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拾と八(屋台) (斎藤・沖田)
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斎藤が来たのは、言われた通り夕方。
何度か目が覚めたものの結局蘭丸が起きたのも夕方。斎藤が来る半刻ほど前。
流石に寝すぎた。
と思ってはいたが本当に身体が動かなくて、今もよたよたしている。
「イタタタタ・・・・。いったいどこをどうしたらこんなに痛くなるんだ?」
蘭丸は顔をしかめながらつぶやく。
「あれって・・、あんなことしたりこんなことしたりするんだ・・・・凄いよね。世間の大人って平然な顔して夜はあんなことしてるの?そして翌日普通に仕事してるんだよね・・・。寝込む私って私ってダメ人間なのかな。」
人間というものは初めて経験したことが基準になる節がある。
初体験の相手が絶倫斎藤と無意識下で十六夜丸に性感感覚開発されている蘭丸だったというのも身体的ダメージが大きかった一つかもしれないがそのことに蘭丸本人が気付いていない。
ともあれ、やっと起きた蘭丸はここの主人が置いてくれたおにぎりを頂いた。
すでにお米の表面が固いおにぎりをほおばると自分がどれだけ寝ていたかと感じるのだった。
おにぎりを手に縦格子の窓に寄り外を見た。
最近はなかなか二階以上の高い所に登る経験はなかったな、と少し物珍しい気持ちで蘭丸は景色を見た。
(本当に・・江戸時代なんだな。まだ信じられないけど。)
ある日突然目覚めたらこの世界に、という日からもう三ヶ月以上過ぎたというのに時折まだフワフワした感じになる。
本当は夢なんじゃないか、と思う。思いたい。
けれども、それにしては昨晩のアレ・・はあまりにも身体が受ける感覚はリアル過ぎた。
蘭丸はまた顔が熱くなりかけたが、ご飯を飲み込んで思考を元に戻した。
そして手元のおにぎりを見てまた一口、口に入れた。
(これから本当にどうなるんだろう。実は自分は江戸時代の人間だったりして---)
とも考えてみたがやっぱりそれはない。
両手の指を動かしてみれば、ブラインドタッチを指は記憶している。
・・・・・・・未来には帰れるのかな。
自分のいた未来はだんだん思い出して来た。西暦何年だということも。
だけど、自分のことは思い出せない。
どこの誰で何故こんなことになったのか全く分からない。
そんな時昨晩の斎藤の言葉がふと思い出された。
「・・名前。・・・名前ねぇ。」
あんなに肉体は激しく扱うのに、斎藤の奥から出る言葉はとても優しい。
本当の自分がなくて空っぽの心を満たして揺るぎないものにさせた魔法の贈り物・・
その贈り物を蘭丸は小声でつぶやいた。
「はじめ・・。」
呟き終わると蘭丸はまた視線を外に向けた。
自分はこの時代で何が出来るのか。
普通絶対ありえないこの境遇。
もしかして、もっと未来にタイムマシンが発明されて何かの事件に巻き込まれたのか。
・・そうじゃなかったら神か悪魔かの何らかの意図か。
(何のために。どうして自分なんだ。でもそれをやっと知る為に一つ前に進む。自分で決めた事だ。)
手順を間違ったら恐らく即終了・・か、ホームレスになって終了。
そんな危険な予感がピンピンするが、
もし自分が十六夜丸だったら、これからも人を斬るんでしょう?
