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おみくじ(明治・東京)
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新年早々の巡察がようやく終わった。
ごった返す某有名神社周辺をぐるぐると昨晩からずっと歩き回っていたのだった。
気がつけばすでに日はすでに明け、腹ペコだ。
「斎藤さん、もう・・限界です。」
武尊は上司の斎藤に心のままの心情を吐いた。
「だらしない、もう限界か?」
昨年警視庁に期間限定で特別配属になったばかりの武尊を受け持った鬼の上司斎藤はそう言って武尊を睨んだ。
「す・・すみません。」
足の速い斎藤について行くのもやっとなのに昨晩からずっとついて来たので息も切れ切れの武尊だった。
「まあいい。もう何も起こらんだろう、巡察は終りにするか。」
「ありがとうございます!」
「阿呆、俺に礼を言ってどうする。」
「すみません!」
斎藤に謝りっぱなしの武尊は斎藤の部下になってまだ一週間の武尊は一日に百回は『すみません』を連発する。
その度に斎藤に『阿呆』と言われているような気がすると武尊は思うのだが正直斎藤は・・何と言うのか・・武尊は本気で怖いと思うのだった。
武尊は帰るぞと言う斎藤をちらっと見ながら何故この男とこんなことをする羽目になったかを回想していた・・・・
武尊はもとはと言えば団子屋の娘だった。
団子屋と言っても屋台で年老いた父と二人細々と生計を立てていたのだが師走のついこの間の夕方、勤務中に酒を飲んで酔っ払った剣客警官隊に因縁をつけられ屋台を全壊させられた上になんとかやめさせようとした父をも殺されてしまった。
仇を取ろうと警視庁に乗り込もうとしたのだが門の所で偶然通りかかった斎藤に瞬時に一部始終を見ぬかれそのまま捕縛された。
理由を知った川路大警視は事を公にすることは警察の威信にかかわるということでそのまま保護観察を斎藤に命じたのであった。
「何で俺なんですか!!」
斎藤は川路に抗議したが、聞き入れてもらえず渋々斎藤は大警視命令という事で武尊をあずかる羽目となったということである。
保護観察といっても自分には日々の業務がある。
仕方がないので斎藤は川路の命だという事にして武尊に制服を着させ自分に同行させていたのである。
そうでもしないと武尊はきっと仇を討ちに警視庁へ入り込み犬死するだとうと斎藤は推測し、死にたい奴は勝手に死ねばいいともおもったのだが相手が同じ警部補のあの宇治木なのだ。
みすみす宇治木の喜ぶようなことをさせるのは自分の納得がいかない、ただそれだけだったのだ。
そんな中、警視庁に反政府分子が大晦日の夜にこの神社で騒ぎを起こすかもしれないというタレこみがあり担当警察署の他に本庁からも斎藤達が駆り出されたのであった。
「斎藤さん!」
斎藤は帰ろうとしていた矢先に武尊に呼び止められた。
「何だ。」
斎藤が怪訝に振り返れば武尊に、
「すみません、少しだけ待って下さい。」
と言われた。
「どうかしたのか。」
「いえ・・あの・・父が生きていた時はお正月は必ずこの神社にお参りに来ておみくじを引いていたものですから・・。」
武尊は口ごもりながら答えた。
警視庁からこの神社までは少し距離がある。
保護観察下に置かれている武尊が一人で斎藤のもとを抜け出し参拝することは不可能だと思った武尊は上司に微かな希望を懸けて願い出たのであった。
「嗚呼、此処で待っててやる。早く行って来い。」
斎藤はそう言って鳥居の外側で煙草に火を点けた。
「敷地内の人ごみの中ではゆっくり煙草も吸えん・・何ハトが豆鉄砲喰らったような顔をしている、早く行け。」
そんなに簡単にいいと言ってもらえると思ってなかった武尊はそんな顔だったのだろう。
「あ・・はい、すみません!行ってきます!」
武尊は瞬時に笑顔で顔をほころばせて本殿の方へ戻って行った。
