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伍 (約束と約束) (オリキャラ回想)
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市彦は待ち合わせ場所の御堂に向かいながら昔の・・・・蘭子のことを考えていた。
市彦の父は薩摩藩の小姓組(下級武士)であった。
市彦が最初に蘭子と出会った時、その名を蘭丸と名のっていた。
父の正妻の子であったが嫡男が生まれないまま正妻がはやり病で亡くなっていたので男名を名乗っていたのだ。
又、実子と言えども事情で寺へ預けられていた。
その頃、妾であった自分の母(その母はやり病で死亡)の子として寺へ呼ばれた。
最初蘭子と会った時は蘭子を色の白い男の子だと思っていたし、また蘭子も父の子として恥ずかしくないよう学問を学んでいた。
育ちが違うとは言っても同じ父を持つということだからか、蘭子と市彦はよく気が合った。
ただ蘭子は体が弱くよく熱を出した。
蘭子が十八の時に父が薩摩藩の計略にかかり死罪となった。
藩命に背いたということで今までの寺を追い出され蘭子の世話人だった鷹と三人、露頭に迷う中別の寺が受け入れてくれた。
よくこのような事情の人間を引き取ってもらえたものだと素直に思っていたが実は蘭子が自分を男だということにし若く見えるし稚児ということにしてもらえないか(つまり身体を売るから)、俺と鷹を一緒に引き取ってもらえないかと懇願したんだと、後から分かった。
俺と鷹は修行僧として修験道の道を歩んだ。
蘭子とは会えない日が多くなった。
自分と向き合う修行の日々のなかで蘭子に抱いていた想いが思慕の情だということに気付いた。
どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。
否、気が付いたとしても後ろだてがない我らはどうやって日々の糧を得て、蘭子を幸せにしてやることができたのか。
夜な夜な淫乱坊主どもに抱かれているのかと思うと胸が締め付けられるように傷んだ。
蘭子は二十三になったとき血を吐いた。いつの間にか胸をわずらってたらしい。離れて暮らしていたので気がついてやれなかった。
臨終の際、やっと合わせてもらえた。見る影もなく痩せていた。蘭子は目から大粒の涙を溢れさせて“ごめんなさい、ごめんなさい”と何度も俺に謝った。
「私は罪深き女。兄様をお慕い申し上げておりました。ずっと前から・・・・・。兄様にはもっと違う道があったはずだったのに私が兄様をここに縛り付けてしまった。」
俺も涙を流した。そして
「俺もお前を愛していた。」
と蘭子の耳元で告白すると蘭子は嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んで・・・・・・。
そのままこと切れるはずだった。
だがそこで起こるはずのない異変が起こった。
「愚かな女よ、お前の願い聞き届けよう。」
他に誰もいない部屋中に声が響きわたった。
誰だ!と叫ぼうとした矢先、蘭子が振り絞るような声で叫んだ。
「兄様が寂しくならぬよう、私を忘れないよう、、、、兄様ごめんなさい。こんなわがままな私を許して下さい・・・・愛しています・・・・死ぬまで離さないっ・・・・。」
蘭子はそこでこと切れた。
俺が知らぬところで勝手に何か恐ろしそうな決め事を交わされてしまったことに腹がたったが蘭子がそこまで自分を愛して気がふれてしまったからかと思うと蘭子を責められなかった。
だがよく考えればわかること。
蘭子は死んだんだ。いくら似ていても他人。
これは呪いか、、
蘭子が悪霊と交わした呪いなのか?
罪なき他人の身体を乗っ取りどうするというのか。
そして蘭子に責任があるとすればそんな気持ちに追い込んだ自分にも責任がある・・。
だが今になって何ができるというんだ!
市彦の父は薩摩藩の小姓組(下級武士)であった。
市彦が最初に蘭子と出会った時、その名を蘭丸と名のっていた。
父の正妻の子であったが嫡男が生まれないまま正妻がはやり病で亡くなっていたので男名を名乗っていたのだ。
又、実子と言えども事情で寺へ預けられていた。
その頃、妾であった自分の母(その母はやり病で死亡)の子として寺へ呼ばれた。
最初蘭子と会った時は蘭子を色の白い男の子だと思っていたし、また蘭子も父の子として恥ずかしくないよう学問を学んでいた。
育ちが違うとは言っても同じ父を持つということだからか、蘭子と市彦はよく気が合った。
ただ蘭子は体が弱くよく熱を出した。
蘭子が十八の時に父が薩摩藩の計略にかかり死罪となった。
藩命に背いたということで今までの寺を追い出され蘭子の世話人だった鷹と三人、露頭に迷う中別の寺が受け入れてくれた。
よくこのような事情の人間を引き取ってもらえたものだと素直に思っていたが実は蘭子が自分を男だということにし若く見えるし稚児ということにしてもらえないか(つまり身体を売るから)、俺と鷹を一緒に引き取ってもらえないかと懇願したんだと、後から分かった。
俺と鷹は修行僧として修験道の道を歩んだ。
蘭子とは会えない日が多くなった。
自分と向き合う修行の日々のなかで蘭子に抱いていた想いが思慕の情だということに気付いた。
どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。
否、気が付いたとしても後ろだてがない我らはどうやって日々の糧を得て、蘭子を幸せにしてやることができたのか。
夜な夜な淫乱坊主どもに抱かれているのかと思うと胸が締め付けられるように傷んだ。
蘭子は二十三になったとき血を吐いた。いつの間にか胸をわずらってたらしい。離れて暮らしていたので気がついてやれなかった。
臨終の際、やっと合わせてもらえた。見る影もなく痩せていた。蘭子は目から大粒の涙を溢れさせて“ごめんなさい、ごめんなさい”と何度も俺に謝った。
「私は罪深き女。兄様をお慕い申し上げておりました。ずっと前から・・・・・。兄様にはもっと違う道があったはずだったのに私が兄様をここに縛り付けてしまった。」
俺も涙を流した。そして
「俺もお前を愛していた。」
と蘭子の耳元で告白すると蘭子は嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んで・・・・・・。
そのままこと切れるはずだった。
だがそこで起こるはずのない異変が起こった。
「愚かな女よ、お前の願い聞き届けよう。」
他に誰もいない部屋中に声が響きわたった。
誰だ!と叫ぼうとした矢先、蘭子が振り絞るような声で叫んだ。
「兄様が寂しくならぬよう、私を忘れないよう、、、、兄様ごめんなさい。こんなわがままな私を許して下さい・・・・愛しています・・・・死ぬまで離さないっ・・・・。」
蘭子はそこでこと切れた。
俺が知らぬところで勝手に何か恐ろしそうな決め事を交わされてしまったことに腹がたったが蘭子がそこまで自分を愛して気がふれてしまったからかと思うと蘭子を責められなかった。
だがよく考えればわかること。
蘭子は死んだんだ。いくら似ていても他人。
これは呪いか、、
蘭子が悪霊と交わした呪いなのか?
罪なき他人の身体を乗っ取りどうするというのか。
そして蘭子に責任があるとすればそんな気持ちに追い込んだ自分にも責任がある・・。
だが今になって何ができるというんだ!