100回キスしないと出られない部屋【氷鷹北斗】
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「氷鷹くんはこのお題、どう思う?」
「達成できないことはないが…俺たちが今までキスした数だって三桁は絶対に超えていないだろう。それに、俺はまだ不慣れだ」
するべき雰囲気でしないくせに、不意打ちでキスをしてくるのが氷鷹くんである。そこに関してはもう慣れたのだが、改めて面と向かって今からキスしますなんて雰囲気は初めてだ。
心臓が早鐘を打って、うるさい。
「あんずがいいなら、したい」
「……」
「ここから出たい、という気持ちから出たものだが、お前とそんな短時間で100回もキスをする機会など今後ないと思うからな」
キメ顔で言ってのける氷鷹くんのそれは興味本位から来ているのだろうが、こちらからすれば複雑極まりない。お前とキスがしたいからな、などというのが私の欲しい言葉だったのに。
「私、は…氷鷹くんとキスしたいから」
「俺も、したい」
「私と?」
「…キス」
誘導してしまった気もするが、彼からそのような言葉を聞けたので良しとしよう。
静かな空気が流れる中、彼がゆっくりとこちらを向き、私の頬に手を添える。優しい指で撫でてくるので、くすぐったい。
「き、緊張するな」
「私も……」
同じ気持ちだったのは少し嬉しいし、安心する。逸る気持ちを抑えようと息をふーっと吐いたところで意を決したような氷鷹くんに口を塞がれた。思いの外長く、離れた時に若干の呼吸困難に陥ってしまう。
「……っ、タ、タイミング!」
「今のは本当に申し訳ない…」
「次からはちゃんと、お願い」
「ああ」と頷いたであろう氷鷹くんがかっこよくて、目をつぶって彼を待つ。両腕を掴んできたので、私も同じように返すと、唇に感触が走った。二回目が終わった、と寂しさと安堵を感じていると、予想外に唇を塞がれた。
「…っ」
彼の細く長い指が二の腕を伝い、肩にたどり着く。まるで壊れ物を扱うような手つきだ。私のことを大事にしてくれている彼の意思表示なのだろうか、なんて。
「っひだかく」
( ………っ!? )
ちょっと待って、と聞いたことのない速さで高鳴る鼓動を落ち着かせようとするが、氷鷹くんは短いキスを何度も繰り返す。これでは言葉を発することも困難である。慣れない音と声が漏れて、自分でも恥ずかしい。こんなの、知らない。
能動的にこちらへ迫ってくる氷鷹くんだが、私は無意識に胸板を強く押し返してしまう。羞恥心に勝てない。子供だからと言って羞恥心の先へ行く勇気がない。
「っすまん、大丈夫か」
ようやく離れた氷鷹くんが私へ問う。こちとらいきなり氷鷹くんが積極的になるからビックリしましたとも。しかし、嫌というわけではないのて、そう嫌味ったらしく言える身分でもないのだ。
「ビックリした…」
「すまない。つい…」
「い、嫌じゃないから、全然」
不安げな表情を浮かべていた氷鷹くんの顔がぱあっと明るくなる。知り合いに誇張しすぎではないかと言われてしまったが、私には確かに長年欲しかったおもちゃを貰った子供のように見える。
「──本当に嫌だったら、突き飛ばせ」
そう残して、またキスをし始める。100回と書いてあったが、今は何回目なのだろうか。確実に10は超えている。20は超えているのか?よく分からないが、きっと100回達成したらガチャと音がするのだろう。
「……ん」
口付ける度に角度を変えてくるので、私も合わせてみるがよく分からない。すると、氷鷹くんが私の頬と首をそれぞれ押さえてきた。あくまで自分に任せろ、お前は何もしなくていい、ということだろう。
( ……っ、ん!? )
キスを繰り返していると、唇に何やら更に生暖かいものが触れる。熱い何かで濡れているそれは誰がどう考えても舌だ。それまででも十分に熱かった顔がぼっと爆発して、添えられた手を振り払おうとするが、上手く躱されてしまう。どうやら、本気で胸板を押さないと私が嫌がっているとは見做さないらしい。
( 結構頑固で、粘着質 )
別に不快な部分ではないが、そのような一面もあることを私は知っている。
「あんず」
離れた一瞬の隙に名前を呼ばれる。それだけでも嬉しくて、目が眩みそうだ。その声が私に向けられていて、私の名前を紡いでいるのである。こんな幸せな気持ちでいていいのだろうか。
と、いい加減断念したのか、舌の感触を感じなくなった。疑問に思ったのが命取りだったのか。その隙に、下唇を親指で抑えられ、口をこじ開けられてしまった。
「……っ、あ」
嫌ではない、ただ死ぬほど恥ずかしい。そのことを分かってほしくて、醜く大口を開けている私を覗き込む氷鷹くんを突き飛ばしたりはしなかった。目を見ることはできなくて、高級そうなカーペットを眺めていたが。