「・・・。」
一瞬見せた武尊の笑顔が斎藤の心に焼きついた。
「ああいう顔をする奴だったのか・・。」
斎藤は煙草をふかし青い空を仰ぎ見た。
ごった返す某有名神社周辺をぐるぐると昨晩からずっと歩き回っていたのだった。
気がつけばすでに日はすでに明け、腹ペコだ。
「斎藤さん、もう・・限界です。」
武尊は上司の斎藤に心のままの心情を吐いた。
「だらしない、もう限界か?」
昨年警視庁に期間限定で特別配属になったばかりの武尊を受け持った鬼の上司斎藤はそう言って武尊を睨んだ。
「す・・すみません。」
足の速い斎藤について行くのもやっとなのに昨晩からずっとついて来たので息も切れ切れの武尊だった。
「まあいい。もう何も起こらんだろう、巡察は終りにするか。」
「ありがとうございます!」
「阿呆、俺に礼を言ってどうする。」
「すみません!」
斎藤に謝りっぱなしの武尊は斎藤の部下になってまだ一週間の武尊は一日に百回は『すみません』を連発する。
その度に斎藤に『阿呆』と言われているような気がすると武尊は思うのだが正直斎藤は・・何と言うのか・・武尊は本気で怖いと思うのだった。
武尊は帰るぞと言う斎藤をちらっと見ながら何故この男とこんなことをする羽目になったかを回想していた・・・・
武尊はもとはと言えば団子屋の娘だった。
団子屋と言っても屋台で年老いた父と二人細々と生計を立てていたのだが師走のついこの間の夕方、勤務中に酒を飲んで酔っ払った剣客警官隊に因縁をつけられ屋台を全壊させられた上になんとかやめさせようとした父をも殺されてしまった。
仇を取ろうと警視庁に乗り込もうとしたのだが門の所で偶然通りかかった斎藤に瞬時に一部始終を見ぬかれそのまま捕縛された。
理由を知った川路大警視は事を公にすることは警察の威信にかかわるということでそのまま保護観察を斎藤に命じたのであった。
「何で俺なんですか!!」
斎藤は川路に抗議したが、聞き入れてもらえず渋々斎藤は大警視命令という事で武尊をあずかる羽目となったということである。
保護観察といっても自分には日々の業務がある。
仕方がないので斎藤は川路の命だという事にして武尊に制服を着させ自分に同行させていたのである。
そうでもしないと武尊はきっと仇を討ちに警視庁へ入り込み犬死するだとうと斎藤は推測し、死にたい奴は勝手に死ねばいいともおもったのだが相手が同じ警部補のあの宇治木なのだ。
みすみす宇治木の喜ぶようなことをさせるのは自分の納得がいかない、ただそれだけだったのだ。
そんな中、警視庁に反政府分子が大晦日の夜にこの神社で騒ぎを起こすかもしれないというタレこみがあり担当警察署の他に本庁からも斎藤達が駆り出されたのであった。
「斎藤さん!」
斎藤は帰ろうとしていた矢先に武尊に呼び止められた。
「何だ。」
斎藤が怪訝に振り返れば武尊に、
「すみません、少しだけ待って下さい。」
と言われた。
「どうかしたのか。」
「いえ・・あの・・父が生きていた時はお正月は必ずこの神社にお参りに来ておみくじを引いていたものですから・・。」
武尊は口ごもりながら答えた。
警視庁からこの神社までは少し距離がある。
保護観察下に置かれている武尊が一人で斎藤のもとを抜け出し参拝することは不可能だと思った武尊は上司に微かな希望を懸けて願い出たのであった。
「嗚呼、此処で待っててやる。早く行って来い。」
斎藤はそう言って鳥居の外側で煙草に火を点けた。
「敷地内の人ごみの中ではゆっくり煙草も吸えん・・何ハトが豆鉄砲喰らったような顔をしている、早く行け。」
そんなに簡単にいいと言ってもらえると思ってなかった武尊はそんな顔だったのだろう。
「あ・・はい、すみません!行ってきます!」
武尊は瞬時に笑顔で顔をほころばせて本殿の方へ戻って行った。
「・・・。」
一瞬見せた武尊の笑顔が斎藤の心に焼きついた。
「ああいう顔をする奴だったのか・・。」
斎藤は煙草をふかし青い空を仰ぎ見た。