わたしの可愛いペットくん
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『まーたワンちゃんの動画みてんの??』
ソファにもたれかかれながら画面をじーっと眺めているわたしに健人が声をかけてくる。
「んーー」
健人からの問いかけにも、画面の中で動き回るコーギーたちが可愛すぎて生返事になる。
最近、動物の動画を見るのがマイブームだ。10代のときは動物を見て癒されるっていう感覚がどうにも分からなかったけど、今なら首がもげるほど頷ける。
『ねー』
また健人が声をかけてくる。
『そんなに動画たのしい?』
「んー」
『オレ今日ひさしぶりのオフなんだけど』
「んー」
『…ワンちゃんとオレ、どっちが大事なの?』
「んー今はワンちゃんかなー」
生返事で答えると、健人が黙り込んだ。
さすがに適当にあしらいすぎちゃったかな。
少し罪悪感はあったけれど、ようやく静かになって、集中して動画を見られることに意識が向いてしまった。
部屋が静寂に包まれる。
と感じたのも束の間、
『わん!!!!!』
「は?!?!?!?!」
いきなり大きな声で、ぴょんとしゃがみこんで、わたしとスマホの間に顔を割り込ませる健人。思わず大声で後ずさるわたし。
「あの、なにごとですか…?」
状況が飲み込めずおそるおそる尋ねる。
『中島健人よりも犬の方がお好きなようだったので、中島健人はついさっきから犬になりました。ワン』
目をきゅるんと潤ませ、だけど少し不服そうに口元を突き出しながら言う。
いや、表情は可愛いが言ってること意味わからないんですが…。
「えーと、拗ねてます……?」
『拗ねてないワン』
ツンとそっぽを向く。
その表情と口調のギャップが可愛くて、なんだか面白くなってしまった。
「そっかーわんちゃんかーー可愛いでちゅねーーじゃあ、お手」
タシッ、と右手を、差し出したわたしの手の上に乗せる健人。
「おかわり!」
今度は逆の手を乗せてくる。
そしてきゅるんきゅるんな目でこちらをじっと覗き込み全力で「褒めて!」と訴えかけてくる。
「よくできまちたー!」
とぐしゃぐしゃに頭を撫でると、タレ目をさらに垂れさせてにこにこする。
かんわいいー!!!
もう完全に楽しくなってしまったわたしは、近くにあるぬいぐるみを手に取り、ポンと部屋の奥に投げた。
「取ってこい!」
『ワン!!』
ぴょんぴょんと飛び跳ねぬいぐるみのもとまで駆け寄り、器用にぬいぐるみを口で掴み取ってそのままわたしのもとへ帰ってくる。
ぬいぐるみをわたしの膝上にひょいと乗せると、ダックスフンドみたいな目でこっちを見つめ、褒められるのを待っている。
なんて可愛い生き物なの!!
「かしこーーーい!!もう!超可愛いーーーーーーー!!!!!!」
健人の頭ごと胸に抱えて頭を撫でまわす。
健人はぐりぐりと頭をわたしの胸に押しつけたかと思うと、上目遣いでじっとこっちを見る。
『さっき見てたコーギーよりも可愛い?』
「可愛い!」
『オレが1番可愛い?』
「可愛いよー!」
健人がスッと目を細める。
『じゃあ2人でいるときはワンちゃんよりもオレを優先するよね?』
トンッと肩を押され、あっという間に押し倒される。
さっきまでの可愛い健人が嘘のように、完全にスイッチの入った健人の顔がそこにはあった。あまりの変わりように、そしてその妖艶な表情に、思わず見とれてしまう。
『なに惚けてんの』
ペロッと頬を舐められ、一瞬で身体が熱くなるのがわかった。
『さっきまで散々ほったらかされたからねぇ、いーっぱい遊んでもらおうっと』
一瞬にっこりワンちゃんスマイルを覗かせたかと思うと、瞬時にその表情は消え。
『覚悟してね』
クスッと笑いながら低く呟かれた言葉と同時に、影がわたしに覆いかぶさった。