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とある夏の日(明治・神谷道場)
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話は前日の夕暮れ時に遡る。
「ごめんね、弥彦君。」
「だから謝るなって言ってんだろ。気にするなって。」
先日神谷道場に顔を出した燕がひょんなことから今度実家に祖父のお墓参りに帰るという話が出た。
そこで薫が最近は物騒だから弥彦を連れて行きなさいということになったのだ。
最初は『実家ぐらい一人で行けるだろう』と文句を言っていた弥彦だったが燕に何かあったら嫌だったので付き添いとして同行してたわけなのだが・・。
先日の大雨で橋が二つも流されて随分遠回りをせざるを得なく、帰りが遅くなったのだ。
遅れを取り戻そうと近道の藪へ入るがどうやら道を間違えてしまったらしい。
月齢は新月、空には厚い雲がどんよりかかり星明りもない。
「仕方ねぇな、今夜は野宿の方がいいな。方向的には間違ってないはずだから朝になったらちゃんと帰れるさ。」
「ごめんね私の所為で・・。」
「だからいいって言ってんだろ!」
薄暗い藪の中、何とか寝心地のよさそうな場所を探し二人とも腰を下ろすが何となく気にかかる者同士、無言になると何となく気まずい。
暫く経っても二人ともゴソゴソと寝られない。
目を閉じるとトクトク打つ胸の音が痛くて燕はそっと弥彦を見た。
弥彦はそんな燕の視線に照れるのを隠すように、
「早く寝ろよ!」
とぶっきら棒に言った。
「・・うん。」
弥彦に怒られ燕は再び目を閉じた。
ようやく落ち着いたかと思った時、プ~~~~ンという嫌な音が耳についた。
「ちっ。」
ぺちっ、ぺちっ、と叩いても次から次へときりがない。
燕を見るともぞもぞとしてやはり蚊の襲撃で寝れないようだった。
「おい、暑いかもしれねぇけどこれでも頭からかぶってろ!刺されるよりましだろ。」
と、弥彦は上着を脱いで燕にバサッとかぶせた。
「や、弥彦君っ!」
こんなことをすれば弥彦が蚊に狙い撃ちされてしまうと燕は上着を返そうとしたが弥彦は受け取らない。
「スリをしてた頃は野宿が当たり前だったしこんなの平気だ。それに、」
ベシッ!とまた弥彦は蚊を潰した。
「こうやって見えない所で蚊を捕らえるってのも修行だし。一晩ぐらい平気だ。」
と弥彦は見えを張った。
「弥彦君・・。」
ありがとうと心が熱くなりながら燕は今度こそ目を閉じた。
「ごめんね、弥彦君。」
「だから謝るなって言ってんだろ。気にするなって。」
先日神谷道場に顔を出した燕がひょんなことから今度実家に祖父のお墓参りに帰るという話が出た。
そこで薫が最近は物騒だから弥彦を連れて行きなさいということになったのだ。
最初は『実家ぐらい一人で行けるだろう』と文句を言っていた弥彦だったが燕に何かあったら嫌だったので付き添いとして同行してたわけなのだが・・。
先日の大雨で橋が二つも流されて随分遠回りをせざるを得なく、帰りが遅くなったのだ。
遅れを取り戻そうと近道の藪へ入るがどうやら道を間違えてしまったらしい。
月齢は新月、空には厚い雲がどんよりかかり星明りもない。
「仕方ねぇな、今夜は野宿の方がいいな。方向的には間違ってないはずだから朝になったらちゃんと帰れるさ。」
「ごめんね私の所為で・・。」
「だからいいって言ってんだろ!」
薄暗い藪の中、何とか寝心地のよさそうな場所を探し二人とも腰を下ろすが何となく気にかかる者同士、無言になると何となく気まずい。
暫く経っても二人ともゴソゴソと寝られない。
目を閉じるとトクトク打つ胸の音が痛くて燕はそっと弥彦を見た。
弥彦はそんな燕の視線に照れるのを隠すように、
「早く寝ろよ!」
とぶっきら棒に言った。
「・・うん。」
弥彦に怒られ燕は再び目を閉じた。
ようやく落ち着いたかと思った時、プ~~~~ンという嫌な音が耳についた。
「ちっ。」
ぺちっ、ぺちっ、と叩いても次から次へときりがない。
燕を見るともぞもぞとしてやはり蚊の襲撃で寝れないようだった。
「おい、暑いかもしれねぇけどこれでも頭からかぶってろ!刺されるよりましだろ。」
と、弥彦は上着を脱いで燕にバサッとかぶせた。
「や、弥彦君っ!」
こんなことをすれば弥彦が蚊に狙い撃ちされてしまうと燕は上着を返そうとしたが弥彦は受け取らない。
「スリをしてた頃は野宿が当たり前だったしこんなの平気だ。それに、」
ベシッ!とまた弥彦は蚊を潰した。
「こうやって見えない所で蚊を捕らえるってのも修行だし。一晩ぐらい平気だ。」
と弥彦は見えを張った。
「弥彦君・・。」
ありがとうと心が熱くなりながら燕は今度こそ目を閉じた。