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拾と八(屋台) (斎藤・沖田)
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夕暮時、日が傾くころ屯所についた。
(またこの門をくぐるとは。)
ドドーンと迫力ある新撰組の看板を横目に敷地内に入る。
蘭丸は天蓋を取って手に持ち斎藤について奥に進んでいくと、
「あらー、蘭丸さん、またいらしたんですか~。」
と、聞いた事のある声が。
(おっ、沖田さん!)
とびっきりの笑顔が・・絶対裏がありそうな・・その笑顔が怖い。
「斎藤さん、土方さんが待ってますよ。」
「ああ。今行く。」
緊張しながら蘭丸は斎藤の後をついていく。
廊下を進み、斎藤が土方の部屋の前で正座になるのであわてて蘭丸も正座する。
「土方さん、斎藤です。入ります。」
「おう、入れ。」
(部屋に入るのに正座だ-。ジャパンカルチャー・・・・と思いつつも、コホン・・・静かに静かに・・・・)
斎藤が正座の障子を開け立ち上がり一歩中に入るとまた正座をした。
蘭丸はどう振る舞っていいのか分からないのもあったが土方に近寄りたくないので廊下のまま。
土方は蘭丸をじろりと見ると、
「斎藤、昼間の話の通りだと、こいつがあの、十六夜丸なんだな。」
「まだ、憶測の段階ではありますが。」
「おい、坊主。新撰組は噂通りの所だ。ここにいる間、変な考えを起こすとどうなるかわかってるな。斎藤から話があったと思うが次の新月までお前を新撰組監視下に置いて事の真偽を見極めてやる。だが、ただ飯を食わせる訳にはいかねぇ。その間、間者をやってもらう。依存ねぇな。接触者がいたら逐一報告しろ。」
勝手に変な役を押し付けられて内心、『ええ--!』って言いたかったがここは我慢した方が無難だと判断した。
でも、その『患者』とやらをどうやってすればいいのか分からないので
「あの・・。どうやって『患者』というのをすればいいのでしょうか?」
「明日、仕事を一緒にするやつが来る。そいつについて手伝いでもしてればいいのさ。なに、簡単だ。」
「はあ・・。」
とんちんかんな顔をしている蘭丸を見て、
「以上だ、後は斎藤の指示通りにやってくれ。」
と、話は切り上げた。
「では失礼します。」
斎藤は部屋をでると、障子を閉めて
「こっちだ。来い。」
と言って歩き出した。
(ひゅ~、緊張した~。本当、汗かいちゃう。)
と、蘭丸は土方の部屋をちらっと振り返った。
・・と同時にドンとぶつかった。
「おい、何を余所見している。」
「いや・・べつに意味はないんですが・・斎藤さんこそいきなり立ち止ってどうしたんですか?」
「お前が寝る部屋についてだが 」
と言いだすと蘭丸はすかさず、
「馬小屋にしてください!」
と言った。
「は?」
斎藤が問い返すと、蘭丸は必死な形相、&小声で訴えた。
「ほら、大部屋だと女だってばれたらお互い良くないでしょ!だから馬小屋!」
何を心配しているかと思えば・・
「阿呆、変化の確証が持てない今、万が一の場合大事な隊士を十六夜丸に殺されてたまるか。それからこの西本願寺に馬小屋はない!」
「そ、そうですか。」
大部屋の隊士と一緒にしない理由は正論だが蘭丸の胸がチクりと痛む。
そして馬小屋はない。
ということは私はどこで寝ればいいのだろう。
と、思った矢先に斎藤がシュっと障子を開けた。
「ここだ。」
「え?(って・・副長の隣じゃん!うそっ!)」
と思いつつ蘭丸は室内を見る。
きちんと整理整頓された十畳ほどの部屋。
奥には布団が二つ。
「ここは俺が使ってる部屋だ。」
と斎藤が説明する。
(え?!)
