった言葉が聞こえた。
「寝る時にお前がいないと寂しくて。」
私に向き直してそう言った蒼紫の言葉がすぐには理解出来ずに脳内をグルグル回る。
「え・・。」
「それが嫌で寝ることが出来なかった。」
「・・!」
意外過ぎる蒼紫の言葉に熱くなった心の臓が口から出てきそうになった。
何も言えずに固まっている私の唇に頬に添えられていた指が触れなぞられる。
「早くお前を抱きたいがその前にこれに目を通しておきたい。その間この唇で俺を慰めてくれ。」
何度も私の唇を指先でなぞる蒼紫が何を求めているのか想像してカッと顔が熱くなった。
蒼紫も私が気づいたのが分かり熱を帯びた目で私を見つめた。
「この間のはとても良かったぞ・・」
と甘い声で囁きつつ、わざとらしく股を開く蒼紫の仕草に益々顔が熱くなる。
私はその視線に耐え切れず蒼紫から目を逸らしたが、意を決し蒼紫ににじり寄った。
そして蒼紫の着物の裾をそっと開いた。
視界に入る蒼紫の鍛え上げられたそのふくらはぎ。
私は蒼紫の片足をそっと持ち上げしなやかな筋肉に口づけをした。
* * * * * * *
一つ口づけをしてふと目の前の古傷に目が留まった。。
(あ・・。)
端整な顔、長身に品が纏う所動作。
そんな彼にどうして酷い傷がこんなにも隠されているのか。
傷一つ一つの理由を聞いたわけでもないが彼は厳しかった過去を離してくれたことがある。
『お前だけだ・・』
そう言ってくれたことが思い出されて傷の一つ一つが愛しく思えてその傷を唇でなぞった。
全部で幾つあるのか急に知りたくなって足先の方から傷に沿って舌を這わせたりして膝まで来た時フッと髪を優しく撫でる感触に顔をあげる。
「焦らすな・・もっと上だ・・」
滅多に見ることのない蒼紫の色づいた顔と艶やかな声に胸がキュッと締め付けられる。
「いつそんなことを覚えたんだ・・。」
「蒼紫が私にしてくれていることをしているだけよ。」
ドキドキしながらも私はちょっとだけ得意気になって悪戯っぽく笑った。
「言ったな。」
私の髪をすく手に一瞬力が入ったが蒼紫の顔は微笑みをたたえていた。
「俺の傷を数えていいのはお前だけだ・・。」
甘く囁く蒼紫の言葉と優しく自分の頭を撫でる手にすっかり酔ってしまった。
そして内ももの傷に舌を這わせながらチラリと蒼紫を覗き見るとその顔は満足気に頬を染めていた。
そんな蒼紫の顔がたまらなく、私は大福帳のことなどすっかり忘れて蒼紫の中心に顔を埋めたのだった。
=END=
2017.8.30
蒼紫は甘い声でそう言って私の頭を何度も優しく撫でた。
**********
料亭兼旅館の葵屋の若旦那となったのを機に、蒼紫は自室に西洋のデスクと立派な四つ足椅子なるものを置いた。
私はというと・・まあ色々あった後、蒼紫の恋人となり現在蒼紫個人や葵屋の手伝人の身。
蒼紫は最近めっきり忙しく東京と京都を行ったり来たり。
仕事熱心なのは良い事なんだろうけれどもちょっと身体が心配な今日この頃なのである。
そう思いつつ廊下を水ぶきしていると、早速東京から戻って来たばかりの蒼紫の『ただいま』という声がした。
ひとまず雑巾はその場に置き、私は蒼紫にお茶を持っていく。
するとスーツを脱ぎ、部屋着に着替えた蒼紫はデスクで大福帳とにらめっこしていた。
「お帰りなさい。翁さんのところに行かなくていいんですか?」
「嗚呼・・これが終わったら・・。」
と、生返事と共に湯呑を取ろうと伸びて来た手に湯呑差し出すと蒼紫の手は湯呑ではなく私の腕を掴んで引っ張った。
「わっ!」
このままお茶がひっくり返り大惨事な場面を想像すると同時に廊下に置きっぱなしのタライと雑巾の画像が脳裏に浮かぶ・・
(ひっくり返ってもすぐそこに雑巾が・・)
