【PET!番外編①】迷惑メイドたまき
「じゃあ、次は瑛知のお風呂を手伝ってあげるね」
「……は?」
環の意味不明な言葉に、瑛知は思わず立ち止まる。
「瑛知は疲れているし、俺と司狼で服を脱がせたり、体洗ったりしてあげるよ」
それはもう満面の笑みで、環は最高に迷惑な提案をしてくる。瑛知は慌てて拒否をした。
「いやいや!大丈夫!自分で出来るから!」
「遠慮せんといて……瑛知は、なんもせんでえぇからな」
瑛知の顔を覗き込み、顔には出ないが楽しそうに司狼は言った。
「せ……先輩、これは遠慮じゃなくて!」
「んじゃ、早く行こー!」
瑛知の腕を掴むと、環は無理やり引っ張って椋の部屋に向かう。なんとか環の手を離させようとしているあいだに、椋の部屋に着いてしまった。
「まじで大丈夫だから!な? もう風呂くらい自分で入れるから!」
「俺と司狼の看護プランでは、お風呂のことも決めてあるし……」
「そのプランは変更だ!」
浴室に引っ張られるも、瑛知は環を止めることに必死だ。
「洗ってあげるって言ってるのに」
「それが嫌なんだよ!人に体を洗われるの気色悪いだろ!?」
「うん……確かに嫌だけど」
問いに素直に答える環を見て安心した瑛知は、環を止める手を少し緩めた。
「でももう決めてることだし」
「!? うわっ……待て!ばかっ」
瑛知が力を緩めた隙に、環は瑛知を押し倒す。油断していたために体勢を立て直すことが出来ず、そのまま脱衣所の床に転んでしまう。
「ッつー……!…バカ環!!これのどこが看護だよ!?」
ケガが治ったばかりなのに、この前から瑛知は酷い目にばかり遭っている。瑛知を押し倒したままの環は、瑛知の両手を握って放そうとしない。
「じゃあ大人しくしててよ」
「いやだ!早く放せ、いい加減怒るぞ!?」
環に掴まれた両手をそのまま引っ張って、環の顔を自分に近付けさせる。いきなり至近距離で瑛知にそう言われ、環は急に顔を赤くした。
「絶対俺が洗う!」
「ダメっつってんだろ!ワガママ言うな!しつこいともう口聞かないぞ!?」
「……!」
瑛知が怒った声で言うと、環は体を強張らせて反応し、無言になってしまった。そのまま瑛知の両手を放し、瑛知から少し離れる。
「あ……おい、たま…」
「ごめん。お風呂終わるの、あっちで待ってるね。行こ、司狼」
瑛知に怒られてすっかり気落ちした環は、瑛知の顔も見ずに脱衣所から出ていった。その様子を静かに見ていた司狼は、環のあとについて脱衣所から出ようとするが、少し立ち止まって瑛知の方を向いた。
「……ごめんな」
低い声でつぶやいた司狼を、瑛知は不思議そうに見上げた。
「環は……、瑛知ともっと仲良うしたいんやと思う」
それだけをいつものぼんやり顔で告げて、司狼はそのまま脱衣所から出ていった。
残された瑛知は、座り込んだまま苦い顔をした。
(……口聞かないとか言って、悪かったかな……)
確かに環の行動はワガママで迷惑で、すごく疲れることばかりだった。
でもそれは全部、彼なりの友だちへの精一杯の気持ちの表現方法だったのかもしれない。間違ってはいるけれど。
環は、ひどく不器用なのだ。
溜め息を深く吐いて、瑛知は重い腰を上げた。そのまま脱衣所から出ると部屋へ行き、床に座り込んで持ってきていた先ほどの玩具を片付けていた環に近付く。
「……は?」
環の意味不明な言葉に、瑛知は思わず立ち止まる。
「瑛知は疲れているし、俺と司狼で服を脱がせたり、体洗ったりしてあげるよ」
それはもう満面の笑みで、環は最高に迷惑な提案をしてくる。瑛知は慌てて拒否をした。
「いやいや!大丈夫!自分で出来るから!」
「遠慮せんといて……瑛知は、なんもせんでえぇからな」
瑛知の顔を覗き込み、顔には出ないが楽しそうに司狼は言った。
「せ……先輩、これは遠慮じゃなくて!」
「んじゃ、早く行こー!」
瑛知の腕を掴むと、環は無理やり引っ張って椋の部屋に向かう。なんとか環の手を離させようとしているあいだに、椋の部屋に着いてしまった。
「まじで大丈夫だから!な? もう風呂くらい自分で入れるから!」
「俺と司狼の看護プランでは、お風呂のことも決めてあるし……」
「そのプランは変更だ!」
浴室に引っ張られるも、瑛知は環を止めることに必死だ。
「洗ってあげるって言ってるのに」
「それが嫌なんだよ!人に体を洗われるの気色悪いだろ!?」
「うん……確かに嫌だけど」
問いに素直に答える環を見て安心した瑛知は、環を止める手を少し緩めた。
「でももう決めてることだし」
「!? うわっ……待て!ばかっ」
瑛知が力を緩めた隙に、環は瑛知を押し倒す。油断していたために体勢を立て直すことが出来ず、そのまま脱衣所の床に転んでしまう。
「ッつー……!…バカ環!!これのどこが看護だよ!?」
ケガが治ったばかりなのに、この前から瑛知は酷い目にばかり遭っている。瑛知を押し倒したままの環は、瑛知の両手を握って放そうとしない。
「じゃあ大人しくしててよ」
「いやだ!早く放せ、いい加減怒るぞ!?」
環に掴まれた両手をそのまま引っ張って、環の顔を自分に近付けさせる。いきなり至近距離で瑛知にそう言われ、環は急に顔を赤くした。
「絶対俺が洗う!」
「ダメっつってんだろ!ワガママ言うな!しつこいともう口聞かないぞ!?」
「……!」
瑛知が怒った声で言うと、環は体を強張らせて反応し、無言になってしまった。そのまま瑛知の両手を放し、瑛知から少し離れる。
「あ……おい、たま…」
「ごめん。お風呂終わるの、あっちで待ってるね。行こ、司狼」
瑛知に怒られてすっかり気落ちした環は、瑛知の顔も見ずに脱衣所から出ていった。その様子を静かに見ていた司狼は、環のあとについて脱衣所から出ようとするが、少し立ち止まって瑛知の方を向いた。
「……ごめんな」
低い声でつぶやいた司狼を、瑛知は不思議そうに見上げた。
「環は……、瑛知ともっと仲良うしたいんやと思う」
それだけをいつものぼんやり顔で告げて、司狼はそのまま脱衣所から出ていった。
残された瑛知は、座り込んだまま苦い顔をした。
(……口聞かないとか言って、悪かったかな……)
確かに環の行動はワガママで迷惑で、すごく疲れることばかりだった。
でもそれは全部、彼なりの友だちへの精一杯の気持ちの表現方法だったのかもしれない。間違ってはいるけれど。
環は、ひどく不器用なのだ。
溜め息を深く吐いて、瑛知は重い腰を上げた。そのまま脱衣所から出ると部屋へ行き、床に座り込んで持ってきていた先ほどの玩具を片付けていた環に近付く。