この手で・・・・。
自分の知らない自分の手・・蘭丸はじっと自分の手を見つめた。
その時、トントントントンっと、リズムよく誰かが階段を上ってる音がする。
襖が開く。
「あ、斎藤さん。」
「生きてるか。」
「いや、生きてるか・・ってそうしたのって斎藤さんじゃないですか。あちこちが痛いですよ。」
「まぁな。」
と斎藤はククと少し笑った。自覚はあるようだ。
だが自分の身体を案じたその言葉は嬉しい。
「歩けるか。」
「なんとか大丈夫だと思います。」
だが、ふんと立ち上がると、
(こ・・・・股関節が・・・・・・。)
「っつ~~~~~~~~。」
極めて超内股の蘭丸に斎藤はそこまでやってしまったかと顔をしかめた。
「おい、階段だけでもおぶされ。」
と斎藤はしゃがんで背中を差し出した。
「えっ!いいですよ。」
恥ずかしいのとそんなことさせられないと蘭丸は断った。
「阿呆、そんなので転落されてそれこそ動けなくなったら元も子もないだろう。」
斎藤の正論に蘭丸はぐうの音も出ない。
「はい、すみません。ではお世話になります。」
いい年こいて、おんぶされて・・・・と思うものの、
暖かい背中。
斎藤さんの匂い。
・・・・・・大好きだ・・・・・・・・
と、斎藤の背中に自分を預けた。
これからどうなるか分からないど、今だけ、今だけ・・・・と思いながら。
小料理屋の亭主にお礼を言った後、斎藤にどこに行くのかと聞いてみる。
「屯所に戻る。副長が話から話がある。」
と、言われた。
「え。」
誰でも分かるほどの嫌だなオーラ全開の蘭丸の顔を見て斎藤は、
「これでも最大限の譲歩だ。・・確かに俺はお前を気に入っている。だが公私どちらを取るかと言われれば”公”だ。俺のすべては新撰組にある。」
「”分かって”ます。」
蘭丸は胸がチクりとしたがそう返答した。
昨晩のあれは自分達二人にとってあくまでも個人的なもの。
現実の立場はお互い何一つ変わらない。
今から向かうのは”敵陣”のど真ん中なのだ。
相手は副長、あの鬼の土方と言われた男。(それくらいは未来の記憶が戻って来ている)
ごくりと固唾を呑んで気合を入れたいところだが、股関節が痛くてガチガチに斎藤について歩くのが精一杯の蘭丸だった。
何度か目が覚めたものの結局蘭丸が起きたのも夕方。斎藤が来る半刻ほど前。
流石に寝すぎた。
と思ってはいたが本当に身体が動かなくて、今もよたよたしている。
「イタタタタ・・・・。いったいどこをどうしたらこんなに痛くなるんだ?」
蘭丸は顔をしかめながらつぶやく。
「あれって・・、あんなことしたりこんなことしたりするんだ・・・・凄いよね。世間の大人って平然な顔して夜はあんなことしてるの?そして翌日普通に仕事してるんだよね・・・。寝込む私って私ってダメ人間なのかな。」
人間というものは初めて経験したことが基準になる節がある。
初体験の相手が絶倫斎藤と無意識下で十六夜丸に性感感覚開発されている蘭丸だったというのも身体的ダメージが大きかった一つかもしれないがそのことに蘭丸本人が気付いていない。
ともあれ、やっと起きた蘭丸はここの主人が置いてくれたおにぎりを頂いた。
すでにお米の表面が固いおにぎりをほおばると自分がどれだけ寝ていたかと感じるのだった。
おにぎりを手に縦格子の窓に寄り外を見た。
最近はなかなか二階以上の高い所に登る経験はなかったな、と少し物珍しい気持ちで蘭丸は景色を見た。
(本当に・・江戸時代なんだな。まだ信じられないけど。)
ある日突然目覚めたらこの世界に、という日からもう三ヶ月以上過ぎたというのに時折まだフワフワした感じになる。
本当は夢なんじゃないか、と思う。思いたい。
けれども、それにしては昨晩のアレ・・はあまりにも身体が受ける感覚はリアル過ぎた。
