〜白薔薇の君〜



「へ、変だな…今急に悪寒が…」

『大丈夫ですか?』

「あ、あぁ。」


訳がわからない、といった感じのリチャードと、アスベルの背に隠れてしまったソフィ。


…ほんとに一体どうしたのだろうか。




「リチャード、大丈夫か?身体の具合が良くないんじゃないか?」


心配するアスベルと、その背中からこちらを覗くソフィ。



「僕は大丈夫だ。それよりもすぐにグレルサイドへ向かおう。」



アスベルとアレックスに視線で合図を送る。気を引き締め、頷いた二人はグレルサイドを目指して南下したのだった。














       *









『この先は、確かウォールブリッジでしたね、』


先頭を歩いていたアレックスが顔だけ後ろにいるリチャードに振り向く。


「アレックス、前見て歩かないとケガするよ」

『え…、…っうわ!!』

「だから言ったのに…」

「なにやってるんだ、アレックス」

「アレックス、大丈夫?」


次から次へと掛けられる情けない同情。
恥ずかしいやら、情けないやら、ごちゃごちゃである。

リチャードがわざわざ注意してくれたにもかかわらず、見事にお決まりのごとく転んだアレックス。

そしてアスベル、ソフィの心配の声。



『い、いたた…』

「ケガはないかい?アレックス」

『はい…』


紳士に手を差し伸べるリチャードに甘え、その手を借りて立ち上がるアレックス。

ケガはないようだが、前のめりに転んだため全身泥だらけである。




『あぁ~…、最悪。』

「見事に泥だらけだね。大丈夫かい?」



そういってリチャードは優しい手つきで頭や肩など、アレックスについた泥を払い落としてくれた。



『すみません…』

「違うだろ?」

『!、ありがとう…ございます///』



その言葉にリチャードは優しく微笑むのだった。




(リチャード様の笑った顔、私好きだなぁ///)




…と、考えながらリチャードを見つめ続けるアレックスなのであった。












「あれがアレックスの言っていたウォールブリッジだよ」

気を取り直して前へ進む。見えてきた建物の影に自然と気配を悟られないようにした。

そして小声で囁いたリチャードの視線と同じ先をアスベル達も見る。



ウォールブリッジは、バロニア湖の水が海へと流れ出す川の上に建てられた橋を要塞化したようなものだった。


川が大きいだけに、ウォールブリッジもなかなかの大きさで圧巻する。



一行は近くの岩陰に身を潜め様子を伺った。




『門前に兵士が二人、警備が厳重だね』

「ああ。リチャード、別の道はないのか?」

「行き方もあるにはあるけれど、どれも王都を経由しないと…」

『今、王都に戻るのは危険だわ…。どうする?アスベル』

「ん~…、弱ったなぁ」


他に手はないだろうか。
考え悩んでいると、アレックスはふと1人足りないことに気付いた。


ソフィである。



『あれ?ソフィは?』

「その辺にいるだろう」

『いないよ?』

「うん。確かにいないね」


リチャードも否定するソフィがいないという事実。


そこでようやくアスベルが背後を振り返った。…その瞬間──






ドゴォオオ…ン



「「「 !! 」」」


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