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陶芸家の副業(前編) NEW!
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【比古清十郎】・・・現在新進気鋭の陶芸家、【新津覚之進】として活躍中。
武尊がとある経緯でその陶芸家の弟子としていろいろ習い始めてから数か月が経った・・・。
**********
武尊は比古からいろいろ技を盗んで・・・いや、身につけて自分もいいものを作ることが出来たらと思い切磋琢磨し、少しづつではあるけれど上達を実感している今日この頃であった。
そんなある日、いつもおおっぴろげで何でもどんと来い!という比古が、
「これから作るものはまだ武尊には見せられねぇ。絶対覗くんじゃぁねえぞ。」
と言って作業小屋の扉を閉めた。
(ケチー!)
見せられないってことは何か秘伝の技でもあるのだと最初はそう思った。
武尊は扉のこちらで大人げなくあっかんべーをした後、
「そうだよね、あれだけすごいの作るんだもの。やっぱりこの職人の世界っていうのはずぶの素人レベルのひよっこになんか見せられない技術っていうのがあるんだよねぇ・・きっと。」
と、自分で納得した武尊は自分に与えられた仕事にせっせと打ち込むのであった。
陶芸について素人の自分がいうのもなんだが、その素人の目からしても自分の師匠の作品はすごいと思う。
多種多様な焼き物、繊細なものから大胆な物まですべてが完璧というか何かを感じるエネルギーを秘めていると感じる。
また、使われる色彩もまさにそれと言わんばかりの色を用い、釉薬のかけ方も絶妙・・・。
要は師匠の作品にベタ惚れな自分だったりする。
自分でさえそうなのだ、陶芸家新津覚之進の作品が人気があるというのは頷ける話だ。
その後しばらくして、焼きあがったもの(先日のはまだ乾燥中)を持って比古と武尊が京の街へ下りて来た時、いつも商品を売る店の主人が比古とひそひそと何やら話をしていた。
武尊は比古が店の主人と話をしている間、店の棚の商品を見ていたのだが、ふとそのご主人と目があった。
武尊は軽く会釈をしたのだけれとも向こうは何故か武尊に愛想笑いをし、比古は武尊を見て渋い顔をした。
(なんだろう?)
いつも来ている店なのに何か変な事したかしらと武尊は首をひねってみたけれど心当りなどあるわけもなく、比古が話している間武尊は店をうろうろしていた。
すると突如チリンと耳に上品な高い音が聞こえた。
武尊が音がした方を振り向くと店の御主人が師匠に小さな鈴を渡していた。
武尊は思わず駆け寄って、
「わぁ!可愛い鈴ですね!」
と言うと店の主人は、
「白銀ですよ。」
とにこやかに答えた。
武尊は比古の手のひらの中の小さな鈴を覗き込んだ。
飾り紐などは一切ついていない、師匠の小指の爪ぐらいの小さな鈴。
私は思わず師匠の手のひらからそれを取ると振ってみた。
きれいな音が店に響く。
形は小さいのにそれなりにしっかりした音を出すその鈴が武尊は気に入り思わず師匠に、
「これ、私に下さい。」
と言ってしまった。
街へ下りるたびに着物を買ってやろうか、髪飾りを買ってやろうかと言ってくれるんだもの、初めてのお願いぐらい聞いてくれるかと武尊は思ったのだがあっさり断られた。
「これは依頼品に使うものだ。鈴が欲しけりゃもっといいのを買ってやる。」
と、武尊の願いは却下されたのだったが何故か不機嫌気味に比古が言ったように聞こえたのは武尊の気のせいだったのだろうか。
それにしても街へ下りる度にいつも、着物を買ってやろうか、髪飾りを買ってやろうかと言うくせに、せっかく欲しい物が出来た時にそんな言い方をするなんて。
だから武尊は、
「それがいいんです、音がいいんだもん。だから他のはいらない。」
と、つい意固地になって店を出た。
それから少し経って話が済んだ比古が出てきた。
作品を売ってお金を得る、といった用事も済んだことだし、このまま駄々をこねても仕方がないので食糧を買って帰る事にした。
武尊がとある経緯でその陶芸家の弟子としていろいろ習い始めてから数か月が経った・・・。
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武尊は比古からいろいろ技を盗んで・・・いや、身につけて自分もいいものを作ることが出来たらと思い切磋琢磨し、少しづつではあるけれど上達を実感している今日この頃であった。
そんなある日、いつもおおっぴろげで何でもどんと来い!という比古が、
「これから作るものはまだ武尊には見せられねぇ。絶対覗くんじゃぁねえぞ。」
と言って作業小屋の扉を閉めた。
(ケチー!)
