100回キスしないと出られない部屋【氷鷹北斗】
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[100回キスしないと出られない部屋]
白い背景に明朝体でそう書かれたボードが、私と氷鷹くんの前に立ちはだかる。
ここに来た経緯を全く覚えていない私は辺りを見回すが、周囲にあるのは、オシャレなランプと全面ガラス張りのシャワールームと何かが規則正しく並べられているケースとキングサイズのダブルベッドくらいだ。カーテンを開ければ見える夜景にも見覚えはない。
「綺麗な夜景だな」
後ろからそっと抱きしめてくれる氷鷹くんの腕に手を添える。
都会というものは、やはり夜でも明るいもので、光る家や街灯の中にイルミネーションのような高いビルやらタワーやらが際立って見えて、星空のすぐ近くへやってきたようだ。
「…それより、氷鷹くん。こんなところにいていいの?今日ってライブの反省会だったんじゃ」
「あ、そういえばそうだったな。危うく遅れるところだった。急がなければ…」
ドアノブに手をかける氷鷹くんに続こうとするが、ガチャと音がしたきり氷鷹くんが動かない。
「どうしたの?」と問うと、返事の代わりに絶望したような彼が顔のみ振り返った。
「開かない」
「えっ!?」
私が代わって開けようとしてみるも、扉はビクともしなかった。氷鷹くんより力がないので当たり前なのだが。
「反省会はなるべく参加したいな。この前のライブは今までで一番大きなホールで行ったわけだし…」
最悪ビデオ通話でもいいのだが、メンバーと鍋をつつきながら語り合う約束をしていたらしい。なんでも、一人一人食材を持ち寄る予定だったらしくて、それは反省会ではあるがさぞかし楽しみだったであろう。それに、反省会であるのでやはり直接顔を見たいのだ。直接顔を合わせて話したい、的な感情はこういうことを指すのだろう。
「どうしても開かないならスタッフさんに電話してみる?」
「…いや、見た限り電話らしきものもないし、そもそも俺たちは手ぶらだ」
両手をぶらぶらさせた氷鷹くんに、「そっか…」と肩を落とした。反省会の話をしてきた時の氷鷹くんの表情から感じ取れる、あの嬉しさといったら。
「しかし、俺はずっと気になっていたのだが。このボードは一体何なのだろう?」
「私も気になってた。この部屋の雰囲気と合ってないし、土壇場で付けた感じがするよ」
「土壇場……?そうか…!!」
閃いた、と指を立てた氷鷹くんが自信ありげな表情でこちらを向く。
「恐らくだが、このお題をクリアしなければここから出られないということではないか?」
そう言って彼が指さしたのは、案の定あの雰囲気ぶち壊しなボード。100回キスしろなんていう無茶振り。氷鷹くんはどのように感じているのだろう。
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[100回キスしないと出られない部屋]
白い背景に明朝体でそう書かれたボードが、私と氷鷹くんの前に立ちはだかる。
ここに来た経緯を全く覚えていない私は辺りを見回すが、周囲にあるのは、オシャレなランプと全面ガラス張りのシャワールームと何かが規則正しく並べられているケースとキングサイズのダブルベッドくらいだ。カーテンを開ければ見える夜景にも見覚えはない。
「綺麗な夜景だな」
後ろからそっと抱きしめてくれる氷鷹くんの腕に手を添える。
都会というものは、やはり夜でも明るいもので、光る家や街灯の中にイルミネーションのような高いビルやらタワーやらが際立って見えて、星空のすぐ近くへやってきたようだ。
「…それより、氷鷹くん。こんなところにいていいの?今日ってライブの反省会だったんじゃ」
「あ、そういえばそうだったな。危うく遅れるところだった。急がなければ…」
ドアノブに手をかける氷鷹くんに続こうとするが、ガチャと音がしたきり氷鷹くんが動かない。
「どうしたの?」と問うと、返事の代わりに絶望したような彼が顔のみ振り返った。
「開かない」
「えっ!?」
私が代わって開けようとしてみるも、扉はビクともしなかった。氷鷹くんより力がないので当たり前なのだが。
「反省会はなるべく参加したいな。この前のライブは今までで一番大きなホールで行ったわけだし…」
最悪ビデオ通話でもいいのだが、メンバーと鍋をつつきながら語り合う約束をしていたらしい。なんでも、一人一人食材を持ち寄る予定だったらしくて、それは反省会ではあるがさぞかし楽しみだったであろう。それに、反省会であるのでやはり直接顔を見たいのだ。直接顔を合わせて話したい、的な感情はこういうことを指すのだろう。
「どうしても開かないならスタッフさんに電話してみる?」
「…いや、見た限り電話らしきものもないし、そもそも俺たちは手ぶらだ」
両手をぶらぶらさせた氷鷹くんに、「そっか…」と肩を落とした。反省会の話をしてきた時の氷鷹くんの表情から感じ取れる、あの嬉しさといったら。
「しかし、俺はずっと気になっていたのだが。このボードは一体何なのだろう?」
「私も気になってた。この部屋の雰囲気と合ってないし、土壇場で付けた感じがするよ」
「土壇場……?そうか…!!」
閃いた、と指を立てた氷鷹くんが自信ありげな表情でこちらを向く。
「恐らくだが、このお題をクリアしなければここから出られないということではないか?」
そう言って彼が指さしたのは、案の定あの雰囲気ぶち壊しなボード。100回キスしろなんていう無茶振り。氷鷹くんはどのように感じているのだろう。
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