第一章 ヒーローとの出会い
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まずい、と思いベッドへ潜り込む。
カーテンが閉まっていてまずいもクソもないのだが、どうしても何かしらでカーテンが開けられて暴言を吐かれながら殴られるのではないかなどと考えてしまう。ただアイドル科の人が保健室を訪れただけというのにとんだ被害妄想だ。頭まで隠し、手の震えを必死に止めようと奮闘する。
「失礼します!」
私の行いを粉砕するかのような明るくはきはきとした声がよく通った。
「おお、守沢か」と先生もどうやら親しげである。
「今日はどこ怪我したー?」
「右の腕と足を擦りむいてしまって…あと若干腰も痛みます」
「うっわ、酷いな…また人助けか?」
先生のその声に「はい、勿論です!」と威勢よく返す。
「ヒーローはみんなが困っている時には必ず駆けつけますから!」
決めポーズか何かをしていたのか、先生にあんまり動くなよと制止されたようだ。今まで私が保健室にいる際にここを訪れた人達は皆、サボりだったり喧嘩して怪我をしたりした人ばかりだったが、どうもアイドル科全員がそうという訳では無いらしい。アイドル科は革命が成されたとかなんとかで噂に聞いていたが、がらっと変わったわけではないのかと呆れていた。しかし、全てが廃れている普通科と比べれば幾分マシな方なのだろう。
「まあいつものことだしそれが守沢らしいんだが。あんまり無理はするなよ」
「困っている皆が傷つかない程度ですが!」
どこまで自分を犠牲にしてまで皆を助けようとするのだろう。口先だけの可能性もあったが、怪我をしているあたりどうやら本当らしい。
何故、そこまでするのだろうか。
「俺は正義のヒーローです。自分を優先して誰かが傷ついては意味がありません」
″正義のヒーロー″
守沢さんはヒーローものが好きなのだろうか。憧れているのだろうか。だからなりたいと望み、それらしいことを実践さているのだろうか。……私とは違って、自分の好きなものを貫き通し、堂々としている強い人なのか。
「………」
むくり、と体を起こす。右手の震えをもう一つの手で抑えながら、カーテンを無める。
面倒事は全て誰かに押し付けるのが常識である世界で生きてきた私にとってそのような心優しき人がいるなんて、とその″守沢さん″という人がとても気になった。
どんな人なのだろう。どんな風に笑って、どんな風に……。
そこで、はっとした。
守沢さんなら私のことを受け入れてくれると思って、期待したんだ。カーテンへ伸ばした右手を下ろす。
前もそうだった。期待して、裏切られた。分かっているのに、また同じことを繰り返そうとしている。
「先生が困っている時もいつでも駆けつけますからね!」
「いーや、俺は別にいいや。それより他のやつを助けてやれ」
「わ、分かりました。でも、困った時はいつでも言ってくださいっ!」
あの人も、そうだった。なんでも言って、相談に乗るよ、私がいるから、と。頼れそうな背中を見せておいて結局最後は私の方を向く。私へ向けられた刃を突き放すための刀を、最後は私の喉元へ向けてきた。
そんなすぐに信用してどうする。しかも初対面。おまけに相手は私を知らない。そもそも、なんて声をかけたらいいのか分からない。はじめまして?偶然ですね?私は守沢さんのこと存じ上げてます?長らく一人で過ごしていたせいで、同年代の友人との接し方がよく分からない。あの人との記憶も、もう突き放された時からとその時のショックしか覚えていない。
( ……友達って、)
どうやって作るんだっけ。
急に怖くなって、また布団へ潜り込んだ。
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まずい、と思いベッドへ潜り込む。
カーテンが閉まっていてまずいもクソもないのだが、どうしても何かしらでカーテンが開けられて暴言を吐かれながら殴られるのではないかなどと考えてしまう。ただアイドル科の人が保健室を訪れただけというのにとんだ被害妄想だ。頭まで隠し、手の震えを必死に止めようと奮闘する。
「失礼します!」
私の行いを粉砕するかのような明るくはきはきとした声がよく通った。
「おお、守沢か」と先生もどうやら親しげである。
「今日はどこ怪我したー?」
「右の腕と足を擦りむいてしまって…あと若干腰も痛みます」
「うっわ、酷いな…また人助けか?」
先生のその声に「はい、勿論です!」と威勢よく返す。
「ヒーローはみんなが困っている時には必ず駆けつけますから!」
決めポーズか何かをしていたのか、先生にあんまり動くなよと制止されたようだ。今まで私が保健室にいる際にここを訪れた人達は皆、サボりだったり喧嘩して怪我をしたりした人ばかりだったが、どうもアイドル科全員がそうという訳では無いらしい。アイドル科は革命が成されたとかなんとかで噂に聞いていたが、がらっと変わったわけではないのかと呆れていた。しかし、全てが廃れている普通科と比べれば幾分マシな方なのだろう。
「まあいつものことだしそれが守沢らしいんだが。あんまり無理はするなよ」
「困っている皆が傷つかない程度ですが!」
どこまで自分を犠牲にしてまで皆を助けようとするのだろう。口先だけの可能性もあったが、怪我をしているあたりどうやら本当らしい。
何故、そこまでするのだろうか。
「俺は正義のヒーローです。自分を優先して誰かが傷ついては意味がありません」
″正義のヒーロー″
守沢さんはヒーローものが好きなのだろうか。憧れているのだろうか。だからなりたいと望み、それらしいことを実践さているのだろうか。……私とは違って、自分の好きなものを貫き通し、堂々としている強い人なのか。
「………」
むくり、と体を起こす。右手の震えをもう一つの手で抑えながら、カーテンを無める。
面倒事は全て誰かに押し付けるのが常識である世界で生きてきた私にとってそのような心優しき人がいるなんて、とその″守沢さん″という人がとても気になった。
どんな人なのだろう。どんな風に笑って、どんな風に……。
そこで、はっとした。
守沢さんなら私のことを受け入れてくれると思って、期待したんだ。カーテンへ伸ばした右手を下ろす。
前もそうだった。期待して、裏切られた。分かっているのに、また同じことを繰り返そうとしている。
「先生が困っている時もいつでも駆けつけますからね!」
「いーや、俺は別にいいや。それより他のやつを助けてやれ」
「わ、分かりました。でも、困った時はいつでも言ってくださいっ!」
あの人も、そうだった。なんでも言って、相談に乗るよ、私がいるから、と。頼れそうな背中を見せておいて結局最後は私の方を向く。私へ向けられた刃を突き放すための刀を、最後は私の喉元へ向けてきた。
そんなすぐに信用してどうする。しかも初対面。おまけに相手は私を知らない。そもそも、なんて声をかけたらいいのか分からない。はじめまして?偶然ですね?私は守沢さんのこと存じ上げてます?長らく一人で過ごしていたせいで、同年代の友人との接し方がよく分からない。あの人との記憶も、もう突き放された時からとその時のショックしか覚えていない。
( ……友達って、)
どうやって作るんだっけ。
急に怖くなって、また布団へ潜り込んだ。
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