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地球最後の日(明治・東京)
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『地球最後の日』
「武尊・・、武尊・・・。」
遠くで誰かが私を呼ぶ。
愛しい人の声と波の打ち寄せる音が聞こえる。
重い瞼を開くとそこは夕暮れ時の砂浜。
「斎藤さん・・・ここは?」
黄金色に輝く海を背に愛しい人が座っていた私の手を引っ張り上げた。
どこまでも広がる空、どこかで見た風景。
(・・・あれは函館山?)
武尊がそう思った時、斎藤が誇らしげに武尊に話しかけた。
「武尊、勝ったんだ!俺達は。」
「勝った・・・?」
「嗚呼、俺達はついに長州や薩摩に勝ったんだ・・・。」
「え???」
唐突な斎藤の話に武尊は困惑した。
(何の話?戊辰戦争?でも、ここは函館みたいだけど・・・。でも斎藤さん、警察官の服着てるけど・・・どうなってるの?)
そんな武尊の疑問をよそに斎藤は話を進める。
「だが、残念な事に俺達が新たな時代を築くことはない・・・武尊。何故ならば今日が地球最後の日だからだ。」
「ええっ!?」
「武尊が休んでいる間に早馬が知らせに来た。今夜地球に巨大隕石が衝突するそうだ。」
「・・・・。」
なんなんだ、この展開は・・・。
と、武尊は思った。
これって・・・というか、まさにこういうのを夢というのだろう。
夢の中で『これは夢』だと自覚するのは難しいというけど、この夢はあんまりだ。
でも、あまりにも綺麗な夕日。
穏やかに奏でる波音。
そして夕日に照らされる愛しい人の顔があまりにもかっこよく、武尊はしばし無言で見惚れていた。
斎藤も武尊を見つめたまま、しばらく無言であったが、より真剣な眼差しで武尊に言った。
「もう未来はない。だが・・・せめて最後の時まで武尊と一緒でいたい。こんな時に言うのもなんだがはっきりと言っておきたいことがある・・・、俺の妻になってくれ。」
「は・・・・・はい、・・・はいっ!」
斎藤の言葉を聞いて、大きく見開かれた武尊の眼から自然に涙が溢れて頬を濡らす。
こんなセリフが斎藤さんから聞けるなんて武尊は夢にも思いはしなかった。
例え夢でも最高の幸せ。
「斎藤さん・・・ありがとう・・・嬉しい・・・。」
と、言葉を詰まらせながら武尊は斎藤に抱きついた。
「阿呆、もう妻なんだから『はじめ』と呼べ。」
「一・・・・。」
「嗚呼・・・。」
斎藤はふっ、と微笑んで武尊を抱きしめた。
*************
「一・・・・・、う・・・ん・・・。」
武尊は幸せそうな顔をしてソファーの上で寝返りをうった。
「旦那・・・、いったい今度は武尊はどないしたんねん。」
つい今しがた斎藤の部屋に入ってきた張は口元が切れた武尊の顔をまじまじと見ながら言った。
(ちっ、間の悪い時に帰って来やがって・・・。)
と、斎藤は苦虫を噛みつぶしたような顔をして新しい煙草に火を点けると、ガタっと椅子から立ち上がり窓辺へ向かった。
そして窓から下を見下ろしつつ不機嫌そうに張の質問に答えた。
「ちょっと武尊に稽古をつけてやっていただけだ。・・・拳が武尊のみぞおちに直撃して、あまりに痛がるようだったんで石田散薬を飲ませたところだ。」
と、斎藤はばつが悪そうに言った。
「稽古やて!?旦那、そないな(危ない)こと武尊にしとるんか?(わいは勘弁や。命がいくらあっても足らへんやろ!)」
と、張は唖然して言った。
「稽古は武尊からやってくれと頼まれたんだ。加減はしてやっている。」
「・・・ちゅうか、旦那、石田散薬ちゅうのは日本酒で飲ませるんやなかったんかいな。武尊は酒飲めへんかったんちゃうか?」
「非常に抵抗されたが(無理やり口移しで)飲ませた。」
「・・・・・。」
思いっきりその状況が頭に描けて張はあんぐり口を開けた。
「飲ませた後、すぐにくたっとなって寝てしまったんでソファーに寝かせたところだ。」
「せやかてなぁ・・・。」
と、張は改めて武尊を見た。
「・・・せやかて、まあ・・・痛い目に遭うてもこないな顔されたんやったら何も言えんわ。」
とため息をついて、張は武尊の横にしゃがみ込んだ。
「しっかし、なんちゅーええ顔してんねん。こんな顔で旦那の名前呼んどるちゅうことはどないな夢見てんやろうな。」
と、張は困ったように笑うと武尊のほっぺをつんつん突いたのであった。
余談雑談:
石田散薬は飲むときは【熱燗】で。
と、いうのが正しい飲み方だそうです。
抵抗する夢主に飲ませる日本酒は斎藤さんの口の中で【ぬる燗】ほどには温まっていた。(笑)
斎藤さんの変装道具(薬屋の箱)には石田散薬がいっぱい!
