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クリスマスの夜には(後編)
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『プッ』
と、音はしなかったがそんな感じで最後のひと絞りを絞り出した瞬間、居間のドアがバンッ!と開いたのだった。
「・・あっ。」
てっきり武尊の身に危険が迫っていると思い込み、鬼気迫る顔で部屋に入って来た蒼紫は自分と想像したシチュエーションとあまりにも違いすぎる現実に己が目を疑った。
(TOP絵よりイメージ絵参照)
一呼吸の間、蒼紫は固まり、そしてそれが現実なんなのかを認識した瞬間自分が声を出すよりも早く話しかけられた。
「おう、なかなか遅かったな。バイトなんだってな、御苦労さん。」
そう蒼紫に話しかけたのは比古だった。
「伯父さん!?どうして此処へ?」
そう、蒼紫達の伯父、比古清十郎はエジプトにいるはずの人間だったからだ。
「あ、それか。今、大阪の 国立国際美術館で【クレオパトラとエジプトの王妃展】をやっているのをしらないのか?確か10月10日から12月27日までだったかな。そこの主催者に是非講演に来てくれって随分前から頼まれててな、それが今日だったんだ。京都は近いしエジプトに帰る前にお前らの顔を見に来たって所だ。」
比古はそう言って蒼紫に近づいてぐわっしぐわっしと蒼紫の頭を撫でた。
「おぅ、お前も大きくなったな。」
比古はにんまり顔をして満足そうに頷いた。
「俺はもう子供じゃありませんよ!」
蒼紫はそう言って比古の手から逃げた。
比古は、
「確かに子供と言うには無理なくらいでかくなったな。」
と言って笑った。
蒼紫は比古がここにいる理由が分かったからと今度は兄、一の方を向いて言った。
「兄さん!兄さんは捜査で忙しいからって今日は東京じゃなかったんですか!」
「あ、そういえばそうだったな。」
と、蒼紫に背を向けて手元を見ていた一が蒼紫に振り向くと蒼紫は一の座っていたテーブルにクリスマスケーキと、一の手にはとても信じられないが生クリームの絞り出し袋が握られているのが目に入った。
その状況がしめす事はただ一つ・・。
「兄さん・・ま、まさかと思うけど・・。」
蒼紫が信じられないと目を見開き、ケーキを指差した。
「あ?これか?案外と簡単だったか。」
と一は自分の出来前に満足だといわんばかりに蒼紫に言った。
「だろ?」
比古がすかさず一に相槌を打ち、
「俺の天才的指導のとおりにすればこれくらいは出来て当然だ。」
と自己満足たっぷりに前髪をかきあげた。
テーブルの上には種なしマスカットとミックスベリーがたっぷりのった生クリスマスケーキ。
蒼紫の目から見てもそのデコレーションはほぼ完ぺきだった。
いや、蒼紫が一番信じがたいのはデコレーションが完璧なことではなく、それをやったのがあの無骨だと思っていたあの兄だという事。
蒼紫は半開きになった口が塞がらなかった。
いや、更にその事よりも自分の武尊への重大事項を打ちあけようとしていた今宵に最大の障害が自分の前に立ちふさがっている現実に蒼紫は思わずポケットの指輪の箱をぐっと奥へ押し込んだのだった。
と、音はしなかったがそんな感じで最後のひと絞りを絞り出した瞬間、居間のドアがバンッ!と開いたのだった。
「・・あっ。」
てっきり武尊の身に危険が迫っていると思い込み、鬼気迫る顔で部屋に入って来た蒼紫は自分と想像したシチュエーションとあまりにも違いすぎる現実に己が目を疑った。
(TOP絵よりイメージ絵参照)
一呼吸の間、蒼紫は固まり、そしてそれが現実なんなのかを認識した瞬間自分が声を出すよりも早く話しかけられた。
「おう、なかなか遅かったな。バイトなんだってな、御苦労さん。」
そう蒼紫に話しかけたのは比古だった。
「伯父さん!?どうして此処へ?」
そう、蒼紫達の伯父、比古清十郎はエジプトにいるはずの人間だったからだ。
「あ、それか。今、大阪の 国立国際美術館で【クレオパトラとエジプトの王妃展】をやっているのをしらないのか?確か10月10日から12月27日までだったかな。そこの主催者に是非講演に来てくれって随分前から頼まれててな、それが今日だったんだ。京都は近いしエジプトに帰る前にお前らの顔を見に来たって所だ。」
比古はそう言って蒼紫に近づいてぐわっしぐわっしと蒼紫の頭を撫でた。
「おぅ、お前も大きくなったな。」
比古はにんまり顔をして満足そうに頷いた。
「俺はもう子供じゃありませんよ!」
蒼紫はそう言って比古の手から逃げた。
比古は、
「確かに子供と言うには無理なくらいでかくなったな。」
と言って笑った。
蒼紫は比古がここにいる理由が分かったからと今度は兄、一の方を向いて言った。
「兄さん!兄さんは捜査で忙しいからって今日は東京じゃなかったんですか!」
「あ、そういえばそうだったな。」
と、蒼紫に背を向けて手元を見ていた一が蒼紫に振り向くと蒼紫は一の座っていたテーブルにクリスマスケーキと、一の手にはとても信じられないが生クリームの絞り出し袋が握られているのが目に入った。
その状況がしめす事はただ一つ・・。
「兄さん・・ま、まさかと思うけど・・。」
蒼紫が信じられないと目を見開き、ケーキを指差した。
「あ?これか?案外と簡単だったか。」
と一は自分の出来前に満足だといわんばかりに蒼紫に言った。
「だろ?」
比古がすかさず一に相槌を打ち、
「俺の天才的指導のとおりにすればこれくらいは出来て当然だ。」
と自己満足たっぷりに前髪をかきあげた。
テーブルの上には種なしマスカットとミックスベリーがたっぷりのった生クリスマスケーキ。
蒼紫の目から見てもそのデコレーションはほぼ完ぺきだった。
いや、蒼紫が一番信じがたいのはデコレーションが完璧なことではなく、それをやったのがあの無骨だと思っていたあの兄だという事。
蒼紫は半開きになった口が塞がらなかった。
いや、更にその事よりも自分の武尊への重大事項を打ちあけようとしていた今宵に最大の障害が自分の前に立ちふさがっている現実に蒼紫は思わずポケットの指輪の箱をぐっと奥へ押し込んだのだった。