武尊にはまだ俺が公儀隠密の御庭番衆の御頭だったということは言っていない。

たとえそれが仕事とはいえ、俺達が今までにたくさんの人の命を奪ってきたことを武尊に知られたくないからだ。

俺という人間を拒絶されるの恐れているからだ。



御庭番が自分の頭を他人に預ける。

それがどういうことなのか、わかるやつには解る。


操、お前にもそんなことが理解できるようになる日が来ると思うが、逆に御庭番という情け無用の世界にお前がかかわる日が来ることがないよう、この新しい時代を見据えてゆくつもりだ。





「蒼紫様～。どうでした～？寸劇。よかったですか？」


操が期待の眼差しを持って俺に聞いてきた。


「お前自身はどうだったんだ、やってみて。何か感じる所はあったのか？」


「ん～～、武尊さんの頭って重たかった。」


「それだけか。」


「ん～～、んんん。」

プシュ！操の頭から煙がでたようだ。やれやれ。





む、武尊の姿が見えない。


「武尊はどこに行った。」


「あ、さっき疲れたとかで部屋に戻るって言ってましたよ。」


黒が教えてくれた。


皆にはすぐ戻ると言って、ちょっと様子を見てくるか。