※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
弐拾と壱(現る) (市彦・夢主・斎藤・抜刀斉)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「緋村くん。」
「何ですか桂さん。」
「今日は例の薩摩との会合がある。最近薩摩藩士が狙われる事件が続いている。新撰組だけでなくそちらの方も危険なので今夜はそちらの方へ護衛に言ってくれまいか。」
「わかりました、桂さん。」
---人斬り抜刀斎----
そう呼ばれる男がその夜は護衛についた。
会合が行われている中、突如、
「誰だ-!お前は!ぎゃああああああ。」
という悲鳴。
バタバタバタとなる足音。
抜刀斎がすばやく前に踊りでる。
「おのおの方、引いて下さい。ここは俺が・・・・。」
抜刀斎が十六夜丸の前に出る。
「お前だな。最近薩摩藩士を殺っているのは。」
「何だ、お前は。薩摩藩士か?」
「俺は長州維新志士だ。今日は長州にとっても大事な会合。邪魔立てしないでもらおう。」
「長州征伐は主から聞いてないな。部外者は下がってな。」
「そうはいかない。」
「どうしてもか。」
「嗚呼。」
キーン!
一瞬の刹那の後、二人は同時に刀を抜いた。
(この男、速い!)
飛天御剣流の神速を操る抜刀斉が驚く。
鎬の削り合いが続く。
激しく階下を動き回っていた二人だったが戦闘の勢いでそのまま門の外まで互いに出る。
「!」
「!」
情報収集により、長州派維新志士の会合があると目星を付けた新撰組が屋敷を囲んでいる最中、刀の斬り合う音。
踏み入るタイミングを計っていた新撰組の目の前に飛び出した二人。
「赤い髪に左頬の十字傷!抜刀斎か!」
「紅い眼に三本傷!こっちは十六夜丸か?!」
周りから声があがる。
邸の中から薩長の野次馬が出てきたが、新撰組がいることに気付いたとたん、
「新撰組だ!逃げろ!」
「中に長州のやつらがいるぞ!捕えろ!」
辺りは乱闘状態になった。
「く、俺は維新志士を守らねば。十六夜丸、早く俺に殺されろ。」
「面白い冗談だな!お前こそとっとと俺に斬られろ・・・と、言いたい所だがお前の太刀筋は面白い。まだまだ遊んでもらうか!」
斬りつけた刀同士で押し合いをしていると、もう一つ投げかけられた殺気に反応して、抜刀斎と十六夜丸は瞬時に互いの間合いを取り殺気の放たれた方を見た。
「三番隊組長、斎藤か。」
「・・狼。」
「俺の獲物同士でじゃれるな。」
「誰がお前の獲物だ。ふざけるな。・・斎藤、これはお前にくれてやる。」
「狼、邪魔をするな。まっ、俺は二人が同時相手でもいいぜ。かかってきな。」
「生憎俺は抜刀斎との方が一寸だけ付き合いが長いんだ。」
そう話す間に抜刀斎はさっさと仲間の方へ戻っていく。
「ちっ、逃がすか!」
十六夜丸も即、後を追おうとするがその瞬間、
「牙突一式!」
の声と同時に空気を切る音。
「はっ!」
十六夜丸は振り返りざまの抜刀で牙突を受け止めた。
「てめぇ、こら!何しやがる・・・。」
振り向きざまに見た斎藤の眼が・・・・
一瞬、剣客から愛しい者を見る眼差しになったのを見逃さなかった。
「!!・・・・気が失せた、狼。」
そう言うと十六夜丸は後ろに飛び、間合いを取ると
「狼・・・・。俺は蘭丸ではない。そんな眼で見るな。そして付け加えるならば、あれは俺の獲物だ。」
と言った。
だがその直後、十六夜丸はぶるるっと身震いした。
「くっ・・・、今日はここまでだ。とっとと抜刀斎でも斬ってこい。」
そういうと煙玉を地面に投げつけると十六夜丸は姿を消した。
(くっ・・・・。狼の眼だけで身体が勝手に反応するとは・・・仕込み過ぎだ、狼!)
十六夜丸は帰り道の途中、そうぼやいた。
追記:十六夜丸は斎藤のことを『狼(おおかみ)』と呼ぶ。