※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
拾と参(腕のなかで) (斎藤)
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何が起こってる?
私は今日、たまの楽しみのあんみつを食べに出ただけだったはず。
新撰組の屯所に興味を持ったのが間違いだったのか。
屯所から逃げきれると余裕こいてたのが悪かったのか。
お腹が空いてておごってくれるという言葉にひょいひょいとついて行ったのが間違いだったのか。
あの日本酒が美味しすぎたのが悪かったのか。・・おちょこ二杯なのに・・
まさか自分がこんなにお酒に弱かったなんて。
まだフワフワの残る身体で斎藤という男にやられ放題だ。
頭の中もフワフワで何が最善策なのかも考えられない・・いや、この状況、考える暇もない!
たぶん男の人とこんなことになったことなど、たぶんない!
記憶がなくてもこういうのって何となく分かりそうなのではと自分でそう信じたい。
そしてこの男に触れられた部分に電気が走るような感覚。
これがもし『感じてる』なんてことだったらなんて恥ずかしい!
斎藤は髪をすく度、肩を震わせる蘭丸が余程楽しいのかすいては指を止め、止めては指で髪をすく。
「ちょっと、いい加減にしてください!話って何ですか!」
「そうだったな。」
斎藤も話を進めなくてはと、指を髪から放しその手で蘭丸の頭を自分の胸にトンと置いた。
「!!」
反射的に飛び起きようとする蘭丸の額をそのままの手で押さえる。
「大人しくしてろ。」
少し低くなった斎藤の声に蘭丸はビクっと固まった。
逃げるどころか動けもしないこの状態。
額を押さえられて物理的にも動けないところに間近で響いた低い声色に自分を絡めとられた。
ドクドクと自分の心音だけが頭に響く。
上手く息が吸えなくて肩が上下に早く動く。
そんな状態が2~3分続いたが蘭丸にとってはとてつもなく長い時間に感じた。
斎藤は流石にこれでは話も出来ないと、
「落ちつけ。何もしない。」
と声をかけた。
不思議とその言葉で金縛り状態が解除される感じがした蘭丸は頷くように二度大きく肩を上下に動かすと何度か深呼吸をすると、はぁと大きくため息をついた。
この場所(斎藤の胡坐の中)から動けないってことだろう、と諦めたというか観念したというか、煮るなり焼くなり好きにしろ、という感情が大きなため息となったのだろう。
斎藤に背中を委ねると少し身体をずらして斎藤を見上げた。
「話、ってなんだ。私が女だっていう話なら『ああ、そうだ。だがそれがどうした』っていうことだ。貴方には関係ないだろ。」
「関係なくもない。何故ならそれで俺はすっかり騙されたんだからな。」
「騙された?って何を。」
「・・お前が十六夜丸だっていうことをだ。」