と思いつつも渾身の集中力で「えいっ!」っと湯呑を反対の手で持ち替えそのまま蒼紫の机に置いた。
ドン!どさっ。
湯呑と机がぶつかる音と自分が畳にひざまずく音がほぼ当時に聞こえ、私は湯呑が無事である事にホッとした。
「ん、もう!危ない!」
ちゃんと見て・・と言おうとした私の会話を蒼紫は遮り私を見た。
「この五日間寝てない。」
「また!?」
『寝ていない』と言われるのはもう何度目だろうか。
私は呆れつついつもの言葉を口にする。
「どうして出張に行くと寝ないの!寝る時間もないほど根を詰めなくても蒼紫ならちゃんと出来るでしょ!」
膝をついたまま椅子に座っている蒼紫を見上げ、説教じみた言葉だなぁと自分でも思いつつ言わずにいられない。
蒼紫はじっと私を見つめた後、おもむろに湯呑を取りお茶をすすった。
私は今日こそはちゃんとしたその答えを聞こうと正座をして蒼紫をじっと見ていた。
すると数口お茶を口にしてもまだなお、じっとりと視線を向ける私に蒼紫はコトリと湯呑を置いてスッと手を伸ばした。
その手は私の頬に優しく触れた。
「!」
蒼紫の手の感触にドキッと心の臓が音をたてる。
と、同時に予想だにしなかった言葉が聞こえた。
「寝る時にお前がいないと寂しくて。」
私に向き直してそう言った蒼紫の言葉がすぐには理解出来ずに脳内をグルグル回る。
「え・・。」
「それが嫌で寝ることが出来なかった。」
「・・!」
意外過ぎる蒼紫の言葉に熱くなった心の臓が口から出てきそうになった。
何も言えずに固まっている私の唇に頬に添えられていた指が触れなぞられる。
「早くお前を抱きたいがその前にこれに目を通しておきたい。その間この唇で俺を慰めてくれ。」
何度も私の唇を指先でなぞる蒼紫が何を求めているのか想像してカッと顔が熱くなった。
蒼紫も私が気づいたのが分かり熱を帯びた目で私を見つめた。
「この間のはとても良かったぞ・・」
と甘い声で囁きつつ、わざとらしく股を開く蒼紫の仕草に益々顔が熱くなる。
私はその視線に耐え切れず蒼紫から目を逸らしたが、意を決し蒼紫ににじり寄った。
そして蒼紫の着物の裾をそっと開いた。
視界に入る蒼紫の鍛え上げられたそのふくらはぎ。
私は蒼紫の片足をそっと持ち上げしなやかな筋肉に口づけをした。
* * * * * * *
一つ口づけをしてふと目の前の古傷に目が留まった。。
(あ・・。)
端整な顔、長身に品が纏う所動作。
そんな彼にどうして酷い傷がこんなにも隠されているのか。
傷一つ一つの理由を聞いたわけでもないが彼は厳しかった過去を離してくれたことがある。
『お前だけだ・・』
そう言ってくれたことが思い出されて傷の一つ一つが愛しく思えてその傷を唇でなぞった。
全部で幾つあるのか急に知りたくなって足先の方から傷に沿って舌を這わせたりして膝まで来た時フッと髪を優しく撫でる感触に顔をあげる。
「焦らすな・・もっと上だ・・」
滅多に見ることのない蒼紫の色づいた顔と艶やかな声に胸がキュッと締め付けられる。
「いつそんなことを覚えたんだ・・。」
「蒼紫が私にしてくれていることをしているだけよ。」
ドキドキしながらも私はちょっとだけ得意気になって悪戯っぽく笑った。
「言ったな。」
私の髪をすく手に一瞬力が入ったが蒼紫の顔は微笑みをたたえていた。
「俺の傷を数えていいのはお前だけだ・・。」
甘く囁く蒼紫の言葉と優しく自分の頭を撫でる手にすっかり酔ってしまった。
そして内ももの傷に舌を這わせながらチラリと蒼紫を覗き見るとその顔は満足気に頬を染めていた。
そんな蒼紫の顔がたまらなく、私は大福帳のことなどすっかり忘れて蒼紫の中心に顔を埋めたのだった。
=END=
2017.8.30