第一章 ヒーローとの出会い
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守沢さんが私のことを受けいれてくれると信じてみる。そう決めたのはいいものの、一体全体なんと話しかけたらいいのだろうか。先程もそのようなことであれやこれやと思考を巡らせて収穫ナシだったがどうやら今回もそうらしい。
佐賀美先生と初めて会った時も、あちらから話しかけてくれた。正しい受け答えや距離感が分からず、首を小さく縦に振るだけの私を気にかけてくれた。それが救いでもあったのだが、そのせいあってか私は未だに人との距離感が分からないままだ。
「最初、どう話しかければいいでしょうか」
出来れば自分一人で解決したい事柄だったのだが、何も浮かばなければ何も始まらない。助け舟を受け取った先生はうーんと唸る。
「偶然を装って、こんにちはぁ〜!とか」
「私そんなじゃありません」
「いやそれはごめんって」
「それに偶然を装うって言っても守沢さんがいつ来るか分かりませんし…」
保健室付近に隠れて待ち伏せするのはどうだ?と帰ってきたが、四六時中アイドル科の方にいる訳にもいかない。守沢さんに守ってもらって一緒に保健室まで行くという手もあるが、彼がいつどこにいるかも分からない上、できるだけ怪我はさせたくはない。
「じゃああのプロデューサーにお願いでもするか」
「口実をつけて保健室に来てもらう、みたいな感じですか?」
なるほど、プロデューサーさんはなんでもソツなくこなす人と聞く。それはアリなのかもしれない。
「そうそう、一番楽な方法だと思うんだけどなぁ」
「保健室に来てもらって私が話しかけたらそのためにわざわざ呼び出したってバレませんかね…?」
「いいんじゃねぇのそこは。だって事実だし」
「事実でもあんまりバレたくないというか…」
言いにくい雰囲気で返事をした私に、先生はため息混じりに「あのなぁ…」と言いづらそうに口を開いた。
「考えて出した提案にあれこれ言われて却下されるとなんとも言えない気持ちになる」
「あっ…すみません……」
たしかに、頼られたから色々アドバイスしてやってるのに全て何かしらの理由で突っぱねていたらさぞかし嫌であろう。自己中心的の塊で、先生嫌な思いをさせてしまった罪悪感が刺さる。
「もう普通に話しかけるしかないんじゃないの。それも嫌なら妥協するしか」
先生が最後に捻り出したのがそれだ。どれだけ気を遣わせている。自分が醜い。
「ごめんなさい…色々と口出ししてしまって。なんとか勇気を出してみようと思います…!」
「いーや、あんまり自分ばっか責めるな。頑張れよ」
優しい言葉に「はい!」と精一杯返す。もっと相手を気遣う気持ちを意識しなければ、失望されてしまうかもしれない。
しかし、守沢さんと話すのが今から楽しみになっている私もいる。まず前提に守沢さんと話せるのか、話しかけられるのかという不安が大きいが、それよりも楽しみや期待が先行している。守沢さんのあの雰囲気からして、きっと私を突っぱねることは無いはず。…そう思いたいだけだが。
「守沢は優しいから大丈夫だ。なんてったって正義のヒーローだからな」
守沢さんが貫き通してるもの。耳にする度に、心が軋むのに何故だか安心感が芽生えてくる。私はまだ話したこともないあの人に守ってもらっている気分にでもなっているのだろうか。
自分勝手だが、それだけ守沢さんの存在は大きいということだろう。私の人間性のせいかもしれないが、誰かにそう思われる存在に私もなりたいものだ。……一生無理だとは思うけれど。でももし、あの人の優しさに触れられたなら、頑張ってみてもいいかなと思えた。
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守沢さんが私のことを受けいれてくれると信じてみる。そう決めたのはいいものの、一体全体なんと話しかけたらいいのだろうか。先程もそのようなことであれやこれやと思考を巡らせて収穫ナシだったがどうやら今回もそうらしい。
佐賀美先生と初めて会った時も、あちらから話しかけてくれた。正しい受け答えや距離感が分からず、首を小さく縦に振るだけの私を気にかけてくれた。それが救いでもあったのだが、そのせいあってか私は未だに人との距離感が分からないままだ。
「最初、どう話しかければいいでしょうか」
出来れば自分一人で解決したい事柄だったのだが、何も浮かばなければ何も始まらない。助け舟を受け取った先生はうーんと唸る。
「偶然を装って、こんにちはぁ〜!とか」
「私そんなじゃありません」
「いやそれはごめんって」
「それに偶然を装うって言っても守沢さんがいつ来るか分かりませんし…」
保健室付近に隠れて待ち伏せするのはどうだ?と帰ってきたが、四六時中アイドル科の方にいる訳にもいかない。守沢さんに守ってもらって一緒に保健室まで行くという手もあるが、彼がいつどこにいるかも分からない上、できるだけ怪我はさせたくはない。
「じゃああのプロデューサーにお願いでもするか」
「口実をつけて保健室に来てもらう、みたいな感じですか?」
なるほど、プロデューサーさんはなんでもソツなくこなす人と聞く。それはアリなのかもしれない。
「そうそう、一番楽な方法だと思うんだけどなぁ」
「保健室に来てもらって私が話しかけたらそのためにわざわざ呼び出したってバレませんかね…?」
「いいんじゃねぇのそこは。だって事実だし」
「事実でもあんまりバレたくないというか…」
言いにくい雰囲気で返事をした私に、先生はため息混じりに「あのなぁ…」と言いづらそうに口を開いた。
「考えて出した提案にあれこれ言われて却下されるとなんとも言えない気持ちになる」
「あっ…すみません……」
たしかに、頼られたから色々アドバイスしてやってるのに全て何かしらの理由で突っぱねていたらさぞかし嫌であろう。自己中心的の塊で、先生嫌な思いをさせてしまった罪悪感が刺さる。
「もう普通に話しかけるしかないんじゃないの。それも嫌なら妥協するしか」
先生が最後に捻り出したのがそれだ。どれだけ気を遣わせている。自分が醜い。
「ごめんなさい…色々と口出ししてしまって。なんとか勇気を出してみようと思います…!」
「いーや、あんまり自分ばっか責めるな。頑張れよ」
優しい言葉に「はい!」と精一杯返す。もっと相手を気遣う気持ちを意識しなければ、失望されてしまうかもしれない。
しかし、守沢さんと話すのが今から楽しみになっている私もいる。まず前提に守沢さんと話せるのか、話しかけられるのかという不安が大きいが、それよりも楽しみや期待が先行している。守沢さんのあの雰囲気からして、きっと私を突っぱねることは無いはず。…そう思いたいだけだが。
「守沢は優しいから大丈夫だ。なんてったって正義のヒーローだからな」
守沢さんが貫き通してるもの。耳にする度に、心が軋むのに何故だか安心感が芽生えてくる。私はまだ話したこともないあの人に守ってもらっている気分にでもなっているのだろうか。
自分勝手だが、それだけ守沢さんの存在は大きいということだろう。私の人間性のせいかもしれないが、誰かにそう思われる存在に私もなりたいものだ。……一生無理だとは思うけれど。でももし、あの人の優しさに触れられたなら、頑張ってみてもいいかなと思えた。
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