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夏の名物(明治・京都)

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兎角京都の夏は暑い。


山の奥地と言えどもそれは例外ではない。


日が暮れれば涼やかになるとはいえ、畑仕事をすれば汗もかく。


すっかり日課のようになった水浴びをしに比古と武尊は川へ降りた。


河原に着くと比古は即、真っ裸になりザブザブと音とたてながらあっという間に水面から見えなくなった。



(ん、もう・・!最近すっかり脱ぎっぱなしなんだから!)



と言いつつも子供のように大らかな比古に武尊は微笑みを浮かべる。


そしてくそ重たい白マントや衣類を整頓し大きな岩の影に置くと比古のふんどしをじゃぶじゃぶと洗い、パンパンと大きく振って水しぶきを飛ばし大きな岩に伸ばして置くのだ。


熱せられて熱くなった岩はそれだけで随分と乾きが早くなる。



「よし!」



武尊はそう気合を入れると、次は自分の汗だくな着物を脱いで裸でジャブジャブ・・。



(泥と汗だけだからこれでよし、自然の物は自然に返す・・)



原始的な自分の姿も比古と居ればごく自然。


武尊はそんな自分を苦笑した後、



「んーーーっ!」



と腰を思いっきり伸ばし濡れた着物を絞ったあとパァーンと言わせて水滴を飛ばした。


これでやっと自分も川に・・


と思った瞬間、



「おい、夏の名物といえば何だ!」



と、川の中ほどで比古が大きな声を出した。



「え!?」



と目を丸くする武尊に比古は何かを投げてよこした。



「わ、わっ!」



慌てて空をくねくねさせながら飛んでくるエメラルド色の物体を武尊は慌ててキャッチした。



「わっ!」



それは武尊の手の中で力強く逃げようとする。


夕飯が・・!と咄嗟に思った武尊と魚の戦いだ。


逃がしてなるものかと何とかそれを比古がアケビのつるで編んだ魚籠に入れた。


ほぅ、っと一息ついた武尊は魚籠の中を覗き込む。



「これ、鮎だ!」



思わぬ御馳走に武尊が声を弾ませると、



「いいだろ。」



と自慢気な声がし、武尊が振り返るとまた比古が鮎を投げて来た。



「ちょっ!」



それをまた慌ててキャッチする武尊。



「もー!ちゃんと持ってくればいいじゃない!」


「めんどくさい。」



速攻で返事をするもニヤリと笑う比古。


そして武尊を手招きする。



「もー!」



と言いつつも、いつものことながら素手で魚を捕まえるなど人間技じゃない特技に武尊は舌を巻く。


武尊は魚籠をあらかじめ掘って水が流れてきて溜まるようにしてある川べりに逃げないようにして魚籠を浸けると川に入っていった。
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