それを聞いて蘭丸はドキっとした。
斎藤さんの部屋に早や布団が二つ。
昨日の今日とはいえ、この新撰組内においてこの状況はいかがなものか。
いやぁ困った困った。
蘭丸は全然困ってないのに困ったと心で思っていると、
「---------だ。」
と斎藤が何か言った。
「へ?」
っと思わず聞き漏らしたのでまぬけな返事をすると斎藤は呆れた顔をして
「沖田さんも同室だからな。」
と、再度言った。
「へ?」
またもや間抜けな声が思わず出てしまった蘭丸だ。
「俺と沖田さんの二人だけだから着替えも何とかできるだろう。適当にやれ。」
(沖田さんかぁ・・。何か嫌な予感がするんだけど・・。)
と思った蘭丸は一つ提案をしてみる。
「あの・・やっぱり物置とかでいいので一人部屋にしてもらえませんか?」
「阿呆。さっきも言ったが変化のきっかけが薬じゃない場合、お前を一人にするのは危険だ。誰もいないところなどに野放し状態にしれおけるか。」
「そうでした・・。」
「少なくとも俺か沖田さんなら十六夜丸を殺れるからな。」
斎藤の言葉に心臓をギュっと握られる感じがした。
自分の知らぬところで『もし』変化してしまったら・・。
知らない人達の命を奪う?
そんなのは嫌だ。
その場合は目の前の・・心を奪われた人と対峙することになる・・・
昨晩の甘い出来事はなんだったんだろう。
所詮十六夜丸と新撰組では死をも想定する敵同士。
覚悟を決めなくては・・・。
だけど・・・。
蘭丸の決意とは裏腹につーっと頬を暖かいものが滑り、ぽとぽとを畳の上に落ちた。
蘭丸のその姿を見て斎藤は瞬時に周囲を確認し、誰も見ていないことを確認すると蘭丸の手を引いて障子を素早く締めた。
そして蘭丸を抱きしめて言った。
「案ずるな。お前は薬を飲まない限り変わったりはしない。だが
万が一、そうなったときはお前がお前であるうちに俺の手で斬る・・。誰にも殺らせはしない。」
斎藤の胸の中で蘭丸は黙って頷いた。
(ああ・・この人はもうとっくにその覚悟をしてるんだ。ごめん、私も覚悟を決めるよ。)
蘭丸もぎゅっと斎藤の背中に回した腕に力を込め、斎藤を見上げた。
斎藤はその顔を見てふっと笑った。
「飯の時間だ。腹の虫が鳴く前に行くぞ。」
「・・意地悪!」
ククっと笑われ、悔しい思いを目で訴えた蘭丸だったが覚悟を決めた今、幾分心が晴れたのだった。
(またこの門をくぐるとは。)
ドドーンと迫力ある新撰組の看板を横目に敷地内に入る。
蘭丸は天蓋を取って手に持ち斎藤について奥に進んでいくと、
「あらー、蘭丸さん、またいらしたんですか~。」
と、聞いた事のある声が。
(おっ、沖田さん!)
とびっきりの笑顔が・・絶対裏がありそうな・・その笑顔が怖い。
「斎藤さん、土方さんが待ってますよ。」
「ああ。今行く。」
緊張しながら蘭丸は斎藤の後をついていく。
廊下を進み、斎藤が土方の部屋の前で正座になるのであわてて蘭丸も正座する。
「土方さん、斎藤です。入ります。」
「おう、入れ。」
(部屋に入るのに正座だ-。ジャパンカルチャー・・・・と思いつつも、コホン・・・静かに静かに・・・・)
斎藤が正座の障子を開け立ち上がり一歩中に入るとまた正座をした。
蘭丸はどう振る舞っていいのか分からないのもあったが土方に近寄りたくないので廊下のまま。
土方は蘭丸をじろりと見ると、
「斎藤、昼間の話の通りだと、こいつがあの、十六夜丸なんだな。」
「まだ、憶測の段階ではありますが。」
「おい、坊主。新撰組は噂通りの所だ。ここにいる間、変な考えを起こすとどうなるかわかってるな。斎藤から話があったと思うが次の新月までお前を新撰組監視下に置いて事の真偽を見極めてやる。だが、ただ飯を食わせる訳にはいかねぇ。その間、間者をやってもらう。依存ねぇな。接触者がいたら逐一報告しろ。」
勝手に変な役を押し付けられて内心、『ええ--!』って言いたかったがここは我慢した方が無難だと判断した。
でも、その『患者』とやらをどうやってすればいいのか分からないので