「武尊・・、武尊・・・。」
遠くで誰かが私を呼ぶ。
愛しい人の声と波の打ち寄せる音が聞こえる。
重い瞼を開くとそこは夕暮れ時の砂浜。
「斎藤さん・・・ここは?」
黄金色に輝く海を背に愛しい人が座っていた私の手を引っ張り上げた。
どこまでも広がる空、どこかで見た風景。
(・・・あれは函館山?)
武尊がそう思った時、斎藤が誇らしげに武尊に話しかけた。
「武尊、勝ったんだ!俺達は。」
「勝った・・・?」
「嗚呼、俺達はついに長州や薩摩に勝ったんだ・・・。」
「え???」
唐突な斎藤の話に武尊は困惑した。
(何の話?戊辰戦争?でも、ここは函館みたいだけど・・・。でも斎藤さん、警察官の服着てるけど・・・どうなってるの?)
そんな武尊の疑問をよそに斎藤は話を進める。
「だが、残念な事に俺達が新たな時代を築くことはない・・・武尊。何故ならば今日が地球最後の日だからだ。」
「ええっ!?」
「武尊が休んでいる間に早馬が知らせに来た。今夜地球に巨大隕石が衝突するそうだ。」
「・・・・。」
なんなんだ、この展開は・・・。
と、武尊は思った。
これって・・・というか、まさにこういうのを夢というのだろう。
夢の中で『これは夢』だと自覚するのは難しいというけど、この夢はあんまりだ。
でも、あまりにも綺麗な夕日。
穏やかに奏でる波音。
そして夕日に照らされる愛しい人の顔があまりにもかっこよく、武尊はしばし無言で見惚れていた。
斎藤も武尊を見つめたまま、しばらく無言であったが、より真剣な眼差しで武尊に言った。
「もう未来はない。だが・・・せめて最後の時まで武尊と一緒でいたい。こんな時に言うのもなんだがはっきりと言っておきたいことがある・・・、俺の妻になってくれ。」
「は・・・・・はい、・・・はいっ!」
斎藤の言葉を聞いて、大きく見開かれた武尊の眼から自然に涙が溢れて頬を濡らす。
こんなセリフが斎藤さんから聞けるなんて武尊は夢にも思いはしなかった。
例え夢でも最高の幸せ。
「斎藤さん・・・ありがとう・・・嬉しい・・・。」
と、言葉を詰まらせながら武尊は斎藤に抱きついた。
「阿呆、もう妻なんだから『はじめ』と呼べ。」
「一・・・・。」
「嗚呼・・・。」
斎藤はふっ、と微笑んで武尊を抱きしめた。
*************
「一・・・・・、う・・・ん・・・。」
武尊は幸せそうな顔をしてソファーの上で寝返りをうった。
「旦那・・・、いったい今度は武尊はどないしたんねん。」
つい今しがた斎藤の部屋に入ってきた張は口元が切れた武尊の顔をまじまじと見ながら言った。
(ちっ、間の悪い時に帰って来やがって・・・。)
と、斎藤は苦虫を噛みつぶしたような顔をして新しい煙草に火を点けると、ガタっと椅子から立ち上がり窓辺へ向かった。
そして窓から下を見下ろしつつ不機嫌そうに張の質問に答えた。
「ちょっと武尊に稽古をつけてやっていただけだ。・・・拳が武尊のみぞおちに直撃して、あまりに痛がるようだったんで石田散薬を飲ませたところだ。」
と、斎藤はばつが悪そうに言った。
「稽古やて!?旦那、そないな(危ない)こと武尊にしとるんか?(わいは勘弁や。命がいくらあっても足らへんやろ!)」
と、張は唖然して言った。
「稽古は武尊からやってくれと頼まれたんだ。加減はしてやっている。」
「・・・ちゅうか、旦那、石田散薬ちゅうのは日本酒で飲ませるんやなかったんかいな。武尊は酒飲めへんかったんちゃうか?」
「非常に抵抗されたが(無理やり口移しで)飲ませた。」
「・・・・・。」
思いっきりその状況が頭に描けて張はあんぐり口を開けた。
「飲ませた後、すぐにくたっとなって寝てしまったんでソファーに寝かせたところだ。」
「せやかてなぁ・・・。」
と、張は改めて武尊を見た。
「・・・せやかて、まあ・・・痛い目に遭うてもこないな顔されたんやったら何も言えんわ。」
とため息をついて、張は武尊の横にしゃがみ込んだ。
「しっかし、なんちゅーええ顔してんねん。こんな顔で旦那の名前呼んどるちゅうことはどないな夢見てんやろうな。」
と、張は困ったように笑うと武尊のほっぺをつんつん突いたのであった。
余談雑談:
石田散薬は飲むときは【熱燗】で。
と、いうのが正しい飲み方だそうです。
抵抗する夢主に飲ませる日本酒は斎藤さんの口の中で【ぬる燗】ほどには温まっていた。(笑)
斎藤さんの変装道具(薬屋の箱)には石田散薬がいっぱい!