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「氷鷹くんはこのお題、どう思う?」
「達成できないことはないが…俺たちが今までキスした数だって三桁は絶対に超えていないだろう。それに、俺はまだ不慣れだ」
するべき雰囲気でしないくせに、不意打ちでキスをしてくるのが氷鷹くんである。そこに関してはもう慣れたのだが、改めて面と向かって今からキスしますなんて雰囲気は初めてだ。
心臓が早鐘を打って、うるさい。
「あんずがいいなら、したい」
「……」
「ここから出たい、という気持ちから出たものだが、お前とそんな短時間で100回もキスをする機会など今後ないと思うからな」
キメ顔で言ってのける氷鷹くんのそれは興味本位から来ているのだろうが、こちらからすれば複雑極まりない。お前とキスがしたいからな、などというのが私の欲しい言葉だったのに。
「私、は…氷鷹くんとキスしたいから」
「俺も、したい」
「私と?」
「…キス」
誘導してしまった気もするが、彼からそのような言葉を聞けたので良しとしよう。
静かな空気が流れる中、彼がゆっくりとこちらを向き、私の頬に手を添える。優しい指で撫でてくるので、くすぐったい。
「き、緊張するな」
「私も……」
同じ気持ちだったのは少し嬉しいし、安心する。逸る気持ちを抑えようと息をふーっと吐いたところで意を決したような氷鷹くんに口を塞がれた。思いの外長く、離れた時に若干の呼吸困難に陥ってしまう。
「……っ、タ、タイミング!」
「今のは本当に申し訳ない…」
「次からはちゃんと、お願い」
「ああ」と頷いたであろう氷鷹くんがかっこよくて、目をつぶって彼を待つ。両腕を掴んできたので、私も同じように返すと、唇に感触が走った。二回目が終わった、と寂しさと安堵を感じていると、予想外に唇を塞がれた。
「…っ」
彼の細く長い指が二の腕を伝い、肩にたどり着く。まるで壊れ物を扱うような手つきだ。私のことを大事にしてくれている彼の意思表示なのだろうか、なんて。
「っひだかく」
( ………っ!? )
ちょっと待って、と聞いたことのない速さで高鳴る鼓動を落ち着かせようとするが、氷鷹くんは短いキスを何度も繰り返す。これでは言葉を発することも困難である。慣れない音と声が漏れて、自分でも恥ずかしい。こんなの、知らない。
能動的にこちらへ迫ってくる氷鷹くんだが、私は無意識に胸板を強く押し返してしまう。羞恥心に勝てない。子供だからと言って羞恥心の先へ行く勇気がない。
「っすまん、大丈夫か」
ようやく離れた氷鷹くんが私へ問う。こちとらいきなり氷鷹くんが積極的になるからビックリしましたとも。しかし、嫌というわけではないのて、そう嫌味ったらしく言える身分でもないのだ。
「ビックリした…」
「すまない。つい…」
「い、嫌じゃないから、全然」
不安げな表情を浮かべていた氷鷹くんの顔がぱあっと明るくなる。知り合いに誇張しすぎではないかと言われてしまったが、私には確かに長年欲しかったおもちゃを貰った子供のように見える。
「──本当に嫌だったら、突き飛ばせ」
そう残して、またキスをし始める。100回と書いてあったが、今は何回目なのだろうか。確実に10は超えている。20は超えているのか?よく分からないが、きっと100回達成したらガチャと音がするのだろう。
「……ん」
口付ける度に角度を変えてくるので、私も合わせてみるがよく分からない。すると、氷鷹くんが私の頬と首をそれぞれ押さえてきた。あくまで自分に任せろ、お前は何もしなくていい、ということだろう。
( ……っ、ん!? )
キスを繰り返していると、唇に何やら更に生暖かいものが触れる。熱い何かで濡れているそれは誰がどう考えても舌だ。それまででも十分に熱かった顔がぼっと爆発して、添えられた手を振り払おうとするが、上手く躱されてしまう。どうやら、本気で胸板を押さないと私が嫌がっているとは見做さないらしい。
( 結構頑固で、粘着質 )
別に不快な部分ではないが、そのような一面もあることを私は知っている。
「あんず」
離れた一瞬の隙に名前を呼ばれる。それだけでも嬉しくて、目が眩みそうだ。その声が私に向けられていて、私の名前を紡いでいるのである。こんな幸せな気持ちでいていいのだろうか。
と、いい加減断念したのか、舌の感触を感じなくなった。疑問に思ったのが命取りだったのか。その隙に、下唇を親指で抑えられ、口をこじ開けられてしまった。
「……っ、あ」
嫌ではない、ただ死ぬほど恥ずかしい。そのことを分かってほしくて、醜く大口を開けている私を覗き込む氷鷹くんを突き飛ばしたりはしなかった。目を見ることはできなくて、高級そうなカーペットを眺めていたが。
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