「あの・・。どうやって『患者』というのをすればいいのでしょうか?」
「明日、仕事を一緒にするやつが来る。そいつについて手伝いでもしてればいいのさ。なに、簡単だ。」
「はあ・・。」
とんちんかんな顔をしている蘭丸を見て、
「以上だ、後は斎藤の指示通りにやってくれ。」
と、話は切り上げた。
「では失礼します。」
斎藤は部屋をでると、障子を閉めて
「こっちだ。来い。」
と言って歩き出した。
(ひゅ~、緊張した~。本当、汗かいちゃう。)
と、蘭丸は土方の部屋をちらっと振り返った。
・・と同時にドンとぶつかった。
「おい、何を余所見している。」
「いや・・べつに意味はないんですが・・斎藤さんこそいきなり立ち止ってどうしたんですか?」
「お前が寝る部屋についてだが 」
と言いだすと蘭丸はすかさず、
「馬小屋にしてください!」
と言った。
「は?」
斎藤が問い返すと、蘭丸は必死な形相、&小声で訴えた。
「ほら、大部屋だと女だってばれたらお互い良くないでしょ!だから馬小屋!」
何を心配しているかと思えば・・
「阿呆、変化の確証が持てない今、万が一の場合大事な隊士を十六夜丸に殺されてたまるか。それからこの西本願寺に馬小屋はない!」
「そ、そうですか。」
大部屋の隊士と一緒にしない理由は正論だが蘭丸の胸がチクりと痛む。
そして馬小屋はない。
ということは私はどこで寝ればいいのだろう。
と、思った矢先に斎藤がシュっと障子を開けた。
「ここだ。」
「え?(って・・副長の隣じゃん!うそっ!)」
と思いつつ蘭丸は室内を見る。
きちんと整理整頓された十畳ほどの部屋。
奥には布団が二つ。
「ここは俺が使ってる部屋だ。」
と斎藤が説明する。
(え?!)
それを聞いて蘭丸はドキっとした。
斎藤さんの部屋に早や布団が二つ。
昨日の今日とはいえ、この新撰組内においてこの状況はいかがなものか。
いやぁ困った困った。
蘭丸は全然困ってないのに困ったと心で思っていると、
「---------だ。」
と斎藤が何か言った。
「へ?」
っと思わず聞き漏らしたのでまぬけな返事をすると斎藤は呆れた顔をして
「沖田さんも同室だからな。」
と、再度言った。
「へ?」
またもや間抜けな声が思わず出てしまった蘭丸だ。
「俺と沖田さんの二人だけだから着替えも何とかできるだろう。適当にやれ。」
(沖田さんかぁ・・。何か嫌な予感がするんだけど・・。)
と思った蘭丸は一つ提案をしてみる。
「あの・・やっぱり物置とかでいいので一人部屋にしてもらえませんか?」
「阿呆。さっきも言ったが変化のきっかけが薬じゃない場合、お前を一人にするのは危険だ。誰もいないところなどに野放し状態にしれおけるか。」
「そうでした・・。」
「少なくとも俺か沖田さんなら十六夜丸を殺れるからな。」
斎藤の言葉に心臓をギュっと握られる感じがした。
自分の知らぬところで『もし』変化してしまったら・・。
知らない人達の命を奪う?
そんなのは嫌だ。
その場合は目の前の・・心を奪われた人と対峙することになる・・・
昨晩の甘い出来事はなんだったんだろう。
所詮十六夜丸と新撰組では死をも想定する敵同士。
覚悟を決めなくては・・・。
だけど・・・。
蘭丸の決意とは裏腹につーっと頬を暖かいものが滑り、ぽとぽとを畳の上に落ちた。
蘭丸のその姿を見て斎藤は瞬時に周囲を確認し、誰も見ていないことを確認すると蘭丸の手を引いて障子を素早く締めた。
そして蘭丸を抱きしめて言った。
「案ずるな。お前は薬を飲まない限り変わったりはしない。だが
万が一、そうなったときはお前がお前であるうちに俺の手で斬る・・。誰にも殺らせはしない。」
斎藤の胸の中で蘭丸は黙って頷いた。
(ああ・・この人はもうとっくにその覚悟をしてるんだ。ごめん、私も覚悟を決めるよ。)
蘭丸もぎゅっと斎藤の背中に回した腕に力を込め、斎藤を見上げた。
斎藤はその顔を見てふっと笑った。
「飯の時間だ。腹の虫が鳴く前に行くぞ。」
「・・意地悪!」
ククっと笑われ、悔しい思いを目で訴えた蘭丸だったが覚悟を決めた今、幾分心が晴れたのだった。