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予感(明治7年7月・東京)
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「五郎さん、そろそろお時間では。」
妻からそう呼ばれた男・・藤田五郎こと元新撰組三番隊組長斎藤一は、
「すぐに行く。」
と返事をした。
時は明治7年7月。
警視庁勤務を決意し東京に出て初の出勤日。
己の悪即斬を再び貫く術として警官となった藤田は感慨深く煙草を吸いきると灰皿に押し付けた。
そして帽子を手に取りかぶろうとしてふと手を止めた。
斎藤の脳裏を何か・・そう何か小さな予感が走ったからだ。
(なんだこの予感は・・。)
もとより勘の鋭い斎藤。
その斎藤に訪れた虫の予感のようなもの。
続いて胸も少し騒ぎだした。
(・・ふっ、俺が警官になると何かが起きると言うのか?くだらん。)
そして帽子を再びかぶろうとした斎藤だったがまたもや手を止めた。
先日夜空を見上げた時に思ったことをふと思い出したからだ。
その日は梅雨の長雨が久しぶりに上がった夜で下弦の月が一段と輝いていた。
(武尊・・・。)
斎藤は遠い目で帽子の中を覗き込んだ。
(俺が東京で警官をするとお前に会える・・とでも言うのか?)
会津戦争後辛酸を舐めた斗南藩時代、不自由ながら斎藤は様々な伝手をたどって武尊の行方を捜してみたが手がかりはなかった。
武尊はやはり死んだのだ。
あの夜母成峠で死んだのだ。
その事を思うと斎藤は今でも胸が空虚になる。
だが今日はそんな胸に微かではあるが胸騒ぎを覚える。
斎藤は大きく息を吐くと帽子を目深にかぶった。
(来いっ・・武尊、生きているのなら・・俺はここにいる。)
東京の青空の下、警視庁へ向かう斎藤。
運命の再会の四年前の出来事だった。
=THE END=
余談雑談:
斎藤さんが警視庁に採用されたのって明治7年(1874年)7月です。
妻からそう呼ばれた男・・藤田五郎こと元新撰組三番隊組長斎藤一は、
「すぐに行く。」
と返事をした。
時は明治7年7月。
警視庁勤務を決意し東京に出て初の出勤日。
己の悪即斬を再び貫く術として警官となった藤田は感慨深く煙草を吸いきると灰皿に押し付けた。
そして帽子を手に取りかぶろうとしてふと手を止めた。
斎藤の脳裏を何か・・そう何か小さな予感が走ったからだ。
(なんだこの予感は・・。)
もとより勘の鋭い斎藤。
その斎藤に訪れた虫の予感のようなもの。
続いて胸も少し騒ぎだした。
(・・ふっ、俺が警官になると何かが起きると言うのか?くだらん。)
そして帽子を再びかぶろうとした斎藤だったがまたもや手を止めた。
先日夜空を見上げた時に思ったことをふと思い出したからだ。
その日は梅雨の長雨が久しぶりに上がった夜で下弦の月が一段と輝いていた。
(武尊・・・。)
斎藤は遠い目で帽子の中を覗き込んだ。
(俺が東京で警官をするとお前に会える・・とでも言うのか?)
会津戦争後辛酸を舐めた斗南藩時代、不自由ながら斎藤は様々な伝手をたどって武尊の行方を捜してみたが手がかりはなかった。
武尊はやはり死んだのだ。
あの夜母成峠で死んだのだ。
その事を思うと斎藤は今でも胸が空虚になる。
だが今日はそんな胸に微かではあるが胸騒ぎを覚える。
斎藤は大きく息を吐くと帽子を目深にかぶった。
(来いっ・・武尊、生きているのなら・・俺はここにいる。)
東京の青空の下、警視庁へ向かう斎藤。
運命の再会の四年前の出来事だった。
=THE END=
余談雑談:
斎藤さんが警視庁に採用されたのって明治7年(1874年)7月です。