※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
壱 (白マントの男) 比古
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「やれやれ・・・すっかり濡れ鼠だな。」
白マントの男は酒瓶と女をいったん小屋の入り口に置いた。
自分も雨水が滴り落ちるマントを脱ぎ、一枚しかない布団に女を寝かせてやろうと手ぬぐいで拭いてやっていたのだが顔を拭いた時に赤い滲みが手ぬぐいに付いた。
血だ。
落ちた時にでも顔を傷つけたのかと思いそっと顔を自分の方に向けると右頬から鋭利なもので傷つけられたような3本の赤い筋がにじみ出てきていた。
擦り傷と言い難い不自然な傷だったが大した出血量ではないと判断した比古は全身を拭いてやると布団に寝かせた。
そして酒瓶を手に取ると囲炉裏の手前の専用スペースで酒を飲み始めた。
雨音が一層強く小屋の屋根を叩く。
それ以外は静寂な空間。
酒の肴にもなりはしないが、と思いつつも男は拾ってきた女をまじまじと見た。
顔は割と整っている方か?
髪は斬髪か・・尼だったのか?
だが気になるのは先ほどの不自然な三本傷・・。
「まず降って湧くなんてところから普通じゃねぇだろう。」
ボソッと思ったことが口にでる。
そして思うのがこの女の今後だ。
ただでさえ斬髪の女なのに顔に傷などつけていればろくな奉公先が見つからねぇんじゃないかと思う。
小屋に他人を連れ込んだのはこれが二人目。
その一人目・・手塩にかけて育てた拾い子が捨て台詞を吐いて出て行ったことが勝手に思い出される。
ただでさえ人間不信なのに自分の『とっておき』を伝えた相手に裏切られたのが実はかなりのショックを受けていることが自分でも分かっていた男は一人でいたかったのだ。
だからこの二人目は目を覚まして雨が止んだら早く里へやろうと・・また一献酒を煽った。
何気に布団から出ていた手が目に入り、その手を触れると氷のように冷たかった。
死ぬならともかく熱でもだされたら面倒だ、と本気で思うとふとこんな言葉が口に出た。
「しかたがねぇ。俺がこんなに面倒みるのは万が一にもないほど珍しいことなんだがな。風邪なんて引いたらお仕置きだ。」
なぜそんな気になったのか。
まるで空から降って来たかのように突然地面に落ちてきた裸の見知らぬ斬髪の女に。
ただその手のあまりにもの冷たさに温めてやろうと思っただけだった。
酔ったわけでは決してない。
女に言い寄られても欲情なんかもこれまでしたことなどない。
出て行った馬鹿弟子のことを思い出して人寂しくなったからでもない。
何か理由をあげるとしたら・・・そう、一瞬見た瞳の奥をもう一度覗いてみたくなった・・ということだろうか?
と、気を失ったままの女を見ながら男は自分にそう言い聞かし、ひとつしかない布団にそのままもぐりこみ女を後ろからそっと抱きしめた。
「温めてやるからには明日はきちっと説明しろよ。」
と呟きながら。
白マントの男は酒瓶と女をいったん小屋の入り口に置いた。
自分も雨水が滴り落ちるマントを脱ぎ、一枚しかない布団に女を寝かせてやろうと手ぬぐいで拭いてやっていたのだが顔を拭いた時に赤い滲みが手ぬぐいに付いた。
血だ。
落ちた時にでも顔を傷つけたのかと思いそっと顔を自分の方に向けると右頬から鋭利なもので傷つけられたような3本の赤い筋がにじみ出てきていた。
擦り傷と言い難い不自然な傷だったが大した出血量ではないと判断した比古は全身を拭いてやると布団に寝かせた。
そして酒瓶を手に取ると囲炉裏の手前の専用スペースで酒を飲み始めた。
雨音が一層強く小屋の屋根を叩く。
それ以外は静寂な空間。
酒の肴にもなりはしないが、と思いつつも男は拾ってきた女をまじまじと見た。
顔は割と整っている方か?
髪は斬髪か・・尼だったのか?
だが気になるのは先ほどの不自然な三本傷・・。
「まず降って湧くなんてところから普通じゃねぇだろう。」
ボソッと思ったことが口にでる。
そして思うのがこの女の今後だ。
ただでさえ斬髪の女なのに顔に傷などつけていればろくな奉公先が見つからねぇんじゃないかと思う。
小屋に他人を連れ込んだのはこれが二人目。
その一人目・・手塩にかけて育てた拾い子が捨て台詞を吐いて出て行ったことが勝手に思い出される。
ただでさえ人間不信なのに自分の『とっておき』を伝えた相手に裏切られたのが実はかなりのショックを受けていることが自分でも分かっていた男は一人でいたかったのだ。
だからこの二人目は目を覚まして雨が止んだら早く里へやろうと・・また一献酒を煽った。
何気に布団から出ていた手が目に入り、その手を触れると氷のように冷たかった。
死ぬならともかく熱でもだされたら面倒だ、と本気で思うとふとこんな言葉が口に出た。
「しかたがねぇ。俺がこんなに面倒みるのは万が一にもないほど珍しいことなんだがな。風邪なんて引いたらお仕置きだ。」
なぜそんな気になったのか。
まるで空から降って来たかのように突然地面に落ちてきた裸の見知らぬ斬髪の女に。
ただその手のあまりにもの冷たさに温めてやろうと思っただけだった。
酔ったわけでは決してない。
女に言い寄られても欲情なんかもこれまでしたことなどない。
出て行った馬鹿弟子のことを思い出して人寂しくなったからでもない。
何か理由をあげるとしたら・・・そう、一瞬見た瞳の奥をもう一度覗いてみたくなった・・ということだろうか?
と、気を失ったままの女を見ながら男は自分にそう言い聞かし、ひとつしかない布団にそのままもぐりこみ女を後ろからそっと抱きしめた。
「温めてやるからには明日はきちっと説明しろよ。」
と呟きながら。