いつもと変わらない会話をしていた比古と武尊だったが、いつもと同じように向かい合って布団に入った時武尊態度は少しだけ違っていた。


日中の武尊の微かな拒絶を思い出せば、若しかしたら今夜は一緒に寝るのを嫌がられるのではないかと比古は思っていたのだが・・｡



それは比古の想像とは反対だった。


武尊は比古の胸にいつもより密着するように寄り添った。



「・・・どうした。」


「・・・。」



最初は何も答えなかった武尊だったが比古は武尊の答えをずっと待っているとスンと武尊が鼻をすする音がした。



「・・・。」



比古が上になっている左手で武尊の目をなぞると涙が触れた。



「・・・あんなものを作る俺が嫌になったか？」



嫌いならこんなにすり寄ってこないだろうと思いつつも泣く原因に心当たりがない比古は不思議に思って聞いた。



「ううん・・逆、・・・私が我が儘だから・・。」



と、武尊はまた鼻をすすった。



「比古さんを、たとえあんな物だとしても他の人に渡したくないの・・・嫌なの、あれが比古さんのモノだと思うと・・嫉妬して・・そしてそう思う自分が嫌なの・・。」


うっく、と、武尊は喉を詰まらせた。



「武尊・・・。」



比古は思いもよらなかった武尊の言葉に目を丸くした。



そして、うっくうっくと胸元で肩を揺する武尊を見て目を細めた。



こんなことで嫉妬をするなんて他の女なら馬鹿かと思う事でも武尊だと愛おしく思えて仕方がない。


比古は武尊の頭を抱える様に自分の胸元に押し付ける様に引き寄せた。



「抱いてもいいか・・・。」



比古の低い声が武尊の耳元に響く。


コクリと武尊は比古の胸の中で頷いた。



「今夜はおとなしくは済ませてやれそうになさそうだ武尊・・・。」



そう言って比古は武尊の両頬を手のひらで包むと、優しく・・そして激しく口づけをした。






比古の行為は明け方まで続いた｡