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とある上司への呟き
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訳あって上司の家の一部屋に間借りさせてもらっている私は署に泊まっている上司の為に握り飯を作って出勤した。
「おはようございます、斎藤さん。」
カチャ。
ドアを静かに開け、私は朝の挨拶しながら部屋へ入ると黒シャツのまま上司はまだソファに横になっていた。
私が声をかけるといつもより眉間のしわを深くしてゆっくり起き上がって来た。
「嗚呼・・。」
上司は私をちらりと見て小さく返事をし、即座に煙草に火を点けた。
「もう・・あんまり無理しないでくださいよ、もう少し寝かせてあげたいですけど今日も朝から捜索の指揮を執るんでしたよね、仕方ないので起きてもらいますけど・・。」
と言いつつ煙草臭い空気を一掃しようと私は窓を開けた。
「十分寝てるさ。」
上司はソファーに座り直し短くそう言った。
「何時に寝たんですか昨日は。」
私が振り返って問うと上司は紫煙をフゥゥと吐きながら、
「・・六時だ。」
と言った。
「六時!?・・六時って朝のですよね、じゃぁ一時間しか寝てないんですか!」
私は驚き呆れて目を丸くした。
すると上司は、
「武尊こそ誤魔化すなよ。最近の目のクマ・・・夜中に何をしている。俺が最近家に帰ってないからといって悪い遊びでもしてるんじゃないだろうな。」
と言った。
「そんな訳ないよ!」
私は即答しながらも自分の胸に衝撃を感じていた。
ドクン・・ドクン・・と大きな音が身体に響く。
上司の視線に私の心臓が答える。
(ああ・・この視線だ・・。)
きっと今夜もこの視線の夢を見るのだろうと私は心で思った。
そして一瞬、
(食べて・・私を・・・。)
と思ってしまった。
すると上司は、
「阿呆が・・。」
と言って窓枠に片手を置いていた私の所へやって来て頭をくしゃりとした。
「わっ、髪が・・っ。」
と言いつつ私は上司の手の感触に身震いし興奮した。
張りのある大きな力強い手。
私はその手暖かな手に刹那心をゆだねて目を閉じた。
斎藤はそんな武尊の表情を見逃しはしない。
武尊の髪をいじるのを辞めると、ソファーに戻り上着を羽織った。
「・・・そろそろ食い時か。」
「え?」
私は不意の上司の呟きを聞き取れず聞き返した。
「いや・・腹が減ったといったんだ。俺もこれ以上は我慢出来そうにない、という事だ。」
「もう!また夜を抜いたんですか!蕎麦でいいから何か食べて下さいって言ってるのに。」
私は上司がまた夕餉を食べないで仕事をしていたと思い頬を少し膨らませて上司を注意した。
すると上司は何故か一瞬フッと笑い、
「そうだな、今日はちゃんと食ってやるか。」
と言った。
「そうですよ。でもその前に・・はい、これ。おむすびちゃんと食べて下さいね、今お茶持ってきます。」
と、私は持っていた包を上司の机に置くとお茶を準備しに行った。
その夜、上司は家へ戻って来た。
捜索は順番で次の組へと引き継がれたからだ。
疲労している上司に今日はちゃんと夕餉を食べてもらってお風呂に入ってもらって良い睡眠をとってもらおうと段取りをちゃんとしたはずだったのに・・・。
どこにそんな気力体力があるのだろうか。
もう二度と心配なんかしてやるものかとちょっと思ってしまったぐらいに・・・。
それと同時に私のあの夢はもう見ることがなくなった。
怖かった視線は私を絡め取る金の糸となり、私は本望の通りすべてを捧げる事となったのであった。
2015.3.15
「おはようございます、斎藤さん。」
カチャ。
ドアを静かに開け、私は朝の挨拶しながら部屋へ入ると黒シャツのまま上司はまだソファに横になっていた。
私が声をかけるといつもより眉間のしわを深くしてゆっくり起き上がって来た。
「嗚呼・・。」
上司は私をちらりと見て小さく返事をし、即座に煙草に火を点けた。
「もう・・あんまり無理しないでくださいよ、もう少し寝かせてあげたいですけど今日も朝から捜索の指揮を執るんでしたよね、仕方ないので起きてもらいますけど・・。」
と言いつつ煙草臭い空気を一掃しようと私は窓を開けた。
「十分寝てるさ。」
上司はソファーに座り直し短くそう言った。
「何時に寝たんですか昨日は。」
私が振り返って問うと上司は紫煙をフゥゥと吐きながら、
「・・六時だ。」
と言った。
「六時!?・・六時って朝のですよね、じゃぁ一時間しか寝てないんですか!」
私は驚き呆れて目を丸くした。
すると上司は、
「武尊こそ誤魔化すなよ。最近の目のクマ・・・夜中に何をしている。俺が最近家に帰ってないからといって悪い遊びでもしてるんじゃないだろうな。」
と言った。
「そんな訳ないよ!」
私は即答しながらも自分の胸に衝撃を感じていた。
ドクン・・ドクン・・と大きな音が身体に響く。
上司の視線に私の心臓が答える。
(ああ・・この視線だ・・。)
きっと今夜もこの視線の夢を見るのだろうと私は心で思った。
そして一瞬、
(食べて・・私を・・・。)
と思ってしまった。
すると上司は、
「阿呆が・・。」
と言って窓枠に片手を置いていた私の所へやって来て頭をくしゃりとした。
「わっ、髪が・・っ。」
と言いつつ私は上司の手の感触に身震いし興奮した。
張りのある大きな力強い手。
私はその手暖かな手に刹那心をゆだねて目を閉じた。
斎藤はそんな武尊の表情を見逃しはしない。
武尊の髪をいじるのを辞めると、ソファーに戻り上着を羽織った。
「・・・そろそろ食い時か。」
「え?」
私は不意の上司の呟きを聞き取れず聞き返した。
「いや・・腹が減ったといったんだ。俺もこれ以上は我慢出来そうにない、という事だ。」
「もう!また夜を抜いたんですか!蕎麦でいいから何か食べて下さいって言ってるのに。」
私は上司がまた夕餉を食べないで仕事をしていたと思い頬を少し膨らませて上司を注意した。
すると上司は何故か一瞬フッと笑い、
「そうだな、今日はちゃんと食ってやるか。」
と言った。
「そうですよ。でもその前に・・はい、これ。おむすびちゃんと食べて下さいね、今お茶持ってきます。」
と、私は持っていた包を上司の机に置くとお茶を準備しに行った。
その夜、上司は家へ戻って来た。
捜索は順番で次の組へと引き継がれたからだ。
疲労している上司に今日はちゃんと夕餉を食べてもらってお風呂に入ってもらって良い睡眠をとってもらおうと段取りをちゃんとしたはずだったのに・・・。
どこにそんな気力体力があるのだろうか。
もう二度と心配なんかしてやるものかとちょっと思ってしまったぐらいに・・・。
それと同時に私のあの夢はもう見ることがなくなった。
怖かった視線は私を絡め取る金の糸となり、私は本望の通りすべてを捧げる事となったのであった。
2015.3.15