見せられないってことは何か秘伝の技でもあるのだと最初はそう思った。
武尊は扉のこちらで大人げなくあっかんべーをした後、
「そうだよね、あれだけすごいの作るんだもの。やっぱりこの職人の世界っていうのはずぶの素人レベルのひよっこになんか見せられない技術っていうのがあるんだよねぇ・・きっと。」
と、自分で納得した武尊は自分に与えられた仕事にせっせと打ち込むのであった。
陶芸について素人の自分がいうのもなんだが、その素人の目からしても自分の師匠の作品はすごいと思う。
多種多様な焼き物、繊細なものから大胆な物まですべてが完璧というか何かを感じるエネルギーを秘めていると感じる。
また、使われる色彩もまさにそれと言わんばかりの色を用い、釉薬のかけ方も絶妙・・・。
要は師匠の作品にベタ惚れな自分だったりする。
自分でさえそうなのだ、陶芸家新津覚之進の作品が人気があるというのは頷ける話だ。
その後しばらくして、焼きあがったもの(先日のはまだ乾燥中)を持って比古と武尊が京の街へ下りて来た時、いつも商品を売る店の主人が比古とひそひそと何やら話をしていた。
武尊は比古が店の主人と話をしている間、店の棚の商品を見ていたのだが、ふとそのご主人と目があった。
武尊は軽く会釈をしたのだけれとも向こうは何故か武尊に愛想笑いをし、比古は武尊を見て渋い顔をした。
(なんだろう?)
いつも来ている店なのに何か変な事したかしらと武尊は首をひねってみたけれど心当りなどあるわけもなく、比古が話している間武尊は店をうろうろしていた。
すると突如チリンと耳に上品な高い音が聞こえた。
武尊が音がした方を振り向くと店の御主人が師匠に小さな鈴を渡していた。
武尊は思わず駆け寄って、
「わぁ!可愛い鈴ですね!」
と言うと店の主人は、
「白銀ですよ。」
とにこやかに答えた。
武尊は比古の手のひらの中の小さな鈴を覗き込んだ。
飾り紐などは一切ついていない、師匠の小指の爪ぐらいの小さな鈴。
私は思わず師匠の手のひらからそれを取ると振ってみた。
きれいな音が店に響く。
形は小さいのにそれなりにしっかりした音を出すその鈴が武尊は気に入り思わず師匠に、
「これ、私に下さい。」
と言ってしまった。
街へ下りるたびに着物を買ってやろうか、髪飾りを買ってやろうかと言ってくれるんだもの、初めてのお願いぐらい聞いてくれるかと武尊は思ったのだがあっさり断られた。
「これは依頼品に使うものだ。鈴が欲しけりゃもっといいのを買ってやる。」
と、武尊の願いは却下されたのだったが何故か不機嫌気味に比古が言ったように聞こえたのは武尊の気のせいだったのだろうか。
それにしても街へ下りる度にいつも、着物を買ってやろうか、髪飾りを買ってやろうかと言うくせに、せっかく欲しい物が出来た時にそんな言い方をするなんて。
だから武尊は、
「それがいいんです、音がいいんだもん。だから他のはいらない。」
と、つい意固地になって店を出た。
それから少し経って話が済んだ比古が出てきた。
作品を売ってお金を得る、といった用事も済んだことだし、このまま駄々をこねても仕方がないので食糧を買って帰る事にした。