蘭丸はまた顔が熱くなりかけたが、ご飯を飲み込んで思考を元に戻した。
そして手元のおにぎりを見てまた一口、口に入れた。
(これから本当にどうなるんだろう。実は自分は江戸時代の人間だったりして---)
とも考えてみたがやっぱりそれはない。
両手の指を動かしてみれば、ブラインドタッチを指は記憶している。
・・・・・・・未来には帰れるのかな。
自分のいた未来はだんだん思い出して来た。西暦何年だということも。
だけど、自分のことは思い出せない。
どこの誰で何故こんなことになったのか全く分からない。
そんな時昨晩の斎藤の言葉がふと思い出された。
「・・名前。・・・名前ねぇ。」
あんなに肉体は激しく扱うのに、斎藤の奥から出る言葉はとても優しい。
本当の自分がなくて空っぽの心を満たして揺るぎないものにさせた魔法の贈り物・・
その贈り物を蘭丸は小声でつぶやいた。
「はじめ・・。」
呟き終わると蘭丸はまた視線を外に向けた。
自分はこの時代で何が出来るのか。
普通絶対ありえないこの境遇。
もしかして、もっと未来にタイムマシンが発明されて何かの事件に巻き込まれたのか。
・・そうじゃなかったら神か悪魔かの何らかの意図か。
(何のために。どうして自分なんだ。でもそれをやっと知る為に一つ前に進む。自分で決めた事だ。)
手順を間違ったら恐らく即終了・・か、ホームレスになって終了。
そんな危険な予感がピンピンするが、
もし自分が十六夜丸だったら、これからも人を斬るんでしょう?
この手で・・・・。
自分の知らない自分の手・・蘭丸はじっと自分の手を見つめた。
その時、トントントントンっと、リズムよく誰かが階段を上ってる音がする。
襖が開く。
「あ、斎藤さん。」
「生きてるか。」
「いや、生きてるか・・ってそうしたのって斎藤さんじゃないですか。あちこちが痛いですよ。」
「まぁな。」
と斎藤はククと少し笑った。自覚はあるようだ。
だが自分の身体を案じたその言葉は嬉しい。
「歩けるか。」
「なんとか大丈夫だと思います。」
だが、ふんと立ち上がると、
(こ・・・・股関節が・・・・・・。)
「っつ~~~~~~~~。」
極めて超内股の蘭丸に斎藤はそこまでやってしまったかと顔をしかめた。
「おい、階段だけでもおぶされ。」
と斎藤はしゃがんで背中を差し出した。
「えっ!いいですよ。」
恥ずかしいのとそんなことさせられないと蘭丸は断った。
「阿呆、そんなので転落されてそれこそ動けなくなったら元も子もないだろう。」
斎藤の正論に蘭丸はぐうの音も出ない。
「はい、すみません。ではお世話になります。」
いい年こいて、おんぶされて・・・・と思うものの、
暖かい背中。
斎藤さんの匂い。
・・・・・・大好きだ・・・・・・・・
と、斎藤の背中に自分を預けた。
これからどうなるか分からないど、今だけ、今だけ・・・・と思いながら。
小料理屋の亭主にお礼を言った後、斎藤にどこに行くのかと聞いてみる。
「屯所に戻る。副長が話から話がある。」
と、言われた。
「え。」
誰でも分かるほどの嫌だなオーラ全開の蘭丸の顔を見て斎藤は、
「これでも最大限の譲歩だ。・・確かに俺はお前を気に入っている。だが公私どちらを取るかと言われれば”公”だ。俺のすべては新撰組にある。」
「”分かって”ます。」
蘭丸は胸がチクりとしたがそう返答した。
昨晩のあれは自分達二人にとってあくまでも個人的なもの。
現実の立場はお互い何一つ変わらない。
今から向かうのは”敵陣”のど真ん中なのだ。
相手は副長、あの鬼の土方と言われた男。(それくらいは未来の記憶が戻って来ている)
ごくりと固唾を呑んで気合を入れたいところだが、股関節が痛くてガチガチに斎藤について歩くのが精一杯の蘭丸だった。