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初夢(明治・京都)
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約束通り武尊は蒼紫の部屋へ朝餉を運んだ。
一礼して下がろうとする武尊を蒼紫は呼び止めた。
「はい、蒼紫様。何でしょうか。」
「先程の茄子はまだあるのか。」
「はい、まだ籠に残っていたかと思いますが。」
「膳を下げに来るときに一本持って来てくれ。」
「はい、分かりました。」
いったい茄子を何にお使いになるのだろうかと武尊は不思議に思ったが、そこは若旦那のお考えになる事でどうこう自分が言う立場ではないと武尊は深く考えるのをやめた。
膳を下げに来た時、言われた通りに武尊は茄子を一本持って来た。
しっかり洗って黒光りするように少し磨いた茄子だった。
「蒼紫様、どうぞ。」
茄子を差し出した武尊からそれを取ろうとした時蒼紫は武尊の手に触れた。
武尊は初めて触れた蒼紫の手にびっくりして手を引っ込めたため、茄子はコロコロと畳の上を転がった。
慌ててそれを取ろうと武尊が手を伸ばした時、蒼紫も茄子を取ろうと手を伸ばしていた。
二人の手が茄子の上で重なった。
蒼紫の手の方が上だったため蒼紫は自然に武尊の手を包み込んで動かさなかった。
「あ・・蒼紫様・・。」
武尊は少し苦しそうに蒼紫を呼び自分の手を押さえている蒼紫の方を見た。
蒼紫も武尊を見た。
武尊の心臓がドクンと鳴った。
今までこんなことなかったのに急に蒼紫の顔を見ていると鼓動が早くなる自分に武尊は動揺した。
顔が熱くなってきた武尊は口を開いたがそれは言葉にはならなかった。
蒼紫はそれを見てすっと手を外し、武尊は茄子を拾い上げて、
「落としてしまってすみません。」
と再度茄子を蒼紫に差し出した。
「嗚呼、、ありがとう。」
茄子を受け取った蒼紫に武尊はつい気になっていた事を口に出した。
「あの・・蒼紫様、茄子をいったい何にお使いになるのですか?」
綺麗な目を真っ直ぐに蒼紫に向けてそう言う武尊に蒼紫はすくっと立ち上がり、縁側から庭に下り庭木から細い枝を四本折った。
それを持って部屋に戻ると懐に入れていた茄子に差した。
「蒼紫様・・それって・・。」
「初夢が茄子だったからな・・」
ぼそっと偽りを呟きながら蒼紫は出来上がった茄子の馬を床の間に置いた。
「お盆にはまだ気が早いですよ。」
蒼紫の事をとても真面目な方だと思っていた武尊はそんな蒼紫の一面にクスっと笑った。
すぐさま蒼紫にじっと見られ、
「あ・・すみません、失礼いたしました。」
と武尊は弁解した。
「いや・・面白ければ笑ってくれ。その方がいい。」
意外な蒼紫の言葉に武尊は何だか安心して、
「はい。」
と、ニコッと笑った。
蒼紫もそれを見てフッと笑う。
武尊の笑顔はなんて自分の心を穏やかにするのだ、と、蒼紫は飾った茄子を見つめたのだった。
と、同時にもしかして脈ありかと勝手に期待を膨らませた蒼紫はその晩も激しい情事の夢を見る事となる・・・。
お終い!
2016.1.3
一礼して下がろうとする武尊を蒼紫は呼び止めた。
「はい、蒼紫様。何でしょうか。」
「先程の茄子はまだあるのか。」
「はい、まだ籠に残っていたかと思いますが。」
「膳を下げに来るときに一本持って来てくれ。」
「はい、分かりました。」
いったい茄子を何にお使いになるのだろうかと武尊は不思議に思ったが、そこは若旦那のお考えになる事でどうこう自分が言う立場ではないと武尊は深く考えるのをやめた。
膳を下げに来た時、言われた通りに武尊は茄子を一本持って来た。
しっかり洗って黒光りするように少し磨いた茄子だった。
「蒼紫様、どうぞ。」
茄子を差し出した武尊からそれを取ろうとした時蒼紫は武尊の手に触れた。
武尊は初めて触れた蒼紫の手にびっくりして手を引っ込めたため、茄子はコロコロと畳の上を転がった。
慌ててそれを取ろうと武尊が手を伸ばした時、蒼紫も茄子を取ろうと手を伸ばしていた。
二人の手が茄子の上で重なった。
蒼紫の手の方が上だったため蒼紫は自然に武尊の手を包み込んで動かさなかった。
「あ・・蒼紫様・・。」
武尊は少し苦しそうに蒼紫を呼び自分の手を押さえている蒼紫の方を見た。
蒼紫も武尊を見た。
武尊の心臓がドクンと鳴った。
今までこんなことなかったのに急に蒼紫の顔を見ていると鼓動が早くなる自分に武尊は動揺した。
顔が熱くなってきた武尊は口を開いたがそれは言葉にはならなかった。
蒼紫はそれを見てすっと手を外し、武尊は茄子を拾い上げて、
「落としてしまってすみません。」
と再度茄子を蒼紫に差し出した。
「嗚呼、、ありがとう。」
茄子を受け取った蒼紫に武尊はつい気になっていた事を口に出した。
「あの・・蒼紫様、茄子をいったい何にお使いになるのですか?」
綺麗な目を真っ直ぐに蒼紫に向けてそう言う武尊に蒼紫はすくっと立ち上がり、縁側から庭に下り庭木から細い枝を四本折った。
それを持って部屋に戻ると懐に入れていた茄子に差した。
「蒼紫様・・それって・・。」
「初夢が茄子だったからな・・」
ぼそっと偽りを呟きながら蒼紫は出来上がった茄子の馬を床の間に置いた。
「お盆にはまだ気が早いですよ。」
蒼紫の事をとても真面目な方だと思っていた武尊はそんな蒼紫の一面にクスっと笑った。
すぐさま蒼紫にじっと見られ、
「あ・・すみません、失礼いたしました。」
と武尊は弁解した。
「いや・・面白ければ笑ってくれ。その方がいい。」
意外な蒼紫の言葉に武尊は何だか安心して、
「はい。」
と、ニコッと笑った。
蒼紫もそれを見てフッと笑う。
武尊の笑顔はなんて自分の心を穏やかにするのだ、と、蒼紫は飾った茄子を見つめたのだった。
と、同時にもしかして脈ありかと勝手に期待を膨らませた蒼紫はその晩も激しい情事の夢を見る事となる・・・。
お終い!
2016.1.3