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肆 (宿命の出会い) (オリキャラ兄・斎藤)
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遅めの月が上って少し西に傾いた頃。
新撰組三番隊は京から少し外れた集落へ向かっていた。
今夜三番隊は市内の見廻りに当たっていたのだが、急遽、こちらの方で維新派の密会があるという情報が入って他の隊と分かれてそちらへ向かっていた。
「ま、誤情報じゃないことを願うだけだ。せっかく俺の三番隊が出向かうんだからな。」
くくっ。っと、組長の男は喉をならした。
三番隊が門の前に集結が終わると組長の合図で門を開いてみる。すると、鍵はかかっておらず。ギィと小さく軋んで門は開いた。
まるで罠のように。
「夜分にごめん、我らは新撰組。検めさせていただく。」
宣言後、敷地内に入ると。何処となく蝋燭を消した臭いが流れて来た。
「誘っているのか?では呼ばれてやるとするか。」
組長と呼ばれる男が顎で合図すると同時に一斉に部下が土足のまま上がりこみ奥へ向かう。
しばらく襖の開ける音、移動する足音、せわしく家中をあらためる音が続いた。
そして突然どちらの声とも分からない怒号が響く。
「死ねぇぇぇ!」
「おおおぉ!」
「ぬん!」
キン!カキッ!と刃の交わる音が奥の方で聞こえる。
右の奥の方でもまた、同じく刀の交わる音がする。
が、間もなくまた静けさが戻った。
「こっちは一人のようだ-!」
「おお~い。こっちもだ-!」
切られて倒れている・・・・すでに死んでいると思われる男の人相を確認するため月明かりの照らす母屋の外へ引きずりだす。
「おい、密会するには貧相のない顔だな。」
「そうだなぁ、まさに用心棒っていう顔だな。」
「いや、これこそ長州藩の奴らなのかもな。しかし生かして捕らえられなかったのは残念だったな。」
隊士二人は足元の死体を見ているとその後ろで銀色の光が二本走った。
死体の上にドサっと二人、言葉を発する間もなく重なり倒れた。
別の隊士が仲間の会話を聞きつけ、その方向へ向かおうとして声をかけた。
「おーい、中にはもう誰もいないようだーぐあっ!。」
言葉が終わる前にまた銀色の光が一筋走った。
一瞬その影だけが見え、また屋敷の中に消えた。
斬られた男の叫び声を他の隊士が聞きつけた。
「おい!大丈夫か!」
他の隊士が駆け付けた時は斬られた隊士は自らの血だまりに倒れ込むところだった。
その隊士は手に持っていた刀を両手で握り直しすぐさま周りを警戒した。
組長は最初に斬り合った音が聞こえた場所に向かっていたが、仲間の叫び声を聞きその方向へ急行した。
途中また部下の叫び声を聞いた。
駆けつけると正面を斬られ前に倒れて痙攣している部下が一人ともう少し先で倒れて動かない部下を一人発見した。
息のある手前の部下のところに組長は駆け寄った。
「何があった!」
その部下は三番隊の中でも屈指の強者。そう簡単に正面から斬られることは考えられない。
「組長・・お・・鬼だ・・紅い目・・」
部下はそれだけ言い残すとがくりと首を垂れた。
「おい!」
組長は声をかけたが返事はなかった。
そっと部下の体を地面に置くと静かに立ち上がった。
「・・いるんだろう?姿みせろよ。」