〜白薔薇の君〜
「う~ん、口で説明してもわかんないんじゃないかな~。実際に見たほうが早いと思うよ、すぐそこだし」
と言ってパスカルはある方角を指差した。
案内しようと歩き出す彼女にアレックス達も警戒を怠らず、着いて行くことに。
名前はわかってもパスカルはいまだ正体が不明な人物であることには変わらない。
1人ズカズカ歩くパスカルの後ろ姿を警戒しながら見つめる一方で、ここだよ。と案内してみせる彼女。
草陰を掻き分けて覗けば、なにやら異質な装置が存在した。
それは、半径2mほどの大きさで石造のマンホールのようだったが、実際その物体が“石”なのかどうかは不明である。
『パスカル、これは…なんなの?』
「これを使うと地下にある遺跡に行けるんだけどね、幻があるのはそこ」
「遺跡だって…?」
「期待しないで潜ったんだけど結構面白かったよ。結果的に塞がってる橋を通らずに反対側にも来られたしね」
『──!』
こういうのを棚からぼた餅、と言うのだろうか。
相変わらずにこにこ話すパスカルの証言にアレックス、アスベル、リチャードは互いに顔を見合わせ身を引き締めた。
『遺跡の中には、ほかに誰かいなかった?』
「いなかったよ。あたしのほかはだ~れも」
いまいち掴みどころのないパスカルの発言を信じていいのか迷ってしまう。
パスカルから敵意は感じないけれど、そうやすやすと信じれるものでもない。
だがここでじっとしていてもいずれセルディクの息の掛かった者達に見つかるのも時間の問題だ。
『どうする?アスベル』
「…行ってみよう。このままここにいてもどうにもならない。ソフィの幻のことも気になるし…」
「わかった。君がそういうなら、僕に依存はないよ」
「アレックスもそれでいいか?」
同意を求め、こちらを見るアスベルにアレックスは頷いた。
『えぇ。どのみち八方塞がりな状況だったもの。一か八か、行ってみよう』
「決心ついた?そんじゃあひとつ、みんなで潜るとしますか!」
『え゙…』
アレックスと同じことを思ったのか、アレックスのほか3名もパスカルを見る。
「……一緒に行くのか?」
「うん」
さも当然のように頷いたパスカル。
唖然した空気が一行に漂う。
いまいちパスカルの意見に頷きかねていると、我に返ったリチャードが訊ねた。
「パスカルさんに遺跡の中を案内してもらうということで……いいのかな?」
『いいの…?アスベル』
「…、…仕方ないな。ついてくるなと言っても着いて来そうな雰囲気だし」
パスカルの強引さには天晴れである。折れたアスベルが「一緒に行こう」と言うと、一層テンションが上がるパスカル。
戦闘もしていないのにこの疲労感はなんなのだろう…と思うアレックスだった。
『さきに言っておくけど、パスカルのこと信じたわけじゃないからね!』
「ほいほーい!」
『遺跡に入って変な真似したら、その時は覚悟しなさいよ!』
「わーかってるって!」
『ぐ…。こいつは…っ』
「アレックス…。きっと彼女は敵ではないよ」
『リチャード様…』
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