「斎藤さん、お待たせしました！」



息を切らせながら戻って来た武尊の顔はまだ笑顔のままだった。



「どうだったんだ、おみくじは。」



それほどおみくじの内容が良かったのかと斎藤は思って聞いた。



「おみくじですか？中吉でした。」



と、武尊はポケットからおみくじを出して斎藤に見せた。



「ほら、十一番中吉です・・って中吉っていうところしか見てなかった。」



と、どれどれと武尊はおみくじの詳細を見た｡



「・・願い事叶う・・金運よし、病気せずって・・これはいいけど・・待ち人・・来る、縁談・・良縁あり、お産よしって・・私そんな人いないのに。」



と武尊は呟いてハッとした。


斎藤がおみくじを覗き込んでいたからだ。



「あ、すみません、本当にお待たせしました。行きましょう！斎藤さんもお腹すいてますよね、いつものお蕎麦屋さんにでも・・。」



と武尊が言うと斎藤は、



「嗚呼・・」



と言い煙草をふかしながら